ラムサール条約登録地の芳ヶ平湿地群環境学習2020

国指定天然記念物の六合チャツボミゴケ生物群集の鉄鉱生成地のチャツボミゴケは長梅雨のおかげか、深緑の中で蛍光グリーンがいっそう鮮やかに輝いています。

今日は午後に中学生の環境学習のための事前授業がありますが、午前中に駆け足でコースの下見です。ラムサール条約登録地の芳ヶ平湿地群は、およそ 1万4千年前に草津白根山から噴出した平兵衛池溶岩流の溶岩台地上に形成されたものなんだそうです。火山の影響を受けた貴重な生態系が見られることから、2015年に群馬県で3番目にラムサール条約に登録されました。芳ヶ平湿地群では7つの湿地が登録されていますが、そのうちの5つの登録地をガイドして中学生に環境学習してもらいます。子供たちには珍しい植物や動物、地形や歴史、環境問題など興味のあることに目的意識をもって参加してほしいと思います。

一番目の登録地穴地獄からぬかるんだ登山道を歩いて2番目の登録地水池へ。 途中の登り坂でぽつぽつと雨が降り始めましたが水池に着くころには本降りの雨になりました。溶岩流の窪みに水が溜まってできたといわれる水池ですが、登録時の民間会社による調査結果では6000年前からあった可能性があるということがわかっているそうです。周りをミズナラや岳樺の巨木に囲まれた円い形の小さな池ですが、6000年前という長い時間ここに水をたたえてあり続けていたことを想像すると不思議な気持ちになります。

水池から大池へと続く登山道わきには溶岩台地に刻まれた深い沢があります。こんなに雨が降っているのに、7月は毎日のように雨だったのに、沢には水がまったく流れていません。どうしてでしょう?沢底をよく観察するとゴーロのようなところもあります。ゴーロとは登山用語で大きな石や岩がたくさんある場所のことですが、なるほど大きな石や岩は溶岩っぽいです。ということは、降った雨は溶岩台地にすべて浸み込んでしまっているようです。そして小一時間ほどで大池到着。大池はというと今まで見たこともないくらい満々と水をたたえていて、登山道にまで水が浸水し始めていました。大池もさらに平兵衛池も水池と同じく溶岩流の窪みに水が溜まってできた池だそうです。

穴地獄から水池、水池から大池、大池から平兵衛池へと少しづつ標高を上げながら森の植生が変化していくことにも気付くはずです。ミズナラの豊饒な森からコメツガの幽玄な森へと変わるこの辺りの雰囲気が僕は大好きです。ところが残念なことに登山道の笹薮がかなり伸び始めていました。このままではお盆過ぎの本番ガイドの頃には深い藪漕ぎになりそうなので心配です・・・

四辻に出ると古道の雰囲気が漂います。江戸時代の頃に立てられた石の道しるべが芳ヶ平ヒュッテの前に今も残っているので、上州と越後を結ぶ交易路として古くからあったことがわかります。大きな洞もある古いミズナラの巨木が2本立っていて、今日のような雨の日にも旅人がここで一休みしたんじゃないかと想像したくなるようなたたずまいです。

四辻から5分も歩くと平兵衛池です。名前からもわかるように昔話が語り継がれていていて、旧六合村や草津温泉の里人たちが、山菜採りなど山仕事でよく訪れた場所だったのかもしれません。ところで驚いたことに、先日来た時は満々と水をたたえていた平兵衛池ですが、今は平水に戻っていました。この長雨続きですから減水していることは不思議な現象です。原因は何でしょうか?

平兵衛池からカラマツの森の急坂を登っていくといよいよ標高1596mの八石山です。大きな平兵衛池溶岩の塊がここではいくつもゴロゴロとあります。

雨もようやく小降りになってガスの切れ目から草津温泉の街並みがうっすらと見えていました。ここはお弁当をゆっくり食べるにはいい場所ですね。

南側には殺生にある廃止された草津スキー場ロープーウエイ山麓駅が眺められます。そしてよく観察するとあちら側にもある古い溶岩流の地形の様子がわかり面白いです。

八石山から大平湿原へと続くカラマツの森は、昭和初めころに植林された人工林です。およそ100年の樹齢があります。ですから昭和40年代の経済成長期やそれ以後に植林された穴地獄付近の樹齢4~50年ほどのカラマツの森からは醸し出せない独特の景観を見せてくれます。標高が高い場所なので周りの木々の樹種も違うことはもちろんですが、ロケーションがとても美しいです。それはかつて芳ヶ平湿原のような湿原上に植林事業を行ったからでしょう。 奥には池塘など高層湿原だった頃の様子を残している場所もありますが、今はほとんどが笹原の草原に変わっています。環境学習では人間の手があまり入らず湿原の自然が残されている芳ヶ平湿原と比べてみると面白いですね。

大平湿原まで来たら雨がすっかり止んでくれました。気が付いたら午後11時半。急いで下山しなければ授業に遅刻しちゃいます!

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