パルコール嬬恋スキー場~土鍋山~小串鉱山跡~御飯岳~万座温泉スキー場

野反湖うらやまガイドIMG_3876

根子岳から土鍋山、御飯岳、そして横手山へと続く稜線(2015年3月3日)

一昨日の根子岳~四阿山バックカントリーの偵察で、

昔の古い記録を思い出してみました。

GPSがない頃のルートファインディングの様子が懐かしいです。

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 破風岳をバックに小串鉱山跡を登る二人のテレマーカー

 前回の逆コースを辿ろうと、三人の仲間と約一ヶ月ぶりに計画した。前日までの悪天が予想外にはやく回復しそうだったので、万座道路より上部はガスで視界がなく山々は見えなかったが、万座温泉に車をデポしたあと計画を実行するべくパルコール嬬恋スキー場へもう一台の車で向かった。万座鹿沢駅でちょうどいい時刻にパルコール嬬恋スキー場行きのバスの便がある。万座温泉へ縦走後、車の回収をしなくても良くて便利なので、このバスに乗り換える。自家用車ではなく、バスで山に向かうなんて、なんだかいつもと違う旅行気分だ。

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まだガスがたちこめ、視界が利かない。土鍋山への鞍部を行く

 浦倉山直下にあるパルコールスキー場のロープーウエイ頂上駅に立つと、風が強くおまけにガスで視界が利かない。土鍋山への鞍部まではだだっ広い尾根を北上するのだが、これでは長い先が思いやられる。雪は前日の風雨のせいで、最悪の雪質である。緩い下りに全員が手こずる。斜滑降とキックターンを繰り返し、時々テレマークターンにチャレンジして雪と戯れる。仲間の一人はこの後、顔から流血騒ぎである。斜滑降を繰り返しているので、浦倉山の大きな尾根は迷いやすい。皺のような小さな沢に出合うたびに現在地点を確認し慎重に進むが、予想よりずいぶん右側方向を下ってしまっていた。思い当たる土鍋山への鞍部の景色にどうにか辿り着いて、ホッとする。山々の視界は相変わらず利かず、土鍋山への尾根は見えない。とりあえず土鍋山までは行こうということで、今度は緩い登りを歩く。

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青空が見え出す

 土鍋山の手前の小ピークが、視界の利かないこのルートの目印になる。時々ガスが風で吹き飛ばされて、ほんの少し遠くが見えるようになる。振り返ると、むやみに下ってきた浦倉山の緩くだだっ広い尾根が見える。もう昼近い時刻だけど、ガスが晴れてきそうだ。土鍋山で引き返そうかという心積もりだったので、はやく晴れてくれと祈るような気持ちで空を見上げる。小ピーク付近で突然青空が頭上に現れる。強風で次から次へとガスの一団がこの稜線を越しているようだが、確実に視界が良くなっていることがはっきりしてきた。ガスがみるみる晴れると、私の心の不安もみるみる晴れていき、後続の仲間をどんどん引き離して気がついたら土鍋山の山頂に着いていた。

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やっとガスが晴れた土鍋山から小串鉱山跡を見下ろす

 土鍋山山頂に着くと、さらに視界が良くなり、われわれのこれからのルートへ誘うかのようだ。しかしこの悪雪では相当手強いに違いない。時刻はもう1時を回っていて、土鍋山でのんびりするわけにもいかず、早々に小串鉱山跡へ下り始める。スキー向きの尾根があり、雪が良ければ最高だが、今日のこの悪雪では怪我をしないように雪と戯れて下らなければならない。クロカン志向のテレマーカーにとっては試練だ。しかし不安定な道具で果敢にテレマークターンを試みようとする。

58r
土鍋山から小串鉱山跡への辛いダウンヒル

 D氏の板はハーフエッジだ。しかしアルペンスキーの腕前の片鱗を窺わせて、器用に降りていく。K氏が最もダウンヒルに適した道具だったが、それと引き替えに長い林道歩きでは苦しむことになる。四人はどうにかこの難しい雪質の斜面をこなし、今度は御飯岳を目指して小串鉱山跡を登り返した。

45r
破風岳をバックにテレマークターンがきまる

 斜面が南向きだと雪は緩んでいて滑りやすいようで、逆コースだったら少しは滑りも良かったなんて思う。小串鉱山跡は、一ヶ月前より雪が少なく、茶色い地肌が日当たりの良いスロープに大きく目立っていた。かつてたくさんの資材を運んだであろう鉄塔跡が、かつての繁栄ぶりを彷彿とさせ、この廃墟のような景色に哀愁を漂わせている。雪でかなりの残骸が隠されているであろうとも・・・
樹木の全くない鉱山跡を登り詰め、やがて樹林で覆われた御飯岳の斜面に取り付くと、また懐かしい気持ちに戻ったようになる。時刻は3時半を過ぎていて、明るいうちに万座温泉に辿り着くためには急がなければならない。今度は視界の良い緩い尾根を確実に進み、4時過ぎ御飯岳山頂付近に着いた。ようやくほっと一息つける心地がして、缶ビールを1本開ける。また悪雪の下りがこの後あろうがかまわない。むしろ心地よい酔いで強引に下ってやろうと心が大きくなる。御飯岳からの下りも、雪が良ければスキー向きだ。この悪雪が悔やまれる。絶対に雪の良いときにまた来たいという思いが起こるくらいだ。転び方もこのころにはずいぶん上手になり、案外早い時間に牧~万座線の県道に出た。ここからは延々雪で埋まった県道を歩いていく。クロカン志向のテレマーカーの得意とするところだったが、やはりこの悪雪は、時々パスカング走法でも板をつまずかせるくらい意地悪をした。

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夕日を背に浴びて、ひたすら万座温泉へ

 午後7時、万座温泉のスキー場に着く頃には完全に真っ暗だった。最後の山裾を巻くと突然スキー場の林間コースが現れた。ピステンで整備された跡があり、もうとっくに昼の営業が終わっていた。圧雪された人工の雪質は、なんと物足りないことか。悪雪に鍛え上げられたクロカン志向のテレマーカー達4人は、真っ暗な林間コースをずんずん滑り降り、ナイター照明のゲレンデに出くわした。山から突然現れた猪か熊のようにゲレンデを滑り降り、この長い縦走の旅を終えた。

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土鍋山方面から御飯岳を眺めて・・・

 前回はテントを背負って1日半かけて縦走したが、今回は1日で走破した。最新流行の道具でなく、クラシックな道具のおもしろさを生かして山を大いに楽しんだ。悪雪に苦労して、何回転んだかわからないが、こういう山行の印象は、身体の疲れや顔の傷が2~3日で治ってしまっても、いつまでも心に深く刻み込まれているものだ。

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前回のテント縦走の時

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