真砂沢ロッジがある剣沢との出合の標高は約1800m。標高約2800mの稜線から1000mのロングダウンヒルです。 お互いに写真を撮り合いながら、広大な谷の絶景をを楽しみました。 とにかく写真に納まりきらないスケール感は、ウラヤマの繊細な風景とは違い過ぎです。 初めてのコースなので正面の奥に立ちはだかる高い山々がどこなのか気になります。黒部の大渓谷を挟んで、これらがいわゆる後ろ立山の峰々でしょうか。 真砂沢はどこまでも吸い込まれていくように気持ち良いスロープが続きましたが、やがて剣沢の出合とも思える二股に出ました。 ちょうどお昼の時間だったので、ここでゆっくり休憩して剣沢の長い登りに備えます。 長次郎谷や平蔵谷の様子や八峰の岩稜など、剣岳の素晴らしい絶景を眺めながらのハイクアップをのんびり楽しみました。 適当に登って滑ってみたい気持ちもありましたが、真砂沢を滑り終えて今日はどちらも下から眺められただけで十分満足です。 白馬大雪渓と針ノ木大雪渓とともに日本三大雪渓の一つ剣沢は、どこまでも登りが続くようでした。 冬の間の大きなデブリの痕も残っていました。今のこの時期なれば落ちるものはほぼ落ち切ってのどかな雪景色です。 そして時々振り返ると、八ッ峰や源次郎尾根の荒々しい岩稜や剣岳の雄姿が迫力の絶景でした。 ようやくテン場まで戻ってきて、まだ余力もあったので荷物を置いてそのままうろこで別山乗越までハイクアップしてもうひと滑り楽しみました。 3日目の朝、雷鳥沢を滑って室堂からさらに美女平まで滑って富山県側へ下山です。 今日から天気は下り坂の予報です。そういえばテレマークスキーを始めたばかりの頃、夏休みのお盆の時期にスキーを担いで剣沢にやってきたことがありました。入山日は晴天だったけれど、翌々日の夜半に台風の暴風雨に遭いました。テントのフレームは折れるわフライシートは破れるわで、散々な目に遭った痛い思い出です。 まだ20代でスリーピンの細板革靴でした。剣沢の雪渓は洗面器くらいある見事なスプーンカットで、その頃の道具と技術では歯が立たなくて悔しい思いをしたのも覚えています。 今回はそんな昔の借りも返せたような、思い出に残るスキーの山旅でした。