白砂川第三ダムから入渓すると、
かつての大規模な工事の跡が川床に残っています。
こんな人工物も長い年月をかければ徐々に自然の中に融けこんで、
不思議と違和感のない光景に感じられます。
紅葉は思わず声を上げたくなるような美しさです。
第3ダムから銀淵付近までは大きな丸石がゴロゴロした河原を、
時々冷たい流れをジャブジャブ渡渉しながらの単調な沢登りです。
さて、広々とした渓谷を遡っていくと、時には砂地に真新しい熊の足跡があります。
六合村の猟師は昔この白砂川を熊捕の猟場にしていました。
その名残りとしてずっと上流には猟師の沢という名の支流があったり、
また猟師の沢出合いより上の本流にはスルスの岩洞という、
猟師が小屋代わりにした岩穴もあります。
スルスの岩洞は、健脚であれば第3ダムから1日歩けばちょうど夕方に付ける場所で,
今でも立派に寝泊りができるようなつくりなのには驚きます。
昔の古いスコップが落ちているのが、何とも居心地のいい空間を醸し出していました。
とても日帰りのコースではないですが、
かつて猟師が火縄銃をもって活躍した姿を想像するだけでも、
途中の渓谷の景色が違って見えてくるはずです。
猟師の沢出合までの間に銀淵という名前が残っているのは、
やはり銀の採鉱が昔あった名残でしょうか。
ここまで1~2時間の歩きです。
さらに猟師の沢出合いまでなら2~3時間かかるコースです。
ところで猟師の沢出合かさらに本流を遡行するには、
ゴルジュの悪場をうまく突破するか大高巻きをするかの選択です。
どちらもトレースしていますが、
もちろん大高巻きのほうがより安全な選択です。
猟師の沢出合付近に砂防ダム建設の計画があるという話を聞いたことがあります。
ということは第4ダムでしょうか。
八ッ場ダムじゃないけどダムの底に沈めばもう二度と見られなくなる白砂渓谷の紅葉。(ダムの話はまったくの未確認情報ですのでよろしくです。)
この先のさらに上流の沢登りのお話はまたいつの日か・・・