初日

寝台特急あけぼのの車窓から八甲田の山並みがついに現れた。八甲田を訪れるのは何年ぶりなんだろうか。なんだか初めての山に入るワクワク感を感じる。

初日は、ドピーカン。青森駅からバスに乗り換えて酸ヶ湯温泉に着いたのは昼前。せっかくだからとのんびり酸ヶ湯蕎麦のお昼をして、山支度になって歩き出したのは午後1時過ぎ。あわてて地獄沢ルートで大岳を目指すことにした。ブナ林にはすでにしっかりしたトレースが残っているのが有り難い。

小一時間で仙人岱ヒュッテを通り過ぎ、正面に小岳を間近に仰ぎ見てあっちにも行ってみたいと後ろ髪をひかれながらも、時間がないので大岳を目指す。しかし雲行きが怪しくなってきた。南の空から暗雲が迫ってくる。あっという間に大岳への登路はガスで視界不良となった。八甲田大岳山頂付近は、烈風極寒!大岳から小岳鞍部へと続く極楽パウダーな滑降は、残念ながら時間切れで視界不良の中に消え去った。

2日目

昨夜から天気は急に崩れて、朝から吹雪。ロープーウエイは風で動かないらしいが、とりあえず今日は八甲田スキー場へ行ってみることに。結構な新雪が積もっていそうなので、3時間券のリフト券でゲレンデパウダーを楽しむ。10時過ぎロープーウエイが動き始めたので、早速ロープーウエイ乗り場へ。山頂はホワイトアウト。今日は無理せずダイレクトコースを下山。12時までゲレンデを滑って、午後は作戦変更だ。

朝食バイキングを食べ過ぎたので、お昼になってもお腹が空かない。時間の節約になっていい。八甲田スキー場からバスで酸ヶ湯に戻って、すぐにシールを貼って温泉前の切り開きの急斜面を登る。大岳まで行けるところまでという計画だ。視界は良くないが、モンスターの間を縫うようにして歩くのは楽しい。

2時間半ほど歩いて1350m付近で引き返すことにする。しかし、ちょうどこの時から、いよいよ八甲田は牙をむき出し暴れ始める。風上を向くとまともには息が出来ないくらいの風だ。そのため楽な方へ滑ってしまう。登りのトレースなどすぐに無くなる。いよいよ完全なホワイトアウト。GPSでしっかりルート確認をしないと、すぐに地獄沢の方へ寄ってしまう。焦らずゆっくり確実に下る。
酸ヶ湯温泉の切り開きのスロープの上に立った時、ようやく安堵した。最後にフカフカのパウダーを滑って大満足。そして千人風呂へドボン。翌日知ったが、その頃八甲田スキー場の中で遭難があったらしい。スキー場のコースの中だろう、
遭難してもおかしくない荒れ方だった。雪の洞で一夜を明かしたボーダーは、さぞ寒い夜を過ごしたことだろう。翌朝発見され、無事でなにより。

3日目
天候は回復傾向。ロープーウエイ山頂駅から外に出ると相変わらず視界不良だけど、今日は思い切って行くしかないだろう。登山届けを出して、ガイドツアーで大混雑の人達の横をすり抜けて歩き出す。何しろ土地勘がないもので、あらかじめ頭に入れておいた地形図のイメージだけでGPSの現在地を頼りに銅像ルートへ。

完全なホワイトアウトの中、恐る恐る田茂萢沢に滑り込む。そして、前嶽の右裾を目指してウロコを利かしながらモンスターの間をトラバース。今日の銅像ルートには1番乗りだ。下部は傾斜が緩いし、道路まで滑ってもピックアップしてもらう手段がないから適当なところで登り返す。せっかくだからと2本滑る。シールを貼って登り返しても大した苦労でもないのだ。銅像ルートからの帰路ようやく山頂付近の視界が良くなってきた。

今日も朝食バイキングをおなか一杯食べたので、昼飯どころか行動食もいらない。午後の部は中央ルートで田茂萢岳から酸ヶ湯温泉へ向かう。昨日のロープーウエイ山頂駅で聞いたガイドさんの話では、今年になってまだ酸ヶ湯温泉へ下った人はいないらしい。

少し視界が良くなってきていたけれど、結局思ったほどには良くはならなかった。大半は横移動のトラバースで、いくつかのパフパフ斜面に歓声を上げながら1時間ほどで酸ヶ湯に下った。

もう少し視界が良ければ宮様コースを下りたかったけれど、銅像コースと違って誰にも会わない静かな八甲田を楽しむことが出来た。

スキーの後は、もちろん千人風呂にドボンだ。
4日目
最終日で朝から天気も良さそうなので、ロープーウエイを使って宮様コースとかへ足を伸ばしてみたいと目論んでいたけれど、ロープーウエイは強風で動かないらしい。そうとわかったら予定変更、酸ヶ湯から大岳方面を目指して登ることに。昨日までのトレースは風で完全に吹き消されていた。

昨日いくつか面白そうなパウダー斜面をチェックしてあったので、寄り道して2つほど楽しむ。まだ午前中の早い時間なので、その軽いこと!

いよいよ毛無岱から大岳目指して登ることに。帰りの時間を考えて正午リミットで登れるところまで。初日の猛吹雪の中で登った高度よりちょっと上で時間切れ。今日は視界がいいので、ホワイトアウトだったときの苦労が悪夢だったかのよう。視界がないと滑りは楽しめない。今日は思いっきり初日のリベンジである。

久しぶりの八甲田。八甲田の山々にシークレットうらやまのような親しみを感じた・・・
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