初めての利尻の想い出2009

翌日雪崩事故があった蝦夷富士(後方羊蹄山)上空を飛行

内地のテレマーカーに、北海道のどこを滑りたい?って尋ねたら、だいたいはニセコだろう。そんなことを思いながらニセコ上空を通過する。きっとスキーヤーやボーダーが我先にとパウダーを食ってるに違いない。あっという間にシュプールだらけの斜面だ。対照的に、羽田から稚内への空路は一日一便で、スキーを持ち込んでいる客は私達だけ。利尻岳は、独り占めかも知れない・・・

稚内空港着陸時に利尻富士らしき影を発見

でも気象条件はニセコより厳しいに違いない。稚内空港に降り立った時、ようやく利尻の島影を認めることができた。どうなることか・・・

船酔いのフェリーにて間近な利尻富士の姿に圧倒される

利尻行きのフェリーで地元のおじさんから、「あんた達何しに来た?」と聞かれる。スキーしにって返したら、「たまにいるなぁ。」と納得してくれる。そして、これでも海はいい方らしい。実は気分悪くて、先ほどまで船室で横になっていたのだ。利尻島がその全貌を現し始めて酔ってなんかいられない。興奮して後部デッキに身を乗り出していたら、「あんたらみたいな人が事故するんだな。」と脅される。船が突然揺れると、簡単に手すりを乗り越えて極寒の海に投げ落とされるんだそうだ。冬の利尻はなんてアドベンチャーなのだ。でも、だからますます面白くなってきた。

入港した鷲泊港に気になる斜面を発見

やがてフェリーが鷲泊の港に入ると、波が穏やかになるとともに心が騒ぎ始めた。海抜0mからスキーが出来そうなのだ。あの赤灯台の向こうにある斜面はなんて魅力的なのだ。日没まで2時間弱、あそこを滑るには十分な時間がある・・・

利尻島到着祝いにまずは一本

ペシ岬のペシとは、アイヌ語で水際の崖という意味だそう。ついでに調べていくと、礼文島のレブンは、沖の島、利尻島のリシリは高い山、そしてポン山のポンは、小さいという意味。みんなその通りで、アイヌ人はなんてわかりやすい名前を付けてくれたものだ。しかしこの地で漁労採集の生活をした頃のアイヌ人を想像した時、厳しくも豊饒な自然を生きた彼らの世界観そのものにちがいない。

ポン山への急登

利尻島上陸2日目。ここのところ週末というと荒れた天候ばかりだったそうで、
こんなに穏やかなのは幸運のようだ。午前中はまずポン山へ軽くスキーハイキングだ。

ポン山から振り返ると利尻が・・・

鷲泊から林道を数キロ奥にあるキャンプ場から歩き出す。ここはすでにポン山の麓で標高200m。ポン山頂まで標高差250m弱。利尻山との鞍部からシールを使えば半時間のお散歩コース。

ポン山頂からの礼文島

しかしポン山頂からの眺めは360度の絶景。利尻岳北稜の様子がよくわかる。
数日前のドカ雪で雪崩リスクは高いかも知れないが、滑降ルートは長官山からの沢筋が最も快適のようだ。しかし、尾根筋の雪質がよければ安全度の高いこちらを選ぶのが無難だ。とにかく利尻独特の地形や植生、風、雪質、山の距離感覚など、自然そのものを体で感じておくことが今回の旅の目的。

ポン山頂から海側へスキー場に向かって滑るのも楽しそう!

昨日のペシ岬展望台は標高92、3m。幸運にも真っ赤な夕日が沈むところに立ち会えた。今日のポン山頂は444m。ふと空を見上げたらオオワシが飛んでいく姿を発見。

上空をオオワシが飛んでいく。

ポン山頂上部はちょっと藪がうるさいけど、気持ちよく1本目のパウダースキー。すぐに登り返してまた山頂のパノラマを楽しむ。そして2本目を滑り、午後はいよいよ利尻岳偵察へ。

海側とは反対側の小スロープもいい感じ。

ところで利尻岳偵察は、午後2時に出発地のキャンプ場にどうしても戻らなければならない特別な事情があった。利尻岳の魅力的な大斜面を眼前にして、たったの2時間。もうすでに12時を過ぎていたので、2時間もない。

北海道の山ならではの樹林帯

蝦夷松と椴松の樹林帯を、GPSで時々位置確認して、最短距離を進んで目標の尾根を目指す。昼飯のおにぎりなんてゆっくり食ってなんかいられない。半時間ほどで樹林帯を抜け、沢が開けたちょっとした雪原に飛び出る。そこには真新しいスノーシューツアーの人たちの賑やかな跡が残っていた。時間がたっぷりあれば、ここからそのまま沢を詰めていくのもいいだろう。でもあと1時間しか残っていないので、ダラダラと続く沢を詰めるのでは面白くない。最初から目標に決めていた大きな尾根に取り付く。

尾根に上がるとシュカブラとアイスバーン

雪崩に注意しながらパウダーの急斜面を登り、セッピを避けて広い尾根上に上がる。尾根に上がったとたん風が強い。そして尾根上は風に痛めつけられたシュカブラとアイスバーンのハードコンディション。たまらずスキーアイゼンを装着する。午後1時半、時間切れ。利尻岳最高到達高度682m。

海に向かって滑れ!

あっという間の快楽。すぐに先ほどのスノーシューの跡が残っている広場に滑り込む。ここからは樹林帯の緩斜面が続くので、このスノーシューのトレースを使って短時間で出発地のキャンプ場に急いだ。

ミズナラの巨木

蝦夷松と椴松の森に突然ポツンとミズナラの巨木。対馬暖流の所為だろうか、高緯度にもかかわらず島の気候は意外と温暖なのかも知れない。利尻でもマイタケが採れるらしい。今回アイゼン、ピッケルを念のため携行していたけど必要なかった。もう少し時間があれば出番があったかも知れない。滑るのが目的なら長官山までで十分。4時間あれば行けただろう。

利尻山とポン山(右手前)

下山後、利尻の温泉露天風呂にドボンして、最北の山を滑った充実感に浸る。


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