村上~笹川流れ~鼠ヶ関 2003年10月11日

やっぱり海に浮かぶのは気持ちいい。沖合に漕ぎ出せば、水平線がどこまでも続き、地球を感じる。水平線を眺めていると、自然と笑みが込み上げてくる。広い広い海上に、ちっぽけだけど自由を感じることができる。今日は、微風追い風で、凪の海。順風満帆だ。これなら楽勝で粟島へ漕ぎ渡れる。そんな思いに少し後ろ髪を引かれながら、今日は笹川流れを漕いで鼠ヶ関まで辿り着きたい。網の様子を見に来た漁師から、「気持ちよさそうじゃのう。」と、声をかけられる。まったく気分の良い日である!

笹川流れの玄関駅である桑川駅は、すぐ前がビーチで、駅にはレストランがあってベリーグッド!今日のランチは、海鮮タンタン麺にチャーハンに魚汁。2時間強漕いで、腹ぺこだ。笹川流れの玄関駅である桑川駅は、シーカヤックでランチに立ち寄るのにちょうどいい。駅舎の2階にレストランがあって、駅前のビーチに乗り捨てた愛艇が確認できる。タンタン麺もお薦めだけど、魚好きの人には200円の魚汁が超お薦め。ジューシーなタラの身にむしゃぶりつく。 笹川流れをのんびり漕ぐ。洞窟が随所にあって、それらを見つけてはくぐってみるのが楽しい。笹川流れの観光船には、そんな芸当はできないだろう。1ヶ所だけプライベートビーチを発見。真夏の海水浴シーズンにここを一人で独占するのは、いい気分だろうなあ。

勝木を過ぎる頃から、太陽がどんどん水平線に落ちてきた。秋の日は釣瓶落と
焦る反面、夕日を浴びながらパドリングすることがこれまた気持ちいい。快調にパドリングしながら、太陽が水平線に沈んでいく様子を眺める・・・ 日没後、沖合で漁をしていた漁船が次々と鼠ヶ関の港へ帰っていく。少しずつ夜の帳が降りていく。舟影を追いながらだいたいの港の位置を確認し、懸命にカヤックを進めた。安全のためストロボライトをデッキにセットする。午後6時少し前、何とか鼠ヶ関マリーナの斜路に辿り着いた。

湯の浜温泉~酒田市~吹浦 2003年10月12日
今日はどんよりとした曇り空。でも風はほとんどなく、凪。遙かに鳥海が眺められる。飛島に渡ってみたいという気持ちもあったが、どうやら明日に向かって天気は下り坂のようなので、昨年の旅の続きをするために、湯野浜温泉から出航することにした。昨年は鼠ヶ関からこの湯野浜温泉まで漕いでいる。変化に富んだ海岸線の景色が楽しめる良いコースだった。それに比べて、これからは、砂浜が延々と続く単調な海岸線だ。

「どっから来た?今晩は時化になるぞ。」と、途中で漁師に声をかけられる。本当にいつも漁師さんからのアドバイスはありがたい。ダラダラと漕いでいたけれど、気を引き締めて進む。「酒田港の飛島行きのフェリー乗り場のレストランでランチにしたら素敵だな。」なんて考えていたけど、パスだ!

釣り人だらけの酒田港を過ぎ、火力発電所の防波堤を越えると、また単調な砂浜の海岸線が延々と続く。出航してから4時間近く漕ぎ続けて、そろそろパドリングにも飽きてきた。そんな頃、白いものがぼかぼかと流れてくるので、何かな?と思ったら、鮭だ。海鳥につつかれ腐乱しかかっていたけど、秋の海って感じ。ちょっと、心ときめく。

そこで思いつく。昨日からずっとオフショアの風が吹いていて、カヤックはどうしても岸から離れ気味になってしまう。これではいっそう単調なパドリングになってしまう。思い切って海底が見えるくらいの岸沿いに寄りながら漕ぐことにした。そうしたら、もの凄い数の小魚の大群がカヤックのすぐ下を泳ぎ回っている。延々と続く庄内砂丘の波打ち際は、小魚たちにとって安全な場所なんだろうか。そういえば、沖合を数隻のトローリング船が浮かんでいたけれど、そんな小魚たちを追いかけ回している回遊魚でも狙っているんだろうか。

吹浦の港に近付く頃、晴れ間の斜光に照らされた鳥海は秋色に染まっていた。象潟まで足を伸ばすことも可能だったけれど、来春の楽しみにとっておこうと思った。鳥海をスキーで滑って、カヤックで残雪の鳥海を眺めるのも楽しそうじゃないかな。

日本100名山の深田久弥は、戦争が激化していく自由な空気でない時代に、吹浦の港のすぐそばにある吹浦駅から悠長に鳥海に登っている。自分もまた悠長にここまで漕いできたなあと苦笑いする・・・
吹浦~象潟 2011年6月7日
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