全漕航距離約23km
2006年9月16日~17日
台風が九州地方に接近中。明日には、上陸するらしい。それとは関係なく今日は秋雨前線の通過で、雨が降ったり止んだり。こんな気象状況で出航していいものだろうか。実は宮島で同窓会をするという計画があり、それではと宮島にはシーカヤックで渡って、厳島神社の大鳥居をくぐりそのまま瀬戸内海の小島へ漕ぎ出してみたいと考えた。ソロで漕ぐつもりだったけれど、幹事のTさんがカヤックに興味があり。2人艇のK2で一緒に漕ぐことにした。やる気さえあれば、初心者でも大丈夫。
同窓会当日、今回のカヤックパートナー、Tさんが広島空港で出迎えてくれる。地元のカヤックショップで海の情報を尋ねる。このショップ主催の2泊3日のツアーは、台風の影響で中止されたとのこと。宮島はベタベタ凪の宮島海峡の向かいに目と鼻の先。カヤックを組み立てた私たちの出航に合わせるかのように雨が止む。海峡には、牡蠣筏がいくつも浮かんでいる。初めての瀬戸内の海。カヤックで漕ぎ出す瞬間は感動である。
世界遺産の宮島・厳島神社と大鳥居。神の島だ。原生林に覆われ、海に注ぎ出す小さな沢は、無垢の透き通った流れ。もちろん、島を1周する道路などない。すぐ対岸の国道やJRや民家が密集する文明とは対照的だ。漁師が、20年前までは、スナメリが泳いでいたと教えてくれた。同窓会のみんなを順番に乗せて、7回くぐった。
翌朝、厳島神社に航海の安全を祈願する。そして、今宵の宿がある江田島に向けて漕ぎ出す。気象条件が良ければ宮島を反時計回りに廻るコースを漕ぐ計画だったが、台風がどんどん近づいている状況なので、最短ルートだ。
初心者Tさんは、調子よくパドリング。追い風にも助けられて、最大瞬間スピード10.5kmを記録。
途中2度、大型船の通過で海上待機。台風の雨による河川の氾濫で、海面は浮遊物だらけ。追い風は、まさに神風だったかもしれない。この海旅は、すべてミラクルだった。宮島から平均時速7キロで、ゴールの江田島にあるサンビーチ沖美の着く。午後台風の風向きはめまぐるしく変わり、やがて逆の向きに変わった。台風をやり過ごすために港に停泊できない大型船が次々と沖に浮かび始めた。
島から島へ渡る旅はシーカヤックの醍醐味でもある。いつかまた瀬戸内海の島々に訪れてみたいと思った。カヤックをたたみ、宿のレストランで嵐の前の不気味な静けさを漂わせる海を眺めながら、この海旅の成功をTさんと祝杯した。
翌日台風は通過したが、海は荒れていた。江田島の海軍兵学校は亡き叔父が終戦を迎えたところだそうで、見学をして帰路に着いた。