March 20, 2024

2011 バイク&カヤックNAGASAKI 3 隠岐の島~山口

7月13日 晴れ 海穏やか 隠岐ノ島・島前・知夫里島・来居港~反時計回り~島津島キャンプ場全漕行距離12.6km 海岸線に沿ってGo westだけしか考えないで毎日自転車を漕いできたけど、今回できれば離島も訪れてみたいと考えていた。実は能登の輪島を通過した時に舳倉島に寄ってみたかったけれど、その時は自転車に集中したくて心の余裕がなかった。隠岐ノ島はちょうど切りがいいのと、サポートしてくれている家内のためにも、隠岐ノ島へ渡ってみることにした。 あわただしくキャンプ道具やカヤックなどの旅支度をして、9時30分発のフェリーくにがに乗り込む。観光シーズンになれば混雑するフェリーも、さすがに魚釣りをしに来た人や仕事関係の人くらいでガラガラ。気持ちいい海風が吹くデッキにでて、遠ざかる大山や島根半島の山並みを眺め、自転車旅の昨日までと違ってすっかりのんびり気分。しかし島に着いてから大きな仕事が待っている。カヤックの組み立てだ。午前11時半、島前知夫里島来居港に到着。木陰を見つけて大仕事にかかった。汗まみれになってやっと出航準備が完了したのが午後2時半。組み立て準備に、3時間もかかってしまった。 荷物満載の2人艇カヤックは、陸の上では重くてどうにも大変だけど、いったん海に浮かんでしまえば水を得た魚、心は広い海と空を自由気ままに漂い始める。さっさと時計回りで今日のキャンプ地を目指せばいいものを、わざわざ遠くなる反時計回りで知夫里島の反対側にある島津島キャンプ場に向かう。フェリーで見かけた釣り人らしい影をあちこちの磯で見かける。海は完全に凪で、これなら安心してフェリーに乗らずに本土から島渡りできそう。でも風向きを考えると向かい風かもしれない。赤壁は夕陽に輝いているのを見たいところだけど、キャンプの設営や食料の買い出しなどやることがあるので、さっさと通過。 日が暮れかかる頃、島津島キャンプ場の深い入り江に漕ぎ入る。隠岐ノ島は隠岐牛ブランドで知られているように、島のあちこちで牛が放牧されている。ちょうど牛の世話をしている人がいたので声をかけると、どうやらキャンプ場の管理を任されていた人だったようで、シャワーやトイレが使えるようにしてくれたので良かった。キャンプ場はまだ夏のシーズンに向けての準備がまだのようで、冬の間に打ち寄せられた漂流物のゴミが散乱していたけれど、私達にとっては静かで落ち着けて十分快適だった。 テント設営後、薄毛という気になる名前の村の中心集落まで歩いて、ビールや食材を仕入れに出かけた。途中、俳優の吉田栄作が夏だけ営業する喫茶店が、見晴らしのいい崖の上にあった。NHKの朝の連続テレビドラマ「だんだん」でこの隠岐にロケに来て、この地がとても気に入って出店したんだそうである。 7月14日 晴れ 海穏やか 島津島キャンプ場~浅島~神島~薄毛~島津島キャンプ場全漕行距離 約6km 朝一で近くの岩場に釣りに出かける。疑似餌なのにすぐに飛びついてくる魚は、ガシラ。カサゴと同じ魚のことだとはつい最近知った。隠岐では「ぼっか」と呼ぶらしい。とりあえず朝食の一品としてマース煮にしてもらう。ギラギラ太陽が容赦なく照りつける時間まで、高台で眺めのいいテラスでコーヒー飲んだり、ダラダラ朝食を作って食べたりして過ごしてから、カヤックでふらふら出かけた。 浅島や神島の周りをのんびり漕ぎながら、大きな鯛でも釣れないかなとカヤックから竿を時々出すものの、まったくあたりなし。昔シイラやスズキを釣った時のことを思い出しながら・・・・ここ数年、カヤックフィシッングはボーズ続き。研究する必要あり。昼は、日陰のある岩場のビーチでのんびり。時々シュノーケリングするが、海水は結構冷たくて長時間は無理。でも色とりどりな凄い数の魚が泳いでいて、いつまでも潜っていたいくらい。やっぱり、夏は海だ! 午後、薄毛の集落の外れにカヤックを着けて、お店でビールや氷や食料の買い物をしてからキャンプ場に戻る。そして近くの岩場にガシラ釣りに出かけたら、簡単に三匹ゲット。またまた夕食に一品添える。満月らしく、月光が一晩中小さな入り江のキャンプ地を照らしてくれていて、かすかな潮騒の音とともに、なんとも幻想的な雰囲気。蚊もまだ少なくて、デッキでのんびり。 7月15日 晴れ 海穏やか 島津島キャンプ場~赤壁~薄毛~キャンプ場 全漕行距離12km 以前テレビで隠岐牛のことをやってて、松阪牛クラスの超有名ブランドのグレードめざして奮闘している様子をドキュメントしていた。こんな雄大な大自然の草原に放牧されている牛なんて、アルプスの少女ハイジに匹敵である。そんなのどかに牛が放牧されている草原が、ズドンと切れ落ちて断崖になっていて、そこが赤壁である。 今日も容赦なく夏の太陽がギラギラ照りつける1日となった。切り立った断崖の赤壁は、入り組んだ湾の奥にあって、私達は静かにカヤックを漕いで近づいた。その時、突然静寂を破ってトビウオの群れがスーッと海面を走ったかと思うと、巨大魚がトビウオの行く手をさえぎるかのように海面に垂直にジャンプした。たぶんシイラだろう。1m近いサイズだった。しかし、その後またさっきと変わらない静寂。メタルジグのルアーを持ってくれば良かったと、後悔。 切り立った断崖のおかげで、断崖直下の小さなビーチには日陰があって、今日もそこでお昼休憩。ビーチにはいろいろな漂着物が転がっていて、それらを観察するのがなかなか面白い。ハングル文字や中国語の漂着物が半分を占めていた。シュノーケリングすると、40cm級の石鯛と鯛(黒鯛か真鯛か判別できなかった。)が泳いでいたのにはびっくり。 7月16日 晴れ 海穏やか 隠岐知夫里島・島津島キャンプ場~中ノ島・菱浦全漕行距離17km 南の海をゆっくり北上している台風が、どうやら数日後に本州を直撃する危険が出てきたと、ラジオの天気予報で警戒を呼びかけているので、早々に撤収を決める。隠岐の島々をゆっくり時間をかけて漕ぎ回るのは、またいつの日かということで、居心地の良かったキャンプ地を後にする。隣の中ノ島にある菱浦港を午後3時半に出航するフェリーに間に合うように、今日は知夫里島から中ノ島へ島渡りだ。カキの養殖棚やマグロの稚魚の生け簀が所々点在している、波穏やかな知夫里島の湾奥から漕ぎ出でて、知夫里島の南端の島陰をぐるっと回り込んで内海に入り、中ノ島にある菱浦港を目指す。菱浦港の前には隠岐牛を食べさせてくれるお店があるので、お昼に間に合うように家内を元気づける。 やっぱり今日も容赦なくギラギラの夏の太陽が照りつけ、パドルを漕ぐ手になかなか力が入らないけど、知夫里島と中ノ島の内海の入り口になる狭い海峡は、いつまでもカヤックでのんびり浮かんでいるわけにはいかない。大型船や高速船の進路を阻む位置にいるのだから、速やかに横断しなければ・・・ 前席の家内はまったく本気で漕ぐ気がなくて、こちらはとにかくひたすらがんばって、午前中のうちに菱浦港に辿り着いた。今度はカヤックの分解、荷物の梱包など大仕事が待っている。隠岐牛のお店には牛丼2つの予約を入れて、また大汗をかきながら、時々フェリーターミナルの冷房で涼んで、なんとか予約した午後1時半ギリギリに終了。最後に楽しみにしていた、赤壁の断崖の上の大草原で放牧されていたであろう隠岐牛の牛丼を頂いて、隠岐ノ島から離れた。隠岐ノ島では毎日キャンプ場の水シャワーで十分爽やかに過ごしたけど、本土に戻って久しぶりのお風呂。七類港のフェリーターミナルにあるメテオプラザのお風呂は、なんと200円で石けん・シャンプー付きとは、旅人にとっても有り難い。 7月17日 晴れ 鳥取県境港市R431~R2美保関灯台~R431松江市~出雲大社R29日御碕~R9道の駅キララ多伎全走行距離111km せめて本州の端っこの下関までは漕ぎたいと、今日からまた自転車旅を再開。境港から境水道大橋を渡ればわずかな距離で鳥取県から島根県に突入。まずは島根半島の東端、美保関灯台へ。3連休の中日とあって、途中たくさんの釣り師が竿を並べていた。スズキやキスや鯛、ぶり、アジなど、このあたりの海はとにかく魚種も多いし魅力的なところだ。灯台の駐車場で姫路から一晩中走ってきたというサイクリストに声をかけられる。これから兵庫県の湯村温泉へ向かって走り去っていったが、かなり年配にもかかわらず元気いっぱいで、こちらも元気づけられたような気持ちになる。さて、朝食をとって島根半島を西へ縦断する。旅の公約通り、はじめは島根半島の海岸線を走っていこうかと考えていたけど、どうやら海岸沿いの道は継ぎ接ぎのように複雑に入り組んでいて困難そうだったので、中海と宍道湖に沿ってまっすぐわかりやすく出雲大社まで伸びている国道431号線を走ることにした。島根半島の海岸線はいつかシーカヤック旅の楽しみにとって置けばいいだろう。ところで、この島根半島にも原発がある。震災以降島根原発を取り巻く環境もおそらく今までとは大きく違ってきていることだろう。国道沿いにアトムと名の付いたお店を見かけて、今まで通り過ぎてきたいくつかの原発や火力発電所のことを思い出す。 中海北岸に沿って快調に飛ばしていくとやがて中海が切れ松江の市街地にはいる。松江城ではイベントがあるようで交通規制されていたけど、自転車なら一方通行など気にしないので気が楽である。松江市からは宍道湖の北岸に沿って走る。シジミで有名でなだけあって、白の下着パンツいっちょで虫取り網とバケツをもってシジミ採りしているおじさんがいた。平坦な道なのでグングン距離を稼いで、お昼には早いので出雲大社を通過して日御碕まで走る。島根半島の西の端、日御碕灯台に立つ。この眼下の海底には、神話が創られた時代の、謎に満ちた古代の海底遺跡が眠っているのだそうだ。島根県、知れば知るほど恐るべきところである。…