2024

上越国境セバトノ頭BC2007-1-28

記録のないエリアのスキールートを開拓するのは楽しい。2004年に営業を廃止したスキー場からアプローチしてセバトノ頭を目指してみた。誰にも会わない山スキーは、やっぱり楽しいなぁ。 旧ゲレンデトップまでまずはハイクアップ。振り返ると平標山と仙の倉山がわかりました。 西沢の頭経由で稜線上をルートに選ぶことも考えましたが、今回はできるだけガラン沢源頭斜面へとトラバース気味にルートファインディングして、県境稜線上のどこかに上手く這い上がれるところはないか探してみることにしました。 美しいブナの森を抜け沢に滑り降りると、雪崩に磨かれたガラン沢源頭斜面がはるか上方に見えてきました。 無木立の斜面は雪崩そうでとても怖くて入れそうもないので、ちょうどコメツガの濃い樹林帯の斜面が県境稜線上へと這い上がれそうです。 なるべく県境稜線上の標高の高いところを狙ってコメツガの樹林帯をシール登行続けると、雪原が広がりました。四万川源頭斜面が足下に広がり、向かいの山の稜線に見覚えのある突起が目に飛び込んできました。コシキノ頭に違いないです。 雪の中に偶然古い渓流シューズを見つけました。この辺りには登山道などないので、無雪期は藪を漕ぐか沢を遡るかです。古い渓流シューズの持ち主は、いったいどんな山旅をしたんだろうと想像力が膨らんできます。 この雪原はどうやら笹平と呼ばれている場所のようです。セバトノ頭と思われる平らな森はもうすぐそこです。その向こうには上の倉山から忠次郎山、さらに上の間山と県境の山々が続いているのがわかります。高曇りながら素晴らしい展望が楽しめたので、今日はここまでで十分満足です。 上州側はクラストしていて、なかなか手強い滑りだったけれど、越後側は新雪を巻き上げて豪快に滑ることが出来ました。 登ったり滑ったりの繰り返しが多いルートは、断然ウロコテレマークの機動力が生きてきます。 ガラン沢は水流が出ていました。慎重に渡渉して旧ゲレンデに出れば快適滑降が待っていました。 セバトノ頭は平らでな樹林帯ですが、四万川源流とガラン沢源流、セバト川源流と白砂川源流という十字のジャンクションピークです。わかりにくい地形ですが、きっと地図マニアにとっては知る人ぞ知るエリアだと思います。

芳ヶ平湿地群自然観察会2024-10-23

地元である町主催の自然観察会があいにくの霧雨模様の中で決行されました。来年10周年を迎えるラムサール条約芳ヶ平湿地群のプレイベントです。 霧のベールに包まれた紅葉の森の雰囲気はとても幻想的でした。ゲストの皆さんは、しっとりと森のたたずまいや、どこからともなく漂ってくる森のいい匂いを敏感に感じられているようでした。 今回のコースのテーマは、およそ1万6千年前に噴火して大量に噴出された平兵衛池溶岩の痕跡を探してみることにしました。穴地獄から八石山までのコースは、途中に水池と大池、平兵衛池の三つの池があります。これらは、長い年月の中で自然が偶然に作り出した造形美です。 大池では深い霧がいつもとまったく違う表情で私たちを迎えてくれました。ほとんどのゲストの皆さんは大池に初めて訪れましたが、向こう岸が見えないほどの霧のベールに様々な想像を働かせて眺めました。向こう岸の距離を感じるためにみんなでヤッホッとやまびこが返ってくるのを聴いてみたりもしました。 ミズナラの森からコメツガの森へと移り変わっていくと、ひんやりとした空気が感じられる沢沿いの道になります。そこでは溶岩台地の上に残された原生林の痕跡が見られます。この場所は一番遅くまで雪渓も残っている場所であり、とても神秘的で荘厳な雰囲気を感じることができます。 今日の天気では八石山での素晴らしい展望が楽しめるようではないので、急遽予定を変更して昼食場所を四つ角にしました。1か月前に藪蚊の大群に襲われた場所ですが、さすがにもう涼しくて安心してお昼をたべられました。 最後にもう一度チャツボミゴケを観察してから下山。元気もらって無事ゴールでした。

第4回群馬県境稜線トレイルCエリア探査2024-10-22

昨日のDエリア探査に続いて今日はCエリアを探査です。夜明け前の野反湖は霧が湖面に発生して幻想的でした。日曜日の大風で登山道上には落ち葉が降り積もっていました。 ドライでクールな気候だから足も軽く感じます。快適に白砂山稜線まで登ってきました。 今日は南風が吹くのでガスが湧きやすいのかなと心配していましたが、結果的には一日とてもクリアに遠くの景色まで楽しめました。 Cエリアの白砂山から三坂峠までの約9㎞の区間は、2018年に新規登山道として整備され藪漕ぎなしに歩けるようになりました。まずは白砂山から上ノ間山まで、笹原が気持ちよさそうに風で波打つ稜線の小ピークをいくつも越えていきます。 Cエリアで一番大好きな場所からの風景です。上ノ間山2,033mから赤沢山を越えて忠次郎山へと続く稜線トレイルです。 次に好きな風景は白砂川源流域の複雑な地形の様子を俯瞰できる場所です。 それは、忠次郎山からムジナ平避難小屋手前までの区間です。 まさに白砂川最源流域のそのダイナミックな光景を眼下に独り占めです。 今日は昼寝でもしたくなるようなうららかなお天気です。それと対称的に、点検に入ったムジナ平避難小屋の室内は、一昨日の土日の悪天候でビバークした登山者が、寒さをしのいで大変だったような気配と匂いがまだぷんぷん残っているように感じました。 セバトノ頭は知る人ぞ知るジャンクションピークです。平らな湿地なので地図上でもとても詠み辛いです。いつの間にか目の前に四万川源流域が広がります。ここが笹平です。 。四万川水系と白砂川水系の分水嶺の向こうに、さっきまで歩いて来た上の間山からの稜線の山々が振り返られました。 もうヤマビルに悩まされることもない季節です。三坂峠からのエスケープルートで下山せずに、稲包山を越えて四万温泉まで足を延ばすこともおすすめです。三坂峠から奥四万湖の登山口まで約3時間くらいでしょう。

第4回群馬県境稜線トレイルDエリア探査2024-10-21

今秋始めての冬の嵐が去って好天に恵まれた1日となりました。2307mの横手山へと向かう登山道沿いには、10センチ近い霜柱や薄氷、霧氷などが見られました。 芳ヶ平湿地群展望台付近の国道沿いには、雲海からのご来光の写真をものにしようというカメラマンが大勢三脚をたてていました。 渋峠からスキー場の中の登山道をゆっくり朝日を浴びながら登る気持ちよさ。手はかじかみますが、ドライな気候で快適です。 空気が澄んでいるので、遠くの山々も綺麗に眺められます。木々の葉っぱも落ちて樹林帯も明るい森に変わりました。忠右衛門新道からは大沼池が見下ろせました。 赤石山から湯ノ沢の頭を過ぎてダン沢の頭までの稜線からは、伽藍谷が右に大きく開けて素晴らしい眺めです。振り返ると先ほど越えてきた横手山が伽藍谷を挟んでどっしりと聳えています。 小高山を過ぎると大高山が正面に現れます。笹原の急登は厳冬期のバックカントリーで楽しめるゲレンデなります。大高山を越えてもまだまだ野反湖までは遠いです。 いったん下ったカモシカ平から三壁山までの最後の登りが待っています。このつらい登りを頑張ると、ご褒美の景色が待っています。 ところで、気がついたらここまでだれ一人登山者に会いませんでした。最高の山日和だったのに、たった一人の静かな群馬県境稜線トレイルDエリアの魅力を堪能した1日でした。明日も天気良さそうなので、Cエリアも探査できそうかな?

芳ヶ平湿地群トレッキングガイドBコース2024-10-17

来年の9月半ばから1か月間中之条ビエンナーレが開催されることが決まっています。まだ1年も先の話ですが、作家さんたちの作品作りはもう始まっています。 というのも今回は、芳ヶ平湿原の自然のあることをテーマに作品作りを開始している作家さんをガイドです。 初めて訪れる芳ヶ平湿原ですから、作品作りのためにも晴れてほしかったのですが、現実は霧のベールに包まれた幻想的な芳ヶ平でした。 とうとう最後まで霧は晴れず、芳ヶ平湿原の全体像がつかめないままだったので、今後の作品作りは作家さんのインスピレーションがきっと大きく左右することでしょう。どんな作品が展示されることになるのかますます楽しみになってきました。 下の田、上の田、芳池、樺池、長丸池を確認。忘れ池は確認できなかったのですが、名前通りわかりにくいのでしょうか。水池や丸池、下の丸池も確認できず。これらは木道突端のベンチからさらに湿原奥にあるので見えないところかもです。そしてひょうたん池ですが、芳ヶ平湿地群展望台からもよくわかる池塘です。もちろん木道からもはっきり確認できました。 さらに指池と大池、ふたご池も確認できました。でも大池とふたご池の間にあるはずの小池は確認できませんでした。 大池ではツルコケモモの熟した赤い実がいくつもまだ残っていました。 ほかにもクロマメノキやガンコウランの熟した黒い実もまだありました。 芳ヶ平湿原の風景でお気に入りの池塘が長池です。霧のベールをまとう長池も趣がありました。浮島の形が今回だいぶん違っていたので、池塘がつねに姿を変えていくことがわかりました。 だれともすれ違わない1日でした。ダマシ平付近の登山道脇に建てられた江戸時代の石仏だけが、私たちの通行を見守ってくれていました。 芳ヶ平湿原の紅葉は例年ならもう見頃を過ぎているはずですが、まだまだ黄や赤の草紅葉に彩られた湿原の風景はなかなかのものでした。

野反湖八間山縦走トレッキングガイド2024-10-17

先日の四阿山のガイドが悪天のために中止になりましたが、山域を変え延期して野反湖八間山をガイドさせていただきました。例年より紅葉が遅れていたこともあり、今まさに錦秋に彩られた美しい野反湖の景色を堪能することが出来ました。 久しぶりにトレッキングを楽しまれるゲストさんにぴったりコースは、やはりなんといっても八間山を縦走して湖畔西岸を半周する野反湖一周コースです。スタート地に選んだ野反峠から、今日のコースが見渡すことが出来きるのがいいところです。 イカ岩の肩への登りと最後の山頂直下の登りがきついのですが、途中で休憩を入れながらゆっくり歩きました。赤や黄、オレンジと様々な色彩に感動の連続ですが、一番驚いたのではオレンジの葉に染まるホツツジにまだ可憐な花がついていたことでした。 湿った南風の影響で少し雲がかかり始めました。霧が流れる風景の幻想的な美しさに感動します。でも山頂からの遠くの山々の景色が楽しめなくなるのがちょっと残念でした。 白砂山の山頂は微妙に雲の中に隠れたままでした。八間山山頂でゆっくり休憩してから、茅野尾根コースを下ります。4日前に歩いた時よりも紅葉はさらに色濃く染まっているのもわかりました。 池の峠駐車場まで下りてくると、青空が眩しいほどの日が野反湖に降り注ぎ、国道脇のツタウルシやミネカエデの紅葉が美しく輝いていました。 今日はキャンプ場もお休みの日のようで、閑散としていました。他には誰もいないベンチで湖の向こうにどっしりと横たわる八間山を眺めながらお昼にしました。 ところで岳樺の黄葉の美しさを再発見したのが湖畔西岸遊歩道でした。シラカバ渕の森も美しかったのですが、エビ平からエビ湾を挟んだ押出し尾根の森の岳樺も素晴らしいことを知りました。 もうひとつ西岸遊歩道の良いところは、景色の素晴らしい眺めの場所にベンチがあるということです。トレッキングコース終盤で疲れが出てきたところで、適度に休んで紅葉の山も愛でることが出来ました。 今日は平日というのもあったかもですが、誰ともすれ違わない静かな山歩きも楽しめました。今週末20日日曜日が秋晴れになりそうです。野反湖の紅葉がおススメです。

白砂山トレッキングガイド2024-10-13

10月になって白砂山登山口の早朝の気温が6度から8度くらいに下がって、ようやく紅葉が深まり始めました。標高2000mの白砂山稜線の紅葉の見頃は、例年9月下旬から10月初めなので、今年はいつが一番の見頃だったのかわかりにくい年になりました。でも、そんな気難しいことにはこだわらず、今日のゲストの皆さんは白砂山稜線の紅葉の素晴らしさをたたえながら存分に登山を楽しまれていました。 ミヤマシグレとドウダンツツジの濃い赤やコメツツジとホツツジのオレンジなどが、秋の透き通るような青空を背景にハイマツやシャクナゲの緑の中に浮き出るように映えていました。 白砂山山頂は登山者で賑わっていました。稜線の細い登山道では、追い越していく登山者も向かい合う登山者もお互いに思いやりが大切です。安全にすれ違える場所をお互いに確保して譲り合える心がないと楽しめないでしょう。 そして静かな自分だけの山を楽しみたいなら、白砂山から先の谷川岳へと続く稜線トレイルをお勧めです。 ニッコウキスゲが咲き乱れた初夏の稜線の風景が懐かしいです。アキアカネが乱舞した真夏の稜線の風景もいつの間にか過ぎ去っていました。 次は下界で冷たい雨が降る日があれば、稜線では霧氷の美しい風景に出逢えることでしょう。1ヶ月以内には初冠雪できる日もあるかもしれません。 堂岩分岐に戻ってきて、そのままシラビソ尾根コースで戻るべきか迷いましたが、今日みたいな一日青空に恵まれる良い日はないので思い切って八間山への周回コースを選びました。黒渋の頭の先にはまたいくつもの名もなき小さなピークがあって登り返しが大変ですが、振り返れば何度も白砂山の姿を眺められるので景色が楽しめます。さらに白砂川と四万川源流域の奥深い山々も足下に眺められるのも興味深いです。 白砂山稜線の紅葉は今週いっぱいは楽しめることでしょう。また野反湖の紅葉はまだまだこれから10月下旬頃まで楽しめそうです。

第5回ラムサール芳ヶ平湿地群お散歩ツアー2024-10-10

久しぶりのラムお散歩ツアーでした。ようやく秋雨前線の影響から脱して朝早くから晴れました。我が家からもモルゲンロート色に輝く芳ヶ平湿地群の山々が眺められました。 午前11時頃になると、芳ヶ平湿地群展望台では霧が時々流れて視界を遮るような天候でしたが、かえっていつまでも離れがたい幻想的な風景が楽しめました。 渋峠では今朝初霜が降りたそうです。10月10日に初霜はちょっと記録的に遅いのではないでしょうか。正午の気温は8度でした。 カエルまで大きくなれなかったモリアオガエルのオタマジャクシは、越冬体制に入ったようで一匹も見られませんでした。 お昼は風さんのお蕎麦ランチです。こちらでは新蕎麦でした。新鮮な蕎麦の香りが口いっぱいに広がって幸せになれました。 午後はチャツボミゴケ公園へ。第11回ノゾリチャツお散歩ツアーで前日来たばかりですが、毎日のように訪れると新たな変化や発見などの小さな驚きがたくさんあります。 今日もさらに成長を続けているチャツボミゴケの生命力を勢い良く感じることが出来ました。

秋の野反湖トレッキングガイド2024-10-8

雨に濡れながらのトレッキングもまたいいものです。紅葉が進んでいる草木の様子を愛でながら歩きました。出発時、少し風が強かったので、予定のコースを少し短くしましたが、午後は風も止んでくれました。 釣り人も稀なくらい誰にも遭わない野反湖でした。ゲストの皆さんは、ヤマウルシやハクサンフウロの葉っぱの鮮やかな赤や岳樺の森の黄色、ヤマドリゼンマイやノギランのオレンジなどが織りなす湖畔の風景に出逢えて感動されていました。 雨の中ひっそりと静かにたたずむ無人の正一小屋の前を通り過ぎました。昔よく雪のある時期にお世話になったものです。天井の梁には必ず大きな青大将の抜け殻がぶら下がっていました。 春の頃になると、小屋からヤカンとヒシャクをもってスキーで水汲みに行ったりもしたのは、今ではもう懐かしい思い出です。 日本海にそそぐ最初の一滴です。

第10回ノゾリチャツお散歩ツアー2024-10-7

月曜日の野反湖は観光客の車が少なくてほんとうに静かです。草津温泉行のバスへと乗り急ぐ人々で喧噪の長野原草津口駅から離れて野反峠までやってくると、まさに別天地の天空の湖です。 まだまだこれから紅葉が深まっていく森や草原とゆっくり会話しながら湖畔まで下りるコースを散歩しました。 お蕎麦屋さんもいつもより空いていたので、月曜日のツアーはお勧めかもです。新蕎麦に切り替わるのは10月下旬なら確実とのお店情報です。熱いきのこ汁で食べるキノコ三昧そばが、これからの季節だと体も温まっていいですね。 チャツボミゴケも、またさらに輝きを増して私たちを迎えてくれました。湯滝の左岸の壁は、伸びた藪で見えにくいのですが、ある場所に立つとよく見えます。 チャツボミゴケは今まさに最高の見頃です。遠くから観察するので、双眼鏡も活躍するかもです。 チャツボミゴケの形に注目です。なんとなく丸くなって見えるところがあります。昔マリゴケと呼ばれていたそうです。 帰りは旧太子駅にも寄って群馬鉄山の歴史などを振り返ることもでき充実したツアーでした。