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2025四阿山トレッキングガイド偵察5-20

昨日の肌寒いくらいの天気から一転、今日は30度超えの夏のような暑さになる予報。登山道の残雪もかなり融けた頃を見計らって、四阿山を鳥居峠登山口から歩いてきました。 登りは花童子の宮跡コースを選びます。花童子の宮跡までにも石の祠が何か所も置かれているのを見つけましたが、山岳信仰の登山者がどんな様子でここを歩いたのか想像してみたくなります。 標高の低いところでも新緑はまだ始まったばかりです。オオカメノキの白い花が鮮やかだったのが、登るにしたがい蕾へと季節は逆戻りになっていきます。 古永井分岐で的岩コースから登ってくる登山道と合わさり、ガレ場の尾根の急坂を頑張ります。やがて四阿山山頂がはるか頭上に現れました。 この辺りから残雪が現れました。嬬恋清水前後の樹林帯には登山道を見失いそうになるくらいまだ残っていました。今日は気温が高いせいで、トレッキングシューズだけでも蹴り込めば足場がつくれるのでなんとか通過。木道の階段部分では踏み抜くので回避です。 菅平牧場からのコースと合流する山頂直下まで頑張れば、ようやく残雪地帯から解放されました。そして青空を仰ぎ見れば、もうすぐそこに標高2354mの山頂がありました。 しばらく休憩している間、先客の1グループ以外は誰も登って来ない静かな山頂でした。薄く霞がかかっていましたが、展望をゆっくり楽しむことが出来ました。 山頂には3つの立派な祠が置かれていて、それらは日本古来から続く山岳信仰の歴史を伝えるものです。戦国時代には真田氏からも信仰され祀られたそうです。 先に着いたグループの登山者は、根子岳から縦走してきたそうですが、四阿山への登り返しの樹林帯はけっこう残雪があったとのことです。大隙間の笹原の斜面にはわずかに雪が見られますが、日の当たらない樹林帯などはまだ残雪に要注意です。 前回の4月5日の頃は、まだまだ深い雪に覆われていた四阿山も、一か月半でこれだけ雪が無くなったのを見て季節の移り変わりの早さに驚きます。→シークレットagatsumaBC偵察2025-4-5 – 山雨海風のウラヤマな日々2 下山は古永井分岐から的岩コースを歩きました。こちらの方が上り下りが無いので花童子の宮跡コースよりも少し楽だし時間短縮です。

2025第2回ノゾリチャツお散歩ツアー5-19

1週間ぶりの野反湖ですが、かなり雪解けが進んでいる景色にびっくりです。今日は肌寒い天気でしたが、このところの雨や初夏の陽気のせいでしょうか。そしてシラネアオイも開花が始まっていました。これからたくさんの人に楽しんでもらえたらと思います。 シラネアオイを見た後、湖畔まで下りて散策も楽しみました。山にかかる霧のベールが幻想的です。湖を囲む岳樺の森の新緑はまだ始まっていませんが、いよいよこれから野反湖の風景は初夏へと移り変わっていきます。 チャツボミゴケ公園では、温泉沢沿いのレンゲツツジの花も1週間前よりもたくさん見られました。でもまだまだ見頃はこれからです。 雪崩で冬季閉鎖解除が遅れていた志賀草津道路も今日ようやく開通しました。でも当分の間は雪崩の監視をして危険が予想されるときは随時通行止めになるということです。こちらをガイドするラムお散歩ツアーが急遽開催不可になることがあり、そんな時はシラネアオイが楽しめるノゾリチャツツアーに変更させていただきます。

2025鳥海山BC偵察七高山5-16

麓の鳥海温泉郷に宿をとって、もう一日鳥海山を滑りました。ブナの新緑が今一番いい1年の中でもっとも命輝く季節に訪れることが出来てほんとにラッキーです。温泉のある山里にはもうほとんど残雪は見られませんが、宿の方の話では1階が埋まるほど積もるとのこと。まだまだ残雪たっぷりな鳥海山を仰ぎ見て、なるほどそうだろうなと合点がいきます。 朝ゆっくり過ごしたので歩き出しは午前10時近い時間でした。山頂付近に雲がずっとかかっていましたが、歩いている途中で時々とれて、昨日のようにコニーデの美しい姿を私たちに現してくれます。 今日は昨日と違うルートどりで七高山へ登りました。どんなルートで登ってもだいたい時間的には変わりませんが、急斜面の登りを避けたりできるのでそれぞれの登山者やスキーヤーによってルートの嗜好が違うようです。ただ霧に巻かれた時は迷路の中にいるようなものなので油断は禁物です。慣れてない人は竹竿でルートが示してある正規ルートが安心だと思います。 七高山山頂には午後12時39分到着。時々山頂部に雲がかかるので、昨日ほどの天気には恵まれませんでしたが、今シーズン最後の滑り納目になるかと思うと、今日のお天道様に感謝です。ところで、七高山山頂直下の雪の上に、人がとても持ち上げられない大きな岩が、今にも雪の上を転がり落ちそうな状態でポツンと一つあるのに気付きました。昨日はあったのかな? 下から知らずに登っていたのかと思うと、背筋が凍りました。下の写真の左に写っています。 すぐに下山。昨日と違う斜面を選びながら滑りました。 どの斜面もたくさんのスキーヤーやボーダーの滑った痕が残されていましたが、それでもまだまだシュプールのない斜面を見つけて大いに楽しませてもらいました。 鳥海山の植生はシークレットkuniの群馬の山と比べるとかなり違っていてなかなか興味深いです。また北アルプスの高山帯とも違います。そんな中でいつも感動するのが風や雪に耐え続けている岳樺の姿です。これほどのものは、白砂山稜線でもまだ出逢ったことが無いです。 そして帰り道、豊かな雪の恵みにも感動させられました。鳥海山のふもとの田んぼには水が張られ、いよいよ田植えが始まっていました。美しい日本の農村風景です。 こちらも、これからグリーンシーズンが忙しくなりそうです・・・

2025鳥海山BC偵察新山5-15

ブルーラインからの笙ケ岳BC偵察の翌日は、祓川口に周り七高山から新山往復コースを滑ってきました。昨日に続いて山日和な天気予報ですが、日中少し薄曇りな時間もありました。朝早くスタートして登りも楽しみながらゆっくり歩きました。 こちら側も例年より残雪が多いのに感動です。しかもこのところ気温が高めなので、雪もちょうどいい具合に朝から緩み始めています。スキーアイゼンで山頂まで問題なく登れました。 七高山に家内を残して一人で新山を往復してきます。その間ずっと新山上空を大きな鷹が舞っていたようです。こちらは山頂から見下ろせる壮大な景色ばかりに心を奪われていたのでまったく気付きませんでした。 昨日登った笙ケ岳方向の景色を眺めます。日本海に浮かぶ飛島の姿は、今日は少し霞の中でボンヤリでした。 写っているスキーヤーは私で、なるほど頭上には大きな鷹が舞っていました。イヌワシかな? 七高山に戻って、百宅口方向への大斜面をダウンヒル。 でも途中から左へと進路を変えながら、なるべく綺麗な斜面を選んで滑ります。先日落としたカメラが戻ってきたので、お互いの写真をかわりばんこに撮りながらの滑降です。 少し縦溝が出来ているところもありましたが、雪が柔らかいのでそれなりに楽しむことも出来ました。 いつの間にかもうお昼の時間だったので、藪の出た風の当たらない場所でランチ休憩。ゆっくり休んでいると、山頂から滑り降りてくる人、これから登っていく人などが次から次と確認できます。天気がいい日は平日でもたくさんの登山者やスキーヤーが訪れる人気の山だということがわかります。 帰りに久しぶりに法体の滝に寄ってみました。雪解けの季節だからでしょうか、すさまじい迫力で流れ落ちていました。

2025鳥海山BC偵察笙ヶ岳5-14

ブナの新緑が芽吹き始めた鳥海山の森は、長い冬のトンネルからようやく抜け出し喜びが満ち満ちているように感じます。大平山荘へと続くブルーラインの九十九折れから、こちらもようやく長いドライブの果てに辿り着いた安堵感と上天気に恵まれたBCへのはやる気持ちが激しく湧き起こってきます。スキーを付けて歩き始めたのはすでに11時過ぎ。今日はお手軽な笙ケ岳へ。 日中は平地で20度を軽く超える初夏の陽気。適度に緩んだザラメ雪は心がなぜかウキウキします。途中からシールを外してウロコモードで歩きます。雪渓は迷路のようなので、帰りのルートもしっかり把握しておく必要があります。それでも下山時は迷いやすいので、念のためにGPSでログをとっておくのが安心です。やがて笙ケ岳が頭を出し始めました。 そしてついに鳥海山も全貌を現してくれました。鍋森の向こうに鳥海湖が隠れています。そして扇子森から続く文珠岳から仏拝岳、行者岳の外輪山と一体となった新山が迫力です。 笙ケ岳から南折川へと落ち込む急斜面も、見た感じ途中にクラックが入っているところもなく、今日のコンディションなら安心して滑りが楽しめそうです。 その先には万助小屋がある明るい大きな谷が広がっていました。 笙ケ岳山頂では、たくさんのボーダーやスキーヤーがのんびり休んでいました。昼寝したいくらいの気持ちいい風が吹いていました。私たちもゆっくり休んで、笙ケ岳の帰りは、日本海に向かって滑ります。 今日笙ケ岳山頂から眺めた鳥海山は、いたるところに滑りたい斜面がたくさんあってほんと悩ましい山です。

2025第1回ノゾリチャツお散歩ツアー5-12

第1回ノゾリチャツお散歩ツアーは、最高の大空に恵まれました。最初に訪れた野反湖畔にはまだけっこうな雪渓が残っていました。気持ち良い初夏の風を全身で感じながらのんびりお散歩するのは楽しいです。 お昼は野の屋さんでお蕎麦ランチです。今は山菜シーズンなので、舞天盛でも半分山菜の天ぷらにしてくれるサービスがありました。フキノトウとタラッペでしたが、きっと日によっていろいろ変わるかもです。 午後チャツボミゴケ公園へ移動する山道では、ヤマツツジが咲き始めていました。今週末頃見頃になる感じでした。そして穴地獄では温泉沢のほとりのレンゲツツジが、ちらほら咲き始めていました。 穴地獄の裏の池ではクロサンショウウオの産卵も終わっていました。モリアオガエルの鳴き声も時々聞かれました。

野反湖トレッキングガイド偵察2025-5-10

もう2週間以上前に、地蔵山付近で落としたカメラを拾ってくれた方がいてビジターセンターに届けておいてくれました。偶然見たSNS投稿に自分のカメラが写っていて、さっそく引き取るために野反湖へ出かけてきました。そのついでに野反湖畔を少し歩いてきましたが、春の兆しをあちこちで発見できて楽しい散策でした。 残雪は例年よりかなり遅くまで残りそうです。これから咲き始める春一番の花たちは、雪解けと同時に次々と咲き始めていくことでしょう。 野反峠の展望台から湖畔に降りていく途中で、タカネザクラの蕾が膨らみ始めていました。明後日のお散歩ツアーの時にはいくつか開花してくれそうです。落葉松の新緑も天気のいい日が続けば、来週末くらいに楽しめそうです。 あいにく霧が巻いて野反湖の景色は楽しめませんでした。霧のベールの向こうで釣り師が竿を振る音だけが湖の静寂を割って聴こえてきます。 今日の野反湖の気温は10度以下でしょう。歩き出した時はダウンと手袋がないと寒いくらいでした。丸山の急坂を登って正一小屋が見える山頂まで来たら、ようやく体があったまってきました。 野反湖を一周する湖畔道には5月いっぱいくらいまで残雪が見られることでしょう。特に西側は山陰になるので、雪渓が完全になくなるのは、今年は6月になるかもしれませんね。まして野反湖を囲む八間山や三壁山などは、6月になっても残雪で登山道がわからなくなって道迷いしやすい状態かもなので、初心者の方は注意が必要です。

尾瀬・燧ケ岳BC偵察2025-5-8

5月2日に桧枝岐側から登った時は、天気が良くなくて頂上直下の標高2200mでやむなく引き返しました。まだ雪もありそうだし、天気も今回は恵まれそうなので、群馬側から再チャレンジです。朝大清水を7時頃スタート。今回は長靴を履いてシートラで雪のある三平峠手前の稜線まで歩きました。一ノ瀬から十二曲がりの区間が雪渓の踏み抜き等なかなか悪戦苦闘の歩きで疲れました。三平峠手前でようやくスキーモードにチェンジ。 三平峠から尾瀬沼への下りで燧ケ岳が姿を現しました。今日滑る計画のナデッ窪の様子もよくわかります。白く美しく輝く燧ケ岳は、一昨日の雨の日は雪だったのかもしれません。 長蔵小屋前を午前9時40分頃通過。除雪作業などは行われているようですが、この時間人の気配もなく静かでした。 ここから先行者は誰もいないようです。残雪もまだ十分で、枯れ枝がたくさん落ちているのが鬱陶しいくらいで、長英新道ルートはどこでも自由自在に選んで歩けました。尾根の4合目くらいまで上がると、先週滑った会津駒ケ岳が目に飛び込んできました。 ミノブチ岳手前から硫黄沢源頭をトラバースして徐々に高度を上げる頃、爼嵓がいよいよすぐ頭上に近付いてきます。帰りの滑りはコンデョション良さそうです。このままスキーアイゼンを付けてシールで登れそうにも見えますが、最後の頂上直下が厳しそうです。ここは急がば回れで、夏道のある柴安嵓との鞍部に回り込みました。 頂上までの最後の登りは再びシートラです。岩がゴロゴロして歩きにくい急坂が続きますが、シートラの選択が正解でした。スキーアイゼン付けてても、最後の詰めは結局スキーを脱いだでしょう。 午後12時半、俎嵓山頂到着。御池からの登山者やスキーヤーはだいたいが下山したようで、山頂はとても静かでした。 尾瀬ヶ原や至仏山もまだまだ白くて残雪豊富です。少し休んで下山です。 硫黄沢源頭の急斜面を慎重に大回りターンで高度落として、ミノブチ岳と赤ナグレ岳との鞍部にあるナデッ窪の源頭に滑り込みます。 尾瀬沼めがけて気持ちよく滑ることができました。 みるみる高度が下がり、尾瀬沼畔まであっという間に滑り終えてしまいそうなので、時々止まって景色をゆっくり楽しみながら下りました。 尾瀬沼はまだ薄い氷に覆われていました。以前一度だけ、それは4月初め頃でしたが、湖面を対岸に渡ったことがありますが、このまま湖面ルートで三平峠を目指せたらどんなに楽でしょう。 オンダシから浅湖湿原へと抜ける黒木の森をウロコスキーで快調に進みます。ふと頭上の青空に目をやると優雅に舞う大型の鳥に気が付きました。あの堂々と旋回する姿はイヌワシでしょうか。 長蔵小屋付近を帰りに通過する時は、除雪作業の音が寂しく響いていました。今年のGWは、小屋営業をしていなかったようなので、これからいよいよ小屋開け準備が忙しくなることでしょう。 長蔵小屋午後1時40分通過。大清水午後4時30分到着。群馬側からの燧ケ岳BCは、往復9時間半のちょっと長めの日帰りBCツアーでした。

中之条町・嵩山トレッキングガイド2025-5-5

山と高原地図浅間山の2025年度版から吾妻の山のコース紹介が新しく加わり、この嵩山ももちろん掲載されています。毎年5月5日の子供の日に嵩山祭りが盛大に開催されているということで、どんな様子か楽しみにしてやってきました。駐車場は大変混雑するということで、お隣の中之条ガーデンズからE-MTBでのどかな山里の新緑を楽しみながら正面に聳える嵩山へ。 嵩山登山口になる道の駅嵩山に近付くと、親都神社の祭典が始まっているようで、道の駅内にはいろいろなキッチンカーも立ち並び、これからいよいよたくさんの来場者で賑やかに盛り上がり始めた雰囲気が伝わってきました。観光協会の方も忙しく動かれていました。 今回は東登山道からスタート。チゴユリやジュウニヒトエの花が道脇にたくさん咲いていて和ませてくれます。途中から大天狗に行かず胎内岩コースに入りました。ここにも鎖場が待ち受けています。 そしてここを通過できるかどうか試されます。もし通過できない人は潔くあきらめて回り道コースを歩きましょう。ほどなく小天狗へと続く山頂部の稜線に上がると、あちらこちらでファミリーやグループ登山者の賑やかな話し声が聴こえてきます。まずは烏帽子岩と五郎岩コースへ。 新緑が始まったばかりの森の小道は、ヤマツツジやミツバツツジがちょうど見頃で目を楽しませてくれます。こちらのコースは登山者は誰も来なくて静かだったので、五郎岩でゆっくりとお昼休憩にしました。 昼食後、五郎岩から仰ぎ見た大天狗へ登りました。さすがにこちらは次から次へとたくさんの登山者が登るので、小さな山頂は順番待ちもあります。今日の子供の日は小さな子供たちもファミリー登山で登りに来ていて、キャッキャキャッキャと本当に賑やかで楽しそうでした。 大天狗の後、中天狗を周って小天狗へ。最後の見納めに小天狗から吾妻の景色を見渡します。まだ白い山並みの白砂山から上の倉山にかけての群馬県境稜線の山々は、上杉氏が支配する越後の国との境です。 左に目をやると吾妻谷の景色が広がります。さらに奥には浅間山があり、その向こう側は真田氏の居城、上田城のある信濃の国です。 道の駅嵩山には、無料で観覧できる忍者資料館がありました。吾妻には他にも忍者が活躍した山城のある里山がいくつもありますが、これらの山に登って戦国時代の忍者が見た山頂からの景色に思いを馳せてみるのも楽しいです。 トレッキングコース探査・嵩山2024-5-21 – 山雨海風のウラヤマな日々2

ガラン沢・惣吉地蔵偵察2025-5-4

ガラン沢の入渓アプローチルートとして利用価値のある惣吉地蔵コースを偵察してきました。歩く人が少ないので登山道の崩壊も年々進み、かなり一般的には険しいルートです。キノコ沢の標識からもわかるように、クマさんの気配も濃いです。 キノコ沢を渡ると右岸を少し高巻くように道がついていて、まずここが滑落注意です。さらに進むとまた小さな沢をまたぐのですが、ここはぬかるみが深くて高巻きたくなります。今回はまだ条件が良く道なりに通過しましたが、雨天時はいやらしい場所です。 クマさんの落とし物もありました。1週間くらいたっている感じだったのでちょっと安心しました。今の時期は見通しがいいのでクマの気配も察知しやすいですが、これから森の木々の緑が濃くなっていく季節はクマさんに遭わないように注意が必要です。 馬止から1時間ほどで惣吉地蔵に着きました。大きな岩に守られるように古い地蔵と白い犬の石像が祀られています。 大正5年冬、猟師の惣吉さんは熊打ちでガラン谷に入りましたが、岩場で誤って転落骨折。動けなくなったことを悲観して自ら銃で命を絶ったそうですが、そばにいた愛犬が主人の死を知らせるがごとく村へ戻ったそうです。そして主人の惣吉のもとへ村人たちを導いたということです。 この辺りからいよいよガラン沢も切り立った壁のような断崖が両岸に深く刻まれるようになります。遠くに見える白い峰は赤石山のようです。眼下には雪代でにぎやかな流れの音が響くガラン沢も木々の間から垣間見えます。 秋の頃、何度かガラン沢温泉まで沢登りしたことを思い出します。また2003年10月終わりの頃、横手裏の沢まで沢登りして芳ヶ平へ抜けたこともありました。 ゆっくりお昼休憩した後、下山しようと立ち上がると何やら古い標識が落ちているのを発見しました。ガラン沢を下降してくる人が迷わないようにこんなプレートも設置されていたようです。ここから上流にそういえばピーコック碑も大きな岩に設置されているから、それもたまには見に来る人がいたのかもしれません。 往路を戻る帰り道、まだ新緑が始まったばかりの森の中をのんびり春の息吹を感じながら歩きました。 追記 ガラン沢を遡る 魔の谷ガラン沢と呼ばれているが、実際はそれほどの悪渓ではない。秋晴れの1日、志賀の稜線目指しての沢歩きは爽快だった。特に上のガランの景色はなかなかのものだった・・・ 惣吉地蔵を過ぎガラン沢に降りたって、フェルト靴に履き替える。紅葉も盛りを過ぎ、沢底の空気は冷たくどんよりしている。私たちより先に一人、沢を歩いている人の濡れた足跡があった。どうやら湯ノ沢の温泉を目指しているらしいことを確認し、本流を遡る。今度は熊の足跡を発見。ガラン沢は昔から熊の猟場として有名なだけに、ここまでにも熊の糞はたくさん見かけてきたが、沢の砂地に足跡を見つけたときはちょっとあわてた。ガラン沢には岩穴が多い。こういうところには、夏の暑い日など熊が涼んでいるから気を付けた方がいいと、後になって聞いた。ピーコック碑を過ぎると、だんだんと巨岩が現れてくる。この先を歩くのは初めてだ。ルートはわかりやすい。ただ、水に濡れるのが嫌だから、ついつい飛び石できそうなところを探して、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。巨岩の隙間をよじ登り、ガレ場をびくびくとトラバる。高巻きだなと思ってよじ登ったところには必ず古い残置ロープがぶら下がっていて、ド迫力の上のガランも難なく越した。岩小屋の前でお茶にした。 振り返ると一つ石が眺められた。春スキーシーズン、小高山の帰路に一つ石の山頂からこの上のガランを眺めた自分を懐かしく思い出す。宮手沢、白沢、白水沢、草沢、鉢沢と分けながら、本流をのんびり歩いた。横手裏沢の頃、日は足早に傾き、遙かに横手山の樹氷が寒々と眺められる。日がとっぷりと暮れ、ようやく芳ヶ平の小屋に辿り着いた。(2003年10月28日 馬止登山口~惣吉地蔵~上のガラン~横手裏沢~中電歩道~芳ヶ平ヒュッテ)