偵察

夏の終わりの白砂山~八間山周回ルート探査2024-9-3

台風11号が発生した影響もあるのか、湿った南風の影響で天気予報は晴れマークにもかかわらず稜線には絶えず濃い霧がかかっていました。 せっかくの白砂山山頂ですが生憎の展望でした。 代わりにキアゲハが私たちの目前の地面に羽を広げて止まっているのを見つけました。 山頂で30分くらい天気待ちしましたが、なかなか霧が晴れそうにないので下山します。山頂から金沢レリーフまでは南斜面のガレ場にホソバコゴメグサの小さなかわいい花がたくさん咲いていて見事でした。 猟師の沢の頭付近で少し空が明るくなってきて、いよいよ白砂山山頂も霧が晴れて見えてくるかなと期待させてくれます。 しかしながらまたすぐに霧が湧き流れがっかりさせてくれます。でもその代わりに、稜線を流れる霧の風景も幻想的でいいものです。 堂岩分岐で往復ルートで戻るか八間山周回ルートにするかコース判断をしたときには、まさかこの後雨が降ってくるとは思いもしませんでした。予定通り周回ルートで八間山を目指します。 中尾根の頭から振り返ると、白砂山山頂部分だけはいつまでたっても雲がかかっているようでした。黒渋の頭まで樹林帯の尾根を鞍部まで下ります。その途中でポツポツと雨が落ちてきました。すぐに止むだろうと気にせず歩き続けましたが、次第に強くなってきて本格的な降りになってしまいました。 折り畳み傘もレインウエアも面倒でザックの中から取り出したのはずぶ濡れになってからでした。でもこの夏の終わりの時期ですから、雨にしばらく打たれるのが気持ちいいというのもありました。 八間山に着くころ雨もすっかり上がりました。振り返ると白砂山山頂の姿も薄く眺められました。 何もかもしっとりと濡れた雨上がりの森のたたずまいも格別です。そういえばアキアカネは、群れで飛んでいなかったです。もう山を下りる季節になったでしょうか。

芳ヶ平湿地群ネイチャーラーニング2024下見

台風10号はまだまだ想定外な動きで、これから各地への大きな被害が心配されます。関東北部の山は今週末から来週明けにかけて最接近しそうです。今日の天気も台風の影響で不安定な空模様でした。 でも穴地獄のチャツボミゴケは蛍光グリーンの新緑が少しずつ増え始めています。どんよりとした日でも目に鮮やかできれいです。 1万6000年前の火山活動によって形成された芳ヶ平湿地群の溶岩台地の森にひっそりとある三つの池を巡りました。 リンドウやアキノキリンソウ、シラネニンジンの花が咲いていました。オオカメノキの赤い実も熟し始めていました。 珍しいものを見ました。アズマヒキガエルの骨格標本です。大自然の小さなんドラマも感じられます。 ぽつりぽつりとは降られましたが、大したこともなかったので無事に下見が出来ました。途中気になっていた倒木も処理できました。本番の芳ヶ平湿地群ネイチャーラーニングが楽しみになってきました。

第2回ぐんま県境稜線トレイルDエリア探査2024-8-23

台風10号が発生してしまいました。来週中頃まで天気は悪くなることがあっても良くなることはないので、思い切って歩きました。雲海の下は雨雲だったようで、草津温泉は朝から雨でした。 横手山頂からの四阿山や草津白根山は、とても幻想的な景色が楽しめました。ところで今、草津白根山は噴火警戒レベルが1ですが、山頂部の登山道は立ち入り禁止です。山頂に立てないので、日本百名山巡りをしている人たちの中には、この横手山頂に登って草津白根山に登ったこととしているようです。この景色を見るとなるほどって納得ですね。 スキー場のゲレンデを下ってのぞき分岐から登山道に入りますが、このゲレンデからの景色がいつも癒されます。早朝のこの時間に歩くからさらにいいんでしょうね。 登山道に入ると、ほぼ根曲がり竹のジャングルの中を進みます。そしてぬかるみが待ち受けています。全区間を通して最悪のぬかるみがここです。ストックが一本あると便利です。ここは左端ぎりぎりを進みますが、最後の一歩でストックがあると大股でぬかるみにはまらず通過できます。 3時間弱で渋峠から赤石山着。山頂から大沼池を眺めながらゆっくり朝ごはんです。ムジナ平の水場でも見ましたがここでもイワウチワが見られます。 ちょうど午前8時赤石山からいよいよダン沢の頭へ。仙人池に寄ってみました。 この区間は、根曲がり竹の藪漕ぎを覚悟していましたが、全然大丈夫でした。ただ根曲がり竹でなくてもっと細いクマザサや草に覆われているところが藪漕ぎで鬱陶しいところもありました。これくらいは大したことないかな。個人的見解です。ただびしょ濡れになるのでレインパンツを履いたほうがいいです。 ダン沢の頭午前9時過ぎ通過。ダン沢の頭からは最近刈払いが終わったばかりでした。まるで高速道路です。オッタテ峰、オッタテ峠と快適に進めました。振り返るとダン沢の頭とオッタテ峰がわかります。 さらに小高山、五三郎小屋分岐と進みます。五三郎小屋の水場も確認。五三郎小屋は誰か使用した跡がありました。 大高山の登りはいつもけっこうつらいです。でもここを頑張れば野反湖までもう少しという感覚になります。ラジオでは静岡県でゲリラ雷雨みたいなことを報じていますが、この辺りは大丈夫そうです。魚野川源流をはさんで岩菅山連峰の空も明るいです。 大高山山頂午前11時通過。カモシカ平から三壁山までいよいよ最後の登りを頑張ります。三壁山からの下りで野反湖が眺められればもう一安心です。雷雨に逢わずに歩くことが出来ました。あと熊の痕跡も見当たらなかったです。 野反湖には午後1時ゴール。ジャスト8時間のコースタイムでした。赤石山からダン沢の頭までの登山道が整備されて歩きやすくなったらもっとコースタイムが縮むことでしょう。

第2回ぐんま県境稜線トレイルCエリア探査2024-8-20

台風シーズンになると、天気予報がコロコロ変わるので、稜線トレイルの縦走の日をいつ決めるかは直前になってしまいます。いつ雷雨にやられるか不安なので、どうしても慎重になります。野反湖の白砂山登山口を朝5時にスタート。思ったより空気は澄んでいて堂岩分岐からの白砂山の絶景がこれからの長い縦走路の心配を和らげてくれました。 薄い雲がかかり始めていますが、群馬県側の空は榛名山がはっきり見えるくらい青くて安心させてくれます。 新潟県側は、佐武流山が渋沢源流を挟んで大迫力です。苗場山、鳥甲山などもこの稜線でしか見られない姿を拝むことが出来ます。 堂岩山から白砂山までの稜線は、貴重な高山植物の宝庫だと思います。登山道は幅が狭く朝露でびしょ濡れになりますが、どこも人間中心主義というわけにはいかないものです。夏のこの時間であれば衣服がびしょ濡れになっても、ギラギラの太陽が昇ればすぐに乾いてしまうでしょう。いったん着用したレインウエアは蒸し暑いのでまたすぐに脱いでしまいました。 お花畑の花の種類もいつの間にかずいぶん変わっていました。休日で天気が良ければ賑わっているだろう白砂山山頂はとても静かでした。 白砂山からは先週刈払いされたばかりの登山道が忠次郎山まで続きます。この稜線に続く1本の登山道を前にして歩きたいと思わない登山者はいるでしょうか。 猟師の尾根の頭あたりまでなら白砂山から往復1時間です。上の間山なら白砂山から往復2時間みれば、奥深い群馬県境稜線トレイルの素晴らしさをさらに深く味わうことが出来ると思います。 ずっとNHKラジオを聞いて天気予報をチェックしていましたが、今日はどうやら夕方くらいまで天気も大きな崩れはなさそうで一安心です。 白砂山から赤沢山くらいまでは稜線漫歩を楽しみました。赤沢山を過ぎて忠次郎山への登りがちょっと辛くなります。上ノ間山山頂から赤沢山と忠次郎山が真正面に眺められます。刈払いされたばかりの登山道もくっきり稜線にわかります。 右下に白砂川源流の赤沢源頭斜面が広がります。スルスの岩洞に泊まってこの沢を遡行してくるのがクラシックな沢登りルートです。 今は崩壊して稜線ですが、かつては湿地があるようなところだったのかもしれません。稜線直下のガレ場でイワショウブが見られます。7月の歩いた時はキンコウカが見られました。 分水嶺が複雑な地形の白砂川源流域の山々です。どこがどうなのか見えてくるまで慣れていても少し時間がかかってしまいます。 ヤマドリゼンマイの群生地にキオンの黄色が鮮やかできれいでした。この近くにゲイロの井戸という湧水池があります。 めったに登山者もやって来ないから、ホシガラスが興味をもって近付いてきました。 忠次郎山まで快適に整備された登山道でしたが、いよいよここからは今年まだ整備が入っていない登山道になります。日当たりのいい斜面はやはり笹の伸びが激しいです。上ノ倉山の前後は胸まで笹が繁茂しているところがありました。笹の中が見えないので、ペースがゆっくり目になります。 行く手の大黒の頭山頂付近に雲がかかり始めました。やはり天気の急変が心配です。油断はできません。 まだ10時前なので、順調なタイムでここまで歩いてきていますがゆっくりはしてられません。白砂川源流のダイナミックな景色を眺めながら急ぎます。 ムジナ平避難小屋は最後に使った人がとてもきれいにしてくれたことがわかり安心しました。ムジナ平の水場も冷たくておいしい水がちゃんと出ていました。ここは笹清水と名付けてあるように、笹の葉っぱで上手にペットボトルに汲むのが効率的です。短時間で大量に汲めませんが名水だと思います。セバトノ頭を抜けると笹平です。この辺りも笹が盛大に伸びていました。胸辺りまで体が没してしまうところもありました。9月中に整備が入る予定だそうですが、なるべく早く入ってほしいところです。笹平の群馬側の斜面は四万川源頭になります。ここもなんとなく心が癒される景色で好きです。三坂峠には正午過ぎに到着。旧三国スキー場へのエスケープルートを下り迎えの車と合流しました。野反湖から旧三国スキー場まで8時間のコースタイムでした。登山口ではずっと工事現場になっていますが、登山者の通行は優先してくれています。

チャツボミゴケ公園~神秘の3池巡りトレガイド探査

7月後半から緑が少なくなって休息?期間に入っていた穴地獄のチャツボミゴケですが、少しずつ新緑の若芽が萌えだしているように感じました。残暑がまだ続くようですが、これから少しずつ秋へと季節が進んで行くにしたがい穴地獄が緑色に覆われていくと思います。 今日は穴地獄から水池、大池、八石山、平兵衛池と周りました。穴地獄より上の登山道沿いでは、花はもうほとんど見られず、ミヤマアキノキリンソウとヤマハハコ、シラネニンジンがほんの少しでした。大池ではいろんなトンボがたくさん飛び交っていました。ちょうど繁殖活動にはいっているようです。そういえば穴地獄でも盛んに産卵活動しているトンボがいました。 八石山で雨に降られることが心配でしたが、天気はなんとか持ってくれて助かりました。山頂から本白根や草津温泉の街並みが眺められて登った甲斐がありました。浅間山は残念ながら薄い雲に隠れてなかなか姿を現してくれませんでした。 六合村時代の24年くらい昔の穴地獄の写真を探してみました。古い木道の様子がわかります。その頃は穴地獄の古い看板があるのみで、チャツボミゴケという名前はまったく認識していませんでした。

群馬県境稜線トレイル・白砂山の夏2024-8-1

朝早い時間の白砂山登山道は静けさの中で小鳥のさえずりだけが賑やかに聴こえてきます。地蔵尾根からシラビソ尾根へとコメツガやシラビソの暗い森の中には、小さな花がひっそりと咲いていました。 堂岩分岐から稜線漫歩が始まります。毎日下界では猛暑のニュースで賑わっていますが、白砂山稜線に吹く涼風は肌にとっても気持ちいいです。 猟師の沢の頭からの360度の展望はまさに絶景です。まずは渋沢源流を挟んで眺められる佐武流山や鳥甲山に惹きつけられます。どちらも日本には二百名山です。特に夏休みは白砂山と合わせて全国から訪れる登山者が増えます。 まずは渋沢源流を挟んで眺められる佐武流山や鳥甲山に惹きつけられます。どちらも日本には二百名山です。特に夏休みは白砂山と合わせて全国から訪れる登山者が増えます。 八十三山も迫力があります。この山には登山道がありませんが残雪期で条件が良ければ容易に山頂に立てます。 歩いて来た堂岩山からの登山道を振り返ります。右奥には野反湖から続く群馬県境稜線トレイルの山々と横手山、左奥には八間山と草津白根山、浅間山連峰がわかります。 さらに左に目をやると、白砂川最大の支流である猟師の沢源頭を挟んで榛名山と関東平野、赤城山です。 さて休憩がてら景色を楽しんだので、白砂山を目指しましょう。金沢レリーフの手前の林の木陰でもコキンレイカがひっそりと咲いていました。さらに最後の急登では、南面のガレ場にお花畑が随所に現れて、登山者の目を大いに楽しませてくれています。 白砂山山頂から、群馬県境稜線トレイルの山々が谷川連峰へとまだまだ果てしなく続いてくようです。

ぐんま県境稜線トレイルCエリア探査2024-7-18

ようやく天気が安定しそうな晴れマークの予報になったので、待ってましたとばかりにCエリアを縦走してきました。朝のうちは高曇りながら雨上がりで空気がとても澄んでいて、猟師の沢の頭では絶景を楽しみました。富士山もはっきりとわかりました。 白砂山までは右に左に思わずうっとりと眺めたくなる素敵な山々が次々と現れます。八十三山、鳥甲山、佐武流山、苗場山、浅間山、榛名山、赤城山・・・ 白砂山山頂からは振り返ると横手山の右端に槍ヶ岳もくっきり。お花もニッコウキスゲやタテヤマウツボグサ、ハクサンフウロ、コメツツジなどが綺麗に咲いていました。 白砂山で休んでいると太陽がギラギラと顔を出し始めました。なんとなくこの時に梅雨明けの予感がしました。下山後関東甲信地方の梅雨明けが発表されたのを知りました。 Dエリアを歩いた時も感じましたが、今年は笹の伸びがおとなしい感じで草藪が気になりません。さすがに南面の日当たりのいいところはイタドリなどが胸くらいまで繁茂している箇所もありますが、総じて大したことないです。(個人的見解です。)C-34の標識がある新潟県最南端でいつものように携帯で順調に歩いていることを報告。 白砂山から上の間山までの稜線でもいろんな花が登山者の目を楽しませてくれました。今回見頃だったのは、コキンレイカとキンコウカ、コバギボウシ、ホソバコゴメグサ、ミヤマコウゾリナの花々でした。 赤沢山から忠次郎山への登りで、今日は熱中症に気を付けなきゃと水分補給をこまめに摂ることを心がけます。ムジナ平の水場で冷水を補給するのが楽しみです。 清津川源流を挟んで白砂山三国境から佐武流山へと続く稜線や鳥神山が眺められます。雪渓がまだ少し残っているのがわかりました。蒸し暑さで雪が恋しくなります。 右側には白砂川源流域全体が大迫力で俯瞰できます。そしてムジナ平から笹平、三坂峠へと続く緑の森の稜線が続いていくのがわかります。 今回もアキアカネの大群が登山者の親衛隊のように護衛してくれたので、鬱陶しい虫はほとんど近寄ってくることはなく快適に歩かせてもらいました。 忠次郎山から上の倉山、大黒の頭へと最後のきつい上り下りを頑張れば、あとは三坂峠まで下りベースの歩きです。ムジナ平避難小屋には予定通りの12時正午きっかりに到着しました。 笹清水では清らかな湧水が潤沢に流れていました。周りではミヤマカラマツの白い花が清楚に咲いていました。 ブナの実の成りは今年はどうなのでしょう。三坂峠までの稜線トレイルで見かけたブナの様子では、ブナの実をつけている木では豊富に感じました。落ちていた実の固い殻をこじ開けて中身を見たら、しっかりとした実が詰まっているように思えました。

偵察野反湖トレッキングガイドノゾリキスゲ満開2024

雨上がりの午後遅い時間、明日のガイドの下見のために野反湖にやってきましたが、これほどまで見事な咲きっぷりだとは想定外でした。 誰もが思わず歓声を上げてしまうでしょう。 富士見峠から正一小屋、丸山から湖畔へ下りました。 そして池平からイカ岩駐車場に上がって富士見峠まで。このコースはノゾリキスゲ鑑賞のゴールデンコースです。 その後反対側のキャンプ場に周って、テン場のお花畑へ向かうと、次の花が満開に向けて準備し始めていました。

芳ヶ平ネイチャーラーニング研修会2024-7-9

遠くの山が見渡せるくらいの高曇りの天気だったので、蒸し暑さも和らいで逆に研修会にはもってこいの一日でした。渋峠の塔の池では孵化したばかりのモリアオガエルのオタマが泳いでいるのを確認しました。今年は雨が少ない年のようで、芳ヶ平湿原までの登山道は水溜りやぬかるみが無く久しぶりに歩きやすく下れました。希少な花にも巡り合えてラッキーでもありました。 今回の研修のメインテーマは、5月23日に行われた獣害防止ネット設置作業の現地視察とニホンジカ対策の現状と課題についてです。他にも新しい木道整備の取り組みのことや笹刈整備の植生への影響などについて学びました。 今年の芳ヶ平湿原のワタスゲは数が少なそうでしたが、大きく成長した綿毛が風に揺られて綺麗でした。代わりにツルコケモモの花がこんなに咲いているのを見たことが無いくらいでした。ニッコウキスゲが満開の野営場でお弁当を食べて、いよいよオムスビ山登山道を下って大平湿原へ。 設置作業をした5月23日から1か月以上たつと、様子はガラリ変わっていました。ヤマドリゼンマイの草原の藪漕ぎでやっとこさ現地へ。 やはり新しいニホンジカの足跡はありました。獣害防止ネットの効果は歴然で、柵内の水芭蕉は被害に遭うことなく無事でしたが、柵外の水芭蕉は今年もほぼ全滅のようでした。 でも芳ヶ平湿地群のニホンジカの生態調査では、まだ生息数は多くないようです。手遅れにならないうちにニホンジカ対策の先進地の成果を生かした試みをこれから進めていくようです。芳ヶ平ネイチャーラーニングでも探求素材として取り入れていけたらいいなと考えています。 偶然ですが、5月23日の設置作業の記事が上毛新聞に出ていました。

ぐんま県境稜線トレイルDエリア探査2024-7-6

ノゾリキスゲが満開の見頃な野反湖から歩きだします。昨夕からの激しい雨も朝方にはすっかり止んで穏やかな朝です。 歩き始めると、草藪の露がすぐに足元をびしょ濡れにさせてくれました。まだそれほどまで伸びていなくてスパッツだけで大丈夫かなというのは甘い考えでした。たまらずレインパンツを履きます。宮次郎清水は枯れていました。ホソバミゾホウズキの花を楽しみにしていましたが、どうだっけ?これから咲くのだったかな。通い慣れた道を歩くのは、なじみの花に逢えるかどうかも楽しみの一つです。 ふだんは珍しくない小さな花も、雨に濡れた姿はどれもびっくりするような美しさを見せてくれることを発見しました。 でも三壁山を超える前にもうこんなに下半身はびしょ濡れになっちゃいました。登山靴の中にも浸水が始まる感じがしてきました。 Dエリアは意外とその良さが知られていません。ところどころ展望が開けるピークや草原などもありますが、シラビソやコメツガなどの針葉樹の深い森の中を歩く区間が多いのが地味なイメージなんでしょうか。苔生した森の小道ではゴゼンタチバナの花が咲き乱れているところは、なかなかのいい雰囲気でした。 大高山を超えると、天狗平とも細野平とも、もしくはミドノ平とも呼ばれている湿原が眼下に現れ、これから目指すDエリアの深い稜線の山々も現れます。 五三郎小屋の水場にも寄ってみました。荒れ果てた小屋ですが、しぶとく立ち続けています。内部の地面にはヒカリゴケがなんとなく薄気味悪さを醸し出しています。もう30年くらい前の厳冬期の2月に、この中にテントを張って泊まった思い出があります。 オッタテ峠からオッタテ峰、ダン沢の頭と過ぎると、赤石山がやっと近く感じます。ここはガラン沢を左に大きく俯瞰できるDエリアのもっともディープな区間です。両側が根曲がり竹に覆われているところは、クマの気配を常に警戒しながら歩かなければなりません。 赤石山への登りでは振り返ると魚野川源流のはるか向こうに苗場山や白砂山稜線が眺められました。 仙人池には大きく成長した水芭蕉が出迎えてくれました。ここまで来ればもう赤石山はすぐそこです。赤石山からは極端に人の気配が感じられるようになり、これまでの張りつめた緊張感が和らいでいくように感じました。