偵察

四阿山の夏2025-8-15

標高2354mの四阿山は、群馬県境稜線トレイルの一つのピークですが、単体の山として昔から水の神様や真田氏の信仰の山として、さらに日本百名山の山としてあまりにも有名です。そんな山ですから、山頂を目指す登山口や登山道は群馬県側からも長野県側からもいくつもあって、いろいろなルートを組み合わせ季節を変えて楽しめる山です。今回は、数あるルートの中でもっともお手軽に登れるルートです。ゴンドラ利用で標高2000mの稜線までらくちん移動。まずは浦倉山へ。浦倉山から米子大瀑布へ降りる登山道が、今年5月に開通したとの情報を得ていました。それが本当なら、米子大瀑布から根子岳を周って四阿山へと周回コースを歩く予定でしたが・・・・ 浦倉山から少し下ったところにある米子大瀑布へと続く分岐で登山道の激藪を前に予定変更即決です。笹はたっぷりの朝露に濡れていたので、おそらく10mも歩けば下半身はびしょ濡れでしょう。今回は無理せず四阿山を往復して野地平へ降りるルートで下山することにしました。 オオシラビソやコメツガの針葉樹の森が続く2000mの群馬県境稜線トレイルは、フィトンチッドの香りに包まれて快適な気分で歩けます。 つい先日登った白砂山の時にも見つけたコイチヨウランがいろんな場所でだれにも気づかれずにひっそりと咲いていました。 バラギ山ルート分岐からいよいよ急登が始まります。最初に山頂のごとく眼前に現れるのは、三角点のある北峰の2333mPです。あまり知られていませんが、ある方向から四阿山を眺めると四阿山は双子峰のようです。 山頂直下は両側が切れ落ちていますが、右も左も樹林に覆われているので不思議と恐怖感なく山頂まで歩けます。 山頂からは360度の絶景が楽しめます。今日も手軽に登れる100名山として、たくさんの登山者で賑わっていました。そういえば今年になって3度目の山頂です。 一度目は4月初めのBCです。鳥居峠までスキーを使って縦走しました。 2度目は、まだほんのちょっぴりでしたが残雪も残る新緑前の鳥居峠からのルートでした。山頂でゆっくりお昼休憩をして下山しました。 バラギ山ルートは、今年は通行止めのようです。来シーズンは歩けるようです。 野地平へ降りる下山コースで登山口のパルコールスキー場に戻りました。午後からゲリラ雷雨に遭うかもしれないと心配していましたが、途中ぽつりぽつりあったぐらいで無事安全に下山できました。野地平では、モウセンゴケの白い小さな花がたくさん咲いていて夏真っ盛りでした。

野反湖・八間山トレッキングガイド偵察2025-7-28

猛暑続きの7月、8月は早朝登山がお薦めです。ふだん見せてくれない美しい風景との出逢いに恵まれることが多いです。2年前は、野反湖のエビ湾に移流霧が観察できました。 湖面から発生した霧が、まるで山から流れ落ちてくるようなファンタジックな光景で驚かせてくれました。 たっぷりと朝露を纏った高山植物の花々も、日中厳しい陽射しを浴びている時の姿とは違う表情です。 今日もまたたくさんの陽光を浴びて、もっともっときれいに花を咲かせるんだというエネルギーが伝わってくるようです。 イカ岩の頭から山頂へと続く笹原の中の登山道が、綺麗に刈られて整備されていました。登りも楽しそうです。冬は絶好のスキーゲレンデになる斜面です。 ハチたちも花の蜜を吸いに活動が始まっていました。今日は午後になっても雷雨の予報はないので、安心して白砂山へ登って来られるでしょう。 八間山頂はまだ誰もいない静けさに包まれていました。そして山頂の先に目を移すと、朝日を浴びた白砂山稜線が綺麗に眺められました。 黒渋の頭へと続く登山道の笹も綺麗に刈りはらわれて、山並みに気持ちよさそうな線を描いていました・・・

令和7年度第1回登山道整備WG現地下見参加

谷川岳インフォメーションセンターは、雲が厚く小雨。今日の主催者や講師の方、参加者とともに谷川岳ヨッホ(ロープウェイ)乗り場まで徒歩。雨ということで他の登山客や観光客はほぼ皆無です。ロープーウェイに乗るのは、2015年以来だから10年ぶり? その時の登山道の様子はほとんど記憶にないです。ただ谷川岳山頂から一の倉岳へと続く稜線は、蛇紋岩質の岩稜で滑りやすかったことは覚えています。 午前9時半、濃い霧とときおり激しくなる風雨の中を熊穴沢避難小屋まで歩きました。そして、登山道の荒廃の様子を診断しながら、最適な補修方法の知見を講師から説明を受けました。 登山道整備は,、整備箇所の地形や植生などの様子をしっかり見定め、荒廃した原因を適切に診断することが最初の一歩です。雨水による浸食や登山者の踏圧による被害、その他にも積雪による木道の崩壊などです。またそれらに付随して起こる登山者の新たな踏み荒らしは貴重な植生の裸地化を広げます。そんな中で雨水の流れが登山道を荒廃させる一番大きな原因であることから、簡単にできる水抜き作業の実演は、参加者にとってとても参考になったのではないかと思います。 熊穴沢避難小屋に11時半到着。小屋内で昼食をとって12:00下山開始。次回9月に開催予定のワークショップでは、数ヵ所をピックアップして実際に登山道整備を体験する計画だそうです。 晴れていれば谷川岳の雄大な景色が楽しめたのでしょうが、今回は、雨の日だったからこそ登山道を流れる雨水を実地検分出来ました。とても有意義な現地下見になったと思います。

群馬県境稜線トレイルCエリア野反湖~三坂峠縦走2025-7-7

まもなく関東地方の梅雨明けが宣言されるとの予報でしたが、台風の影響なのか先延ばしされました。台風による湿った風の影響で午後から雷雨予報ですが、そんな空模様を心配しつつ群馬県境稜線トレイルのCエリアを歩いてきました。 堂岩山から楽しみにしていた白砂山へと続く稜線は視界不良。いよいよ濡れ覚悟で高山植物の宝庫である貴重な植生の這松帯に入ります。朝露に濡れた葉の陰にひっそりと咲くクロマメノキの花に癒されます。 ミヤマシグレはまだかわいい蕾です。 コメツツジの花は見頃の時期が短いので出逢えない年もありますが、今年はなんとか間に合いました。 コバイケイソウが当たり年のようです。堂岩分岐からセバトノ頭の先の笹平まで、笹原の斜面にはずっと咲き誇っていました。 上の間山までずっとガスの中でしたが、赤沢山付近で急にガスが切れだして青空も見えだしました。忠次郎山へのきつい登りでは、汗が噴き出て喘ぎ喘ぎなんとか山頂へ。ここからもまだまだ上り下りはありますが、視界が開けると気分も上がります。 上の倉山から大黒の頭、ムジナ平避難小屋まで白砂川源流の大パノラマに感動しながらの稜線漫歩でした。 オガラバナの花もずっといろいろなところで目を楽しませてくれました。薄緑の透き通るような葉と塔花が初夏の風に吹かれている様子がなんとも美しい木です。 ムジナ平避難小屋で一休みして水場の点検。どちらも異常なしです。登山道上の笹薮の伸び具合ですが、笹平のように笹が特別早く伸び始める場所は例外として、まだそれほどでもなかったです。 クマの新しい痕跡や気配も今回はまったくなし。心配していた三坂峠から旧三国スキー場までの下山道も、最近草刈整備が行われていました。稲包山方面も綺麗に整備されていて歩きやすそうでした。

芳ヶ平湿地群ガイド研修会2025-6-26

ここ数日は雨マークの日が続いたのと、昨夜半は大雨だったようで、渋峠からの登山道を歩くのに長靴が大活躍しました。大きな水溜りと沢下りの連続がダマシ平まで続くので、長靴なら水溜まりの深さも気にせずバシャバシャ歩けました。ただ滑りやすい岩もゴロゴロしているので、転倒注意です。ダマシ平手前に今も置かれている江戸時代の古い石碑は、当時の道普請の記念碑だと思われますが、この登山道がいかに長い年月をかけてたくさんの人が歩いて来たかということを伝えてくれているようです。 午後からの雷雨予報が気になりますが、午前中は穏やかな天気に恵まれました。ただ知らぬが仏で、この時間帯に草津白根山の火山性地震が活発になっていたとのことです。私たちは次々と咲き誇る高山植物の花々に心奪われながら歩いていました。 オオシラビソやコメツガ、トウヒの森の小道には、モミジカラマツやツマトリソウ、ミツバオウレン、マイズルソウ、イワカガミ、ゴゼンタチバナ、イワナシ、クロウスゴ、コヨウラクツツジ、ツガザクラなどたくさんの花々が見られました。いよいよ芳ヶ平湿原に降り立つと視界が一気に開けて心が躍ります。ワタスゲの白い穂が緑の湿原に点々と散りばめられた様子が鮮やかに目に映りました。今度中学生を連れてガイドする下見を兼ねての研修会だったのですが、このような景色が楽しめることが出来るような天気になってほしいと思います。 湿原ではヒオウギアヤメやツルコケモモの花が咲き始めていました。モウセンゴケも蕾が見られるものもありました。野営場でお昼ごはんをゆっくり食べてから大平湿原へとオムスビ山を下ります。 少し笹薮が伸び始めていましたが、大平湿原を眼下に眺めての雄大な景色が開けて気持ちいいです。コメツガの森の林床にはギンリョウソウが咲き始めていました。 大平湿原まで下りた頃に雨粒がぽつりぽつりと落ちてきました。何度か遠雷も響いてきました。四つ角から池巡りをせずまっすぐ穴地獄へ下る道を選びます。結局本降りにはならず、穴地獄ではモリアオガエルの卵塊やチャツボミゴケの群生をゆっくり観察する余裕もあり、充実した研修会の一日でした。

志賀高原・四十八池トレッキングガイド2025-6-19

まだところどころ雪渓が残る志賀草津道路の峠道を越えて志賀高原へ。途中の草津温泉が見下ろせる展望台でぐんまちゃんに出逢えました。標高2172m芳ヶ平湿地群展望台付近の気温は19度で、おそらく今日の下界の猛暑からは想像できないような涼しい風が吹いてました。 片道600円の前山リフトで前山湿原へ。ワタスゲの大群落に迎えられました。 これからまだまだ綿毛が成長していきそうです。7月頃になれば、晴れた日の風の強い日にいっせいに綿毛が飛んでいくことでしょう。 渋池ではモリアオガエルの鳴き声がたくさん聴かれ、卵塊も岸辺の草むらにたくさん産み付けられているのがわかりました。いよいよ森の木陰の道が四十八池へと続きます。すると急にブヨかと思われる虫がまとわりついてきました。嚙まれはしませんでしたが、結局この後前山湿原に戻るまでずっと鬱陶しい思いをさせられました。これからますます生き物たちが活動的になる季節なんでしょうが、ブヨやアブやハチは困りものです。はやくアキアカネの群れが高い山目指して飛んでくるのが待ち遠しいです。 そんな森の中でも自然観察は興味深いものとの出逢いがたくさんありました。この冬の大雪のせいでしょうか、いつもよりたくさんの木が倒れていました。根こそぎ転がっているものから、太い幹を真っ二つにして倒していたり、かろうじて倒れていませんが斜めに傾けられていたりです。森が生きていることを教えてくれます。 四十八池ではまだミズバショウが見られました。他にはヒメシャクナゲやイワカガミなども見頃でした。 東屋で少し遅めのお昼休憩にしました。森の小道では、オオカメノキやムラサキヤシオツツジ、コミヤマカタバミ、ツバメオモトの花が楽しめました。

奈良俣湖カヤック初漕ぎ2025-6-17

今冬の大雪の影響を大きく受けて、ダム湖解禁も例年より2週間くらい遅くなったようです。こちらの都合もなかなかうまく日程が組めず、2025シーズン初漕ぎはいつの間にか6月半ばの夏至近くになってしまいました。 下界では今日も猛暑日のようで、梅雨入りしてから日もたっていないのに中休みの晴れの日がしばらく続きそうです。大石沢のバックウオーターにはまだ大きなスノーブリッジが残っていて、冷気がうすい霧となって漂い幻想的でした。 前線の影響で朝のうちは北風が少し強く吹いていたので、奥利根湖はやめて奈良俣湖を選んだのですが正解でした。高い山は雲に覆われて見えませんでしたが、やがてスッキリと姿を現すようになる頃風も収まりました。 4月のバックカントリーツアーで至仏山から眺めた奈良俣湖や谷川連峰の景色を思い出します。あれからわずか2か月しかたっていませんが、季節の移ろいの早さに改めて驚かされます。日本が四季のはっきりした自然豊かな国であることも実感します。 6月の奈良俣湖は、緑の楽園です。森も湖水もすべて緑です。エゾハルゼミが大合唱する中で、アカショウビンの高い鳴き声も聴き取れます。山ツツジやナナカマドの花もポツンポツンと見つけることができました。 本流バックウオーターでは、大きな鯉の恋の季節でした。ドボンドボンと激しく飛沫を上げて雄が雌を追いかけていました。雪代が多いのか満水状態の湖畔は、何とか一ヵ所上陸ポイントを見つけることが出来ました。 お昼近くなると、雲一つない青空に恵まれました。湖面にはからりとした涼しい風が時々吹き渡りなんと気持ちいいことか。 出艇場所のキャンプサイトでは時々カエルの鳴き声が聴こえてきました。水辺の樹々に目を凝らしてみると、いくつかモリアオガエルの卵塊がありました。緑の6月は、もっとも命輝く季節でもあります。

2025白砂山登山道トレッキングガイド偵察5-23

白砂山でも今年は残雪が多い年であることを実感しました。5月下旬頃には雪渓が見られないような登山道にも雪が分厚く残っていたり、いつも遅くまで雪渓が見られるところは6月いっぱいは残りそうなところもありました。 稜線では雪解け一番に花開く高山植物が綺麗に咲き誇っていました。オオカメノキやアズマシャクナゲやナエバキスミレ、タカネザクラ、コヨウラクツツジ、シラネアオイ、ミツバオウレン、ヒメイチゲなどです。 群馬県側に雪庇が大きく張り出す白砂山頂上直下の稜線では、雪が土壌を侵食する力のすさまじさを感じさせる痕がいくつも見られました。 白砂川源流の雪渓がこんなに大きく残っているのも初めての光景でした。 山頂から周りの高い山々を眺めてみても、まだまだ雪山ばかりです。苗場山から神楽峰はスキーが楽しそうです。 帰りは八間山周りのルートで歩いてきました。途中でミツバオウレンの可愛い花の群落に出逢い、疲れが少し癒されました。

2025四阿山トレッキングガイド偵察5-20

昨日の肌寒いくらいの天気から一転、今日は30度超えの夏のような暑さになる予報。登山道の残雪もかなり融けた頃を見計らって、四阿山を鳥居峠登山口から歩いてきました。 登りは花童子の宮跡コースを選びます。花童子の宮跡までにも石の祠が何か所も置かれているのを見つけましたが、山岳信仰の登山者がどんな様子でここを歩いたのか想像してみたくなります。 標高の低いところでも新緑はまだ始まったばかりです。オオカメノキの白い花が鮮やかだったのが、登るにしたがい蕾へと季節は逆戻りになっていきます。 古永井分岐で的岩コースから登ってくる登山道と合わさり、ガレ場の尾根の急坂を頑張ります。やがて四阿山山頂がはるか頭上に現れました。 この辺りから残雪が現れました。嬬恋清水前後の樹林帯には登山道を見失いそうになるくらいまだ残っていました。今日は気温が高いせいで、トレッキングシューズだけでも蹴り込めば足場がつくれるのでなんとか通過。木道の階段部分では踏み抜くので回避です。 菅平牧場からのコースと合流する山頂直下まで頑張れば、ようやく残雪地帯から解放されました。そして青空を仰ぎ見れば、もうすぐそこに標高2354mの山頂がありました。 しばらく休憩している間、先客の1グループ以外は誰も登って来ない静かな山頂でした。薄く霞がかかっていましたが、展望をゆっくり楽しむことが出来ました。 山頂には3つの立派な祠が置かれていて、それらは日本古来から続く山岳信仰の歴史を伝えるものです。戦国時代には真田氏からも信仰され祀られたそうです。 先に着いたグループの登山者は、根子岳から縦走してきたそうですが、四阿山への登り返しの樹林帯はけっこう残雪があったとのことです。大隙間の笹原の斜面にはわずかに雪が見られますが、日の当たらない樹林帯などはまだ残雪に要注意です。 前回の4月5日の頃は、まだまだ深い雪に覆われていた四阿山も、一か月半でこれだけ雪が無くなったのを見て季節の移り変わりの早さに驚きます。→シークレットagatsumaBC偵察2025-4-5 – 山雨海風のウラヤマな日々2 下山は古永井分岐から的岩コースを歩きました。こちらの方が上り下りが無いので花童子の宮跡コースよりも少し楽だし時間短縮です。

2025第2回ノゾリチャツお散歩ツアー5-19

1週間ぶりの野反湖ですが、かなり雪解けが進んでいる景色にびっくりです。今日は肌寒い天気でしたが、このところの雨や初夏の陽気のせいでしょうか。そしてシラネアオイも開花が始まっていました。これからたくさんの人に楽しんでもらえたらと思います。 シラネアオイを見た後、湖畔まで下りて散策も楽しみました。山にかかる霧のベールが幻想的です。湖を囲む岳樺の森の新緑はまだ始まっていませんが、いよいよこれから野反湖の風景は初夏へと移り変わっていきます。 チャツボミゴケ公園では、温泉沢沿いのレンゲツツジの花も1週間前よりもたくさん見られました。でもまだまだ見頃はこれからです。 雪崩で冬季閉鎖解除が遅れていた志賀草津道路も今日ようやく開通しました。でも当分の間は雪崩の監視をして危険が予想されるときは随時通行止めになるということです。こちらをガイドするラムお散歩ツアーが急遽開催不可になることがあり、そんな時はシラネアオイが楽しめるノゾリチャツツアーに変更させていただきます。