自然

偵察野反湖トレッキングガイドノゾリキスゲ満開2024

雨上がりの午後遅い時間、明日のガイドの下見のために野反湖にやってきましたが、これほどまで見事な咲きっぷりだとは想定外でした。 誰もが思わず歓声を上げてしまうでしょう。 富士見峠から正一小屋、丸山から湖畔へ下りました。 そして池平からイカ岩駐車場に上がって富士見峠まで。このコースはノゾリキスゲ鑑賞のゴールデンコースです。 その後反対側のキャンプ場に周って、テン場のお花畑へ向かうと、次の花が満開に向けて準備し始めていました。

絶海の孤島 小笠原を漕ぐ1998年

1998年1月1日 カヤックの相棒と小笠原諸島父島へやってきたのは、1997年12月30日。到着した日に、観光バスで父島の海岸の様子を下見した。もちろん小笠原は初めてで、この時期にシーカヤックで島を1周したという話もあまり聞かないので、事前の下見での観察眼しか当てになるものはないのだ。一番気になっていたのは兄島瀬戸だった。下見の時間帯は潮があまり動いていないので穏やかだった。島のほとんどの海岸線は道路から隔絶した断崖絶壁だから、下見といっても一部だけしかできない。出たとこ勝負になるだろう。これまでの経験が大いに試されそうだ。下見なんて気休めかもしれない。ただ島の大きさをなんとなく体で感じることができた。おそらく無寄港で漕ぐことになるだろうから時間的な目安をつけることはできた。一日で一周は可能だ。私たちは、反時計回りがいいということで、意見が一致した。 大晦日の日の夜、前浜では賑やかにカウントダウンパーティーが催された。島の人たちの雰囲気が感じられそうな気がしたので、相棒を誘って出かけた。盛大にコンサートが行われ、屋台ではラム酒のカクテルや年越しそばなどが振る舞われた。観光客よりも地元の人たちの方が楽しんでいるといった様子が観察できておもしろかった。 元旦の朝、前浜を出航。二見港から外海に出るにしたがいうねりが大きくなってくる。しかし今まで体験したことがないようなうねりだ。うねりとうねりの間隔が非常に大きい。ゆっくりと波の底からカヤックは持ち上げられていく。そして波の最高点まで運ばれると、またゆっくりと波の底へ落ちていく。野羊山をかわす頃には、風も脅かす。父島の気象観測所の予報では、午前中に風向きが反対に変わるということなので、私たちは迷わず進むことにした。私たちを追い越していくホエールウオッチングやダイビングなんかの観光船が、盛んにエールを送ってくれる。それに応えたいのは山々なんだが、パドルの手を離すことができなかった。  難関はジョンビーチと南島との瀬戸だ。岩礁帯なので、ものすごい波が立っている。ここを越えれば、おそらく静かな海が待っている。しかし越えられるかどうか。うねりの高さは3メートルはある。まさに川下りでの5級の瀬だ!どうする。風は私たちをどんどん押していく。とりあえず一番安全そうなルートにねらいは定めるが、なかなか決心できない。迷っているうちに荒れ狂う瀬へ吸い込まれるように流される。相棒はすぐ隣に漂っているが、うねりのリズムが違えばお互いが見えない。一旦つっこもうと合図を送ったのであるが、迷いをもったまま進むことほど危険なことはないとふと我に返った。「やっぱりもどろう!」と相棒の後方から声を張り上げた。向かい風に逆らって、ブタ海岸に逃げ込む。ブタ海岸には、サーフィンに良さそうな波が寄せていて、サーファーたちがボードに腹這いになって漂っている。ブタ海岸は風の陰になっていたので、奥の片隅には上陸できる所があった。とりあえず様子を見ることにしたが、今日はここまでかなとちょっと寂しい気持ちになった。しかし相棒はもう絶対つっこむ気持ちになっていたので肩すかしを食らったと言う。朝の相棒の様子からは想像もつかない強気な言葉にびっくり。ひょっとしたら今日はまだチャンスがあるかもしれない。  浜でしばらくのんびりした後、タコの木の疎林をかき分け饅頭岬に登り上がって海の様子を見た。風の向きが変わった。相変わらず岬の北側の海岸にはものすごい波が打ち寄せてくる。しかしそのパワーは先ほどよりも弱まってきていることが感じられる。ジョンビーチの辺りの岩礁帯に砕け散る波頭も何となく先ほどよりも小さくなってきている。相棒に確かめてみたら、「じゃ、行くか。」ということになる。  ボードに腹這いに寝そべって、波に漂うサーファーの横をすり抜け、湾の中からまたうねりの大きい海に出ていく。今度はどんなことがあって通り抜けるぞという気持ちがわき上がってくる。迷いは禁物だ。岩礁帯には波が炸裂している。しかし、やはりさっきよりも状況はずっと良い。私たちが通るべきルートがはっきりわかる。うねりのために見え隠れする相棒となんとかルート確認をして、岩礁帯を突っ切った。全力で漕いだ。  南崎をかわすと途端に海の様子は一変した。あれほど荒れていた海が、打って変わって穏やかな海になった。そして断崖絶壁の海岸は知床の断崖よりも迫力があると思った。断崖は剥き出しの荒々しい地形である。亜熱帯の島だからジャングルのような森に覆われていてもいいのかなと思うのだが、激しいスコールは根付こうとする一粒の種子も洗い流してしまうのだろうか。  ここまできたらもう後には引けない。太平洋に浮かぶ絶海の孤島の海を漕いでいく。天之浦に入り込んでみたかったが、先を急がなければならない。少し波がブレークしている巽崎をかわして、西海岸に廻ると追い風だ。調子よくパドリングして、初寝浦まで順調に進む。この辺りの海岸でキャンプを張り、釣りやシュノーケリングをしてのんびり旅をしてみたいものだ。しかし、小笠原はキャンプ禁止である。今日はなんとしても1周して宿に帰らなければならない。  いよいよ兄島瀬戸に入り込む。海の様子が変わる。うねりがなくなり、海面が妙になめらかになる。流れている。どうやら私たちは潮の流れに乗っている。大河のような太く大きな流れだ。少し不気味だが、何もしなくても私たちをどんどん運んでくれる。しかし、問題は瀬戸の出口だ。一昨日のウエザーステーションからの様子だと、大きな三角波が立っているはずだ。釣浜や宮之浦を過ぎていくと、遠くに返し波が見えた。まさに川下りという感じだ。川の瀬のように漕いで突っ込めば、抜けられると確信した。相棒と行くぞという合図をかわして、激しい瀬の中へ漕ぎ進む。大きな返し波を一回頭からかぶった。  東海岸に回り込むと、向かい風になった。もうその頃には疲労がたまってきたのか、進みが遅くなってしまった。ここまでの進み具合を考えると、ゴールまでの距離はわずかだが、漕いでも漕いでも進まないという感じである。相棒はさらに私からどんどん遅れていく。後ろを振り返ってもうねりのせいで相棒の姿がすぐに見つからなくなるので、時々相棒を待ちながら進んだ。  二見港に入港すると、やっと一息つけた。1周することができたという感動が湧いてくる。もう夕方である。ホエールウオッチングやダイビングの船が次々と帰港してくる。私たちも前浜へ上陸した。すぐにビールを買ってきて、海岸に腰を下ろして乾杯した。次は母島かなと冗談を言い合いながら、ビールのうまさに感動した。

芳ヶ平ネイチャーラーニング研修会2024-7-9

遠くの山が見渡せるくらいの高曇りの天気だったので、蒸し暑さも和らいで逆に研修会にはもってこいの一日でした。渋峠の塔の池では孵化したばかりのモリアオガエルのオタマが泳いでいるのを確認しました。今年は雨が少ない年のようで、芳ヶ平湿原までの登山道は水溜りやぬかるみが無く久しぶりに歩きやすく下れました。希少な花にも巡り合えてラッキーでもありました。 今回の研修のメインテーマは、5月23日に行われた獣害防止ネット設置作業の現地視察とニホンジカ対策の現状と課題についてです。他にも新しい木道整備の取り組みのことや笹刈整備の植生への影響などについて学びました。 今年の芳ヶ平湿原のワタスゲは数が少なそうでしたが、大きく成長した綿毛が風に揺られて綺麗でした。代わりにツルコケモモの花がこんなに咲いているのを見たことが無いくらいでした。ニッコウキスゲが満開の野営場でお弁当を食べて、いよいよオムスビ山登山道を下って大平湿原へ。 設置作業をした5月23日から1か月以上たつと、様子はガラリ変わっていました。ヤマドリゼンマイの草原の藪漕ぎでやっとこさ現地へ。 やはり新しいニホンジカの足跡はありました。獣害防止ネットの効果は歴然で、柵内の水芭蕉は被害に遭うことなく無事でしたが、柵外の水芭蕉は今年もほぼ全滅のようでした。 でも芳ヶ平湿地群のニホンジカの生態調査では、まだ生息数は多くないようです。手遅れにならないうちにニホンジカ対策の先進地の成果を生かした試みをこれから進めていくようです。芳ヶ平ネイチャーラーニングでも探求素材として取り入れていけたらいいなと考えています。 偶然ですが、5月23日の設置作業の記事が上毛新聞に出ていました。

偵察レイクカヤック奥利根湖奈良沢2024-7-5

梅雨明け?って勘違いするようなカラッとした猛暑。こんな日は奥利根湖でレイクカヤッキング。 今日の目的地は奈良沢バックウオーター。追い風だったので風を感じずちょっと蒸し暑さを感じながらのパドリング。岸沿いの木陰の中が涼しい。 お昼のお弁当も木陰でゆっくり味わいました。今年は空梅雨とまではいかないですが、渇水かなと思うような雨の少ない梅雨なのに、湖の貯水率は100%近いコンディションです。 帰りは向かい風が涼しくてとても心地よかったです。知床の海を漕ぐために琵琶湖のファルトピアさんで作ってもらったレットマンパシフィックは、奥利根湖でも快適なパドリングでした。

偵察レイクカヤック奥利根湖奈良沢2024-6-19

例年より梅雨入りが遅いようで、今日もカヤック日和でした。カラッとした北風が奥利根の山々から吹き下りてきて肌に心地よいです。 陰なイメージの本流に対して奈良沢は広くて明るい陽なイメージがあります。今日は奈良沢を漕ぎました。 コツナギ沢から奈良沢、最後に幽ノ沢を周りました。今は禁止ですが、昔はよくカヤックでキャンプしました。コツナギ沢のバックウオーターが一番のお気に入りでした。 幽ノ沢バックウオーターに向かう途中、湖面を見慣れぬ怪しげな生き物が泳いでいるのを見つけました。テンかな。 今日もアークティックウインドパドルで3時間ほど気持ちいいパドリングを楽しみました。 奥利根湖は群馬で一番お気に入りのカヤックフィールドです。いつまでも漕げるように安全第一のマナーとモラルで楽しみたいです。

イワナの夏2024

渓にエゾハルゼミの大合唱が響き渡ります。木漏れ日が眩しく光る谷間には涼しい風がいつも吹き抜けています。 イワナと出逢うことのできる夏の沢歩きは、最高に贅沢な時間です。 目的の沢へのアプローチの途中で、すぐ前の笹薮から突然獣が飛び出して逃げていきました。子鹿でした。驚かせてくれます。 昨年、ゲストさんが針を切られたイワナがまだいるのか確かめにきました。大丈夫、元気に泳いでいきました。

レンゲツツジが見頃な野反湖トレッキングガイド2024-6-14

野反湖のレンゲツツジが今ちょうど見頃です。今日は梅雨入り前の青空に恵まれて湖畔トレッキングを楽しんできました。 コマクサも咲き始めていました。まずはコマクサのガレ場へ。そしてここからの野反湖の風景はおすすめです。 野反湖はこれから季節が秋へ移ろいながら次々と色とりどりな花々が咲き継いでいきます。レンゲツツジはもちろん、キジムシロやツマトリソウ、アマドコロ、ズミ、ナナカマド、コケモモ、イワカガミなどが見られました。 湖畔でのんびりお弁当ランチをいただきました。大きな鯉が入江の浅瀬を泳いでいるのが眺められました。平日なので静かな野反湖を満喫です。 ニッコウキスゲの蕾も膨らみ始めていました。もう6月中旬ですから下旬頃には咲き始めそうです。今年のニッコウキスゲは7月の3連休にちょうど見頃になってほしいのですが、どうでしょう・・・ 帰りに世立のしだれ栗を見物がてら本物のわらび餅を食べるために「よってがねえ館」に寄ってみましたが、残念なことにすでに売り切れでした。 リンク→2024年月31日の八間山BC

偵察初夏のレイクカヤック奥利根湖2024年6月12日

今日も30度超えの真夏日予報ということで、奥利根湖へカヤックの偵察。前回の奈良俣湖で漕いだ時、ソルティス艇のラダーのワイヤーが突然切れるトラブルがありましたが、修理後の試運転も兼ねてです。湖水は100%近い満水で、ロケーションは最高の状態です。 深緑のブナの森にはエゾハルゼミの大合唱が響き渡ります。風は意外にカラッとしていて、ギラギラ太陽もそれほど気にならなくて快適でした。 花の種類もすっかり初夏の花に変わっていて、GWの頃からあっという間の季節の進み具合を感じます。 国境稜線の山々の残雪模様もすっかり小さくなりました。奥利根湖の貯水率はこれからどうなっていくでしょう。カヤックを楽しむなら今です。

第1回ノゾリチャツお散歩ツアー2024-6-9

チャツボミゴケ公園のレンゲツツジは散り終わりましたが、入れ違うかのよう野反湖でレンゲツツジが綺麗に咲き始めました。いつ雨が落ちてきてもおかしくないような雲行きでしたが、思わず湖畔のとっておきミニコースが案内したくなります。 イワカガミ、ミツバオウレン、キジムシロなどの小さな花が目を楽しませてくれます。また、落葉松の柔らかい若葉の感触を確かめてみたり、刺々しいオニアザミの葉に恐る恐る触ってみたりもしました。ズミの花は満開の盛りで見事でしたが、ひっそりとアズキナシの花の蕾がこれから開花するタイミングをうかがっているのを見つけました。 今日のお昼の野の屋さんでの手打ちそばランチは、全員キノコ三昧そばでした。ラムお散歩ツアーの風さんの手打ち蕎麦とはまた違う、キノコをたっぷり使った美味しさを楽しめます。午後はチャツボミゴケ公園へ。 今回のゲストさん達のお一人は、今回群馬鉄山の歴史やチャツボミゴケが鉄鉱石の形成に大きく関わっている様子などに大変興味をもっていらっしゃるようでした。 蛍光グリーンの絨毯のコケの美しさだけでなく、茶色や赤色のコケが枯れたところにもじっと観察されていました。 いよいよポツポツと落ちてきそうな予感がしたので、急いでモリアオガエルの卵塊探しです。先週は一つも見つからなかったのに、今日はもう10個以上はありそうなくらい見つかりました。 帰りは少し時間が余ったので、閉館時間20分前に旧太子駅に寄ることが出来ました。入館してチャツボミゴケの化石が見られる鉄鉱石や戦前に建設された鉄筋コンクリートのホッパーの遺跡を見学。実際に近くで実物を見ることが出来てゲストさんも大満足でした。

偵察ぐんま県境稜線トレイル・白砂山~八間山周回コース2024-6-8

午前5時前の野反湖。湖面に霧が発生してとても幻想的です。野反湖名物の朝霧は早起きしないと見られません。今日は土曜日とあって朝早くからたくさんの登山者が白砂山登山口から出発していきました。 登山道の様子と見頃な花の開花状況を観察するために、白砂八間コースで歩いてきました。水場上の雪渓はまだかろうじて残っていましたが、完全に融けるまであと1週間くらいはかかりそうで例年通りでした。 堂岩山までの樹林帯では、登山道脇に小さな花がたくさん観察出来て、花好きの方たちは飽きることが無いでしょう。小鳥たちの歌声も賑やかです。そして堂岩山からいよいよ稜線漫歩が始まります。 シャクナゲやシラネアオイ、ナエバキスミレのたくさんの花々が出迎えてくれます。 厳しい気象条件の中でたくましく生きる高山の花々たちから力をもらうようにして、最後の登りを頑張ります。 午前9時山頂着。稜線ではすでに何人もの下山する登山者とすれ違いましたが、山頂にも数グループの登山者が休んでいました。いつものように山頂を通り越した三国境の手前の景色のいいところで休憩しました。 先週ある登山者から三国境の場所がわからなかったという感想をいただいていたので、目印のピンクテープを付け足しておきました。 もう一つ気になっていた道迷いしやすい中尾根と黒渋の頭の間の鞍部ですが、昨秋に設置したピンクテープがしっかりと生き残っているのが確認できて一安心。 白砂山を振り返ると山頂付近に少し雲がかかっていました。タイミング的に山頂で展望が楽しめなかった登山者もいたようですが、その後また雲が綺麗にとれていました。