バックカントリー

八甲田BC2009

八甲田2009年1月9~12日 何年ぶりなんだろうか、八甲田のスキー。10年?・・・久しぶりの八甲田です。寝台特急あけぼのの車窓から八甲田を眺めながら、ワクワクしてきた。 初日は、ドピーカン。酸ヶ湯温泉に着いたのは昼前。せっかくだからとのんびり酸ヶ湯蕎麦のお昼をして、山支度になって歩き出したのは午後1時過ぎ。あわてて地獄沢ルートで大岳を目指すことにした。 ブナ林にはすでにしっかりしたトレースがあり有り難い。小一時間で仙人岱ヒュッテを通り過ぎ、正面に小岳を間近に仰ぎ見てあっちにも行ってみたいと後ろ髪をひかれながらも、時間がないので大岳を目指す。 しかし雲行きが怪しくなってきた。南の空から暗雲が迫ってくる。あっという間に大岳への登路はガスで視界不良となった。大岳から小岳との鞍部への快適スロープの極楽滑降は、視界不良の中に消え去ったのだった。 2日目 昨夜から天気は急に崩れて、朝から吹雪。ロープーウエイは風で動かないらしいが、とりあえず今日は八甲田スキー場へ行ってみることに。結構な新雪が積もっていそうなので、3時間券のリフト券でゲレンデパウダーを楽しむ。 10時過ぎロープーウエイが動き始めたので、早速ロープーウエイ乗り場へ。山頂はホワイトアウト。今日は無理せずダイレクトコースを下山。12時までゲレンデを滑って、午後は作戦変更だ。朝食をたらふく食べたので昼飯は食べない。時間の節約になっていい。八甲田スキー場からバスで酸ヶ湯に戻って、すぐにシールを貼って温泉前の切り開きの急斜面を登る。大岳まで行けるところまでという計画だ。 視界は良くないが、モンスターの間を縫うようにして歩くのは楽しい。2時間半ほど歩いて1350m付近で引き返すことにする。しかし、ちょうどこの時から、いよいよ八甲田は牙をむき出し暴れ始める。風上を向くとまともには息が出来ないくらいの風だ。そのため楽な方へ滑ってしまう。登りのトレースなどすぐに無くなる。いよいよ完全なホワイトアウト。GPSでしっかりルート確認をしないと、すぐに地獄沢の方へ寄ってしまう。焦らずゆっくり確実に下る。酸ヶ湯温泉の切り開きのスロープの上に立った時、ようやく安堵した。最後にフカフカのパウダーを滑って大満足。 そして千人風呂へドボン。翌日知ったが、その頃八甲田スキー場の中で遭難があったらしい。スキー場のコースの中だろうと、遭難してもおかしくない荒れ方だった。雪の洞で一夜を明かしたボーダーは、さぞ寒い夜を過ごしたことだろう。翌朝発見され、無事でなにより。 3日目 天候は回復傾向。ロープーウエイ山頂駅から外に出ると相変わらず視界不良だけど、今日は思い切って行くしかないだろう。登山届けを出して、ウロコテレマークでガイドツアーの大混雑の横をすり抜けて歩き出す。何しろ土地勘がないもので、あらかじめ頭に入れておいた地形図のイメージと、GPSの現在地を頼りに銅像ルートへ。 完全なホワイトアウトの中、恐る恐る田茂萢沢に滑り込む。そして、前嶽の右裾を目指してウロコを利かしながらモンスターの間をトラバース。今日の銅像ルートには1番乗りだ。下部は傾斜が緩いし、道路まで滑ってもピックアップしてもらう手段がないから適当なところで登り返す。せっかくだからと2本滑る。シールを貼って登り返しても大した苦労でもないのだ。今日も朝飯をたらふく食べたので、昼飯どころか行動食もいらない。 午後の部は中央ルートで田茂萢岳から酸ヶ湯温泉へ向かう。昨日のロープーウエイ山頂駅で聞いたガイドさんの話では、今年になってまだ酸ヶ湯温泉へ下った人はいないらしい。少し視界が良くなってきていたけれど、結局そんなに良くはならなかった。大半は横移動のトラバースだけど、いくつかのパフパフ斜面に歓声を上げながら1時間ほどで酸ヶ湯に下った。 もう少し視界が良ければ宮様コースを下りたかったけれど、銅像コースと違って誰にも会わない静かな八甲田を楽しむことが出来た。 スキーの後は、もちろん千人風呂にドボンだ。 4日目 最終日で朝から天気も良さそうなので、ロープーウエイを使って宮様コースとかへ足を伸ばしてみたいと目論んでいたけれど、ロープーウエイは強風で動かないらしい。そうとわかったら予定変更、酸ヶ湯から大岳方面を目指して登ることに。昨日いくつか面白そうなパウダー斜面をチェックしてあったので、寄り道して2つほど楽しむ。 まだ午前中の早い時間なので、その軽いこと!いよいよ毛無岱から大岳目指して登ることに。帰りの時間を考えて正午リミットで登れるところまで。一昨日の猛吹雪の高度よりちょっと上で時間切れ。 今日は視界がいいので、一昨日のホワイトアウトが嘘のようである。視界がないと滑りは楽しめない。今日はリベンジである。久しぶりの八甲田。八甲田の山々に裏山のような親しみを感じた・・・

シークレットkuniBC偵察2024-12-10

昨シーズンのBCは雪が少なくて、2月とは思えないコンディションの日もありました。今シーズンはどうなんでしょう?今週末から10年に一度の大雪になるという予報が出ています。もし当たれば、とりあえずはクリスマスパウダーやお正月パウダーに恵まれそうです。 酸ヶ湯から帰ってきて、ウラヤマの様子を偵察です。八甲田との微妙な植生の違いを感じながらハイクアップを楽しみました。こちらでは今秋、ナナカマドの実が不作でした。八甲田ではたわわに実った赤い実を下げたナナカマドをたくさん見かけたので、地域差が大きいと感じました。 あとやはり八甲田とウラヤマの違いは、今日のような青空の穏やかな天気に恵まれる日は、八甲田ではかなり少ないかもです。日本海や陸奥湾からの風がもろにぶつかるので、天気の急変も激しそうです。 もちろん共通点もたくさんあります。八甲田山も火山です。硫化水素の噴出している場所の通過は非常に危険です。通い慣れた草津白根山とは違って知らないルートを無暗に踏み込むことは危険です。 2009年の1月に酸ヶ湯をベースにして八甲田大岳の頂に立ったことがありました。シークレットkunうらやまの風景を眺めながら、山頂からの陸奥湾の景色がちらり見せてくれたことをしみじみと思い出します。 2009年1月の八甲田大岳山頂からの一枚です。 昨年の12月に見かけた飼い猫探しのポスターがまだ残っているのを見つけました。1年以上たっているので、どうなったのでしょう。このポスターの張ってある場所は、クマの生息地域なので、クマの気配を感じた飼い猫さんがパニックになるのもわかります。そうえば昨年はウサギに遭いました。 BCツアーやスノーシューツアーではたくさんのウサギの新しく付けられた足跡に出逢うことが出来ます。でも生きているウサギさんと逢えることは、本当にラッキーです。

12月の湯治パウダー2025BCシーズンイン

久しぶりに訪れた八甲田山と酸ヶ湯温泉でたっぷりと癒された4日間でした。東北にはまだまだ根強く湯治文化が大切に守られていることを実感しました。さすがわれらが中之条町の四万温泉とともに、昭和29年に全国3か所に指定された国民温泉保養地全国第一号です。 滞在している間にも毎日10センチくらい降雪して、日毎BCのコンディションは良くなっていくことがわかりました。1日目は弱い吹雪の日でしたが、大岳環状ルートで仙人岱ヒュッテを目指しました。地獄沢の入り口で地吹雪に遭い、ここまでとしました。それでもフカフカのパウダーラッセルを十分に楽しみことが出来て大満足です。帰りはほぼ登山道沿いでしたが、テレマークターンも交えてパウダーの浮遊感を足裏に味わいながら滑ることが出来ました。 2日目は1日目のルートから北に外れて1179mピークを目指して大岳南面台地を偵察してみました。ブナの森林帯は雪で藪が埋もれてテレマークターンのスペースがところどころ開けています。しかし標高1000m辺りからまた新たな溶岩台地へと急斜度の壁が現れました。次々とトラップのような濃い藪が行く手に待ち受けていました。まだ藪が埋もれ切っていないのでここを突破できたとしても下山が大変です。吹雪が強くなってきたこともあり、撤退しました。午後は宿の前の小さなゲレンデで予想外のフカフカパウダーを2本楽しんで大満足でした。 3日目も吹雪の日でした。スキー場がオープンしているというので、こちらで遊びました。のんびりした雰囲気がまだまだ残っているローカルスキー場でした。 ロープーウエイの山頂駅からのゲレンデコースがオープンすれば、いよいよ八甲田山もBCシーズンのはじまりです。

シークレットkuniパウダーガイド2015-1-13

一つ石は、群馬県境稜線トレイルDエリアのエスケープルートである鷹巣尾根登山道にある標高1825mの小ピークです。一つ石と呼ばれる石がどこなのか、山名の由来がはっきりしませんが、一つ石ボウル勝手に呼んでる地滑りの大きな崩壊地形に見られる岩塊のどれかのことを指しているのかもしれません。 冬の時期の山頂は葉っぱが枯れ落ちて周りの山々の眺めがとても良くて楽しめます。群馬県境稜線トレイルの大高山やダン沢の頭も眺められます。 ガラン沢を挟んで横手山や芳ヶ平の山々もいつもと違った方向から楽しめます。 目を凝らすとヘリシュートもわかりました。 ハイクアップしながら雪質が安定していることを判断して最高の一本を楽しみました。 南面なので雪質の変化も激しいところですが、日の短い1月ならいい雪のことが多いです。

シークレットKUNIパウダーガイド2015-1-10~12

この時のツアーも入山日は天候が良くなくて地吹雪の峠越えでした。でも翌日は絶好なBC日和でパウダーを堪能できました。 厳冬期の1月は、気温マイナス13度はふつうです。 2日目の朝、樹氷の森の向こうに白砂山が遠望できました。 ノートラックのパウダーな大斜面が行く手に広がっています。

シークレットkuniパウダーガイド縦走2015-1-3

2015年1月3日の記録です。2015シーズンは正月からパウダーが楽しめた幸先のいいはじまりでした。 風の名所である峠越えが難所です。雪崩が怖いので、シールを付けたまま安全なルートを選んで下ります。安全圏までは、凍傷にも気を付けながら我慢の前進です。 地吹雪地帯をようやく抜け出て、ほっとしながら振り返ります。ここからは標高を下げるごとに天候も穏やかになるでしょう。 今日みたいな日は沢地形に入れません。安全な尾根伝いのツリーランを楽しむことにします。 縦走コースで下山しました。

群馬の中之条BC初滑り2025

2025シーズンの初BCに出かけてきました。もちろん中之条町の横手山です。横手山は志賀高原の山で知られていますが、中央分水嶺の山で長野県と群馬県の境です。 山田峠には中之条町の立派な中央分水嶺碑があります。彼方には北アルプスの白い峰々の眺めが圧巻でした。 ところで最近芳ヶ平湿地群や野反湖にニホンジカの食害が見られるようになり心配になっています。何らかの対策が必要ではないかという議論も始まりました。一番の対策は、急激に増加しているニホンジカの個体数を調節することですが、これがなかなか難しいことのようです。 すると、なんとまぁこの雪の中にニホンジカを一頭発見です。カモシカにはよく出逢いますが、この時期に山田峠でニホンジカを見るなんて今まで初めてのことです。 今日は日中気温が上がるとの天気予報でしたが、さすがに標高2000mの稜線では昼間でもマイナス1度でした。発達した樹氷は美しいままで私たちを喜ばせてくれました。 芳ヶ平湿地群展望台から芳ヶ平湿原の景色を今日は独り占めです。 白砂山もだいぶん白く雪化粧していました。11月26日午後3時で野反湖国道も冬季閉鎖になります。 もう昼を周りましたが、渋峠ホテルに立ち寄ってから頑張って横手山まで登りました。最高の青空に恵まれて2025シーズンのバックカントリー初ツアーでした。 素晴らしい樹氷の雪景色に感動しました。そして、横手山神社に2025シーズンのBCツアーの安全を祈願してきました。

5月の立山BC2011後編

真砂沢ロッジがある剣沢との出合の標高は約1800m。標高約2800mの稜線から1000mのロングダウンヒルです。 お互いに写真を撮り合いながら、広大な谷の絶景をを楽しみました。 とにかく写真に納まりきらないスケール感は、ウラヤマの繊細な風景とは違い過ぎです。 初めてのコースなので正面の奥に立ちはだかる高い山々がどこなのか気になります。黒部の大渓谷を挟んで、これらがいわゆる後ろ立山の峰々でしょうか。 真砂沢はどこまでも吸い込まれていくように気持ち良いスロープが続きましたが、やがて剣沢の出合とも思える二股に出ました。 ちょうどお昼の時間だったので、ここでゆっくり休憩して剣沢の長い登りに備えます。 長次郎谷や平蔵谷の様子や八峰の岩稜など、剣岳の素晴らしい絶景を眺めながらのハイクアップをのんびり楽しみました。 適当に登って滑ってみたい気持ちもありましたが、真砂沢を滑り終えて今日はどちらも下から眺められただけで十分満足です。 白馬大雪渓と針ノ木大雪渓とともに日本三大雪渓の一つ剣沢は、どこまでも登りが続くようでした。 冬の間の大きなデブリの痕も残っていました。今のこの時期なれば落ちるものはほぼ落ち切ってのどかな雪景色です。 そして時々振り返ると、八ッ峰や源次郎尾根の荒々しい岩稜や剣岳の雄姿が迫力の絶景でした。 ようやくテン場まで戻ってきて、まだ余力もあったので荷物を置いてそのままうろこで別山乗越までハイクアップしてもうひと滑り楽しみました。 3日目の朝、雷鳥沢を滑って室堂からさらに美女平まで滑って富山県側へ下山です。 今日から天気は下り坂の予報です。そういえばテレマークスキーを始めたばかりの頃、夏休みのお盆の時期にスキーを担いで剣沢にやってきたことがありました。入山日は晴天だったけれど、翌々日の夜半に台風の暴風雨に遭いました。テントのフレームは折れるわフライシートは破れるわで、散々な目に遭った痛い思い出です。 まだ20代でスリーピンの細板革靴でした。剣沢の雪渓は洗面器くらいある見事なスプーンカットで、その頃の道具と技術では歯が立たなくて悔しい思いをしたのも覚えています。 今回はそんな昔の借りも返せたような、思い出に残るスキーの山旅でした。

5月の立山BC2011前編

5月中旬の平日を選んだ3日間の山旅でした。富山県側からバスを利用して室堂平へ。テント装備の重いザックを背負って別山乗越へハイクアップ。 今はすっかり雪の下に埋もれた剣沢のキャンプ場で三日間を過ごしました。 テント設営後まだ日が高かったので、岩と雪の殿堂とも呼ばれる剣岳の絶景を前にウロコスキーでお散歩を楽しみました。 さすがに夕方近い時間の剣沢は人影も全く見当たりません。贅沢なひと時を過ごしました。 いい月が出ていました。月とシュプールです。 剣沢でのテント泊の朝は最高に気持ちいい目覚めでした。いろいろと迷いましたが、二日目は真砂沢を滑ることにしました。 剣岳をバックにハーケンの前で雷鳥君がモデルになってくれました。 雪が緩むのを待ちながらのんびり別山へ。真砂乗越へと続く稜線の一部はすでに雪が融けているところもありました。 浄土山と龍王岳の向こうには見覚えのある山が。薬師岳と黒部五郎岳と槍ヶ岳でしょうか。 真砂沢を見下ろします。剣沢との出合まで長いダウンヒルが楽しみです。

上信国境・大高山~一ッ石BC2003

一ッ石から上信国境稜線の大高山や小高山、ダン沢の頭などの山々は、小さな尾根や沢が皴のように奥深く入り組んで地形がかなり複雑です。すっきりとしたスキールートをとることは難しいですが、何度も通うからこそ見えてくる自分だけのルーファイに秘かな楽しみを見出すことが出来ます。これぞローカルの強みです。 多少視界が悪くても、勝手知ったる山域だという安心感があります。ただしどんな時も雪崩リスクだけには気をつけなければです。 大高山山頂まで頑張れば、天気の良い日は素晴らしい展望も楽しめます。帰りは天狗平まで滑るのもよし、五三郎分岐の鞍部から小高山へ登り返してオッタテ峠へルートを伸ばしてみるのも面白いです。 日帰りで野反湖へ縦走することも可能ですが、日が長くなる3月になってからがお薦めです。 大高山南西面は、いつもだいたい良い雪質のツリーランとオープンバーンが楽しめます。 これは、2003年2月初旬に一ッ石ボウルのパウダーにようやく巡り合えた時の記録です。南面なので新雪はすぐに悪雪に変わりやすいし、雪崩リスクも高い斜面です。今までいろいろな雪質で滑ったけど、今回は文句なしの気持ち良さでした。 風雪が厳しかったので雪穴を掘ってお昼にしました。