バックカントリー

11月の立山BC2006(2005-11-12,13)

今朝のうらやまです。昨日初冠雪でした。 11月の初雪のニュースがにぎわい始めるといよいよBCシーズンがやってくるということで急にそわそわし始めます。 2006シーズン初滑りの立山は良い思い出です。2005年11月12~13日です。 金曜の夜に恵みの雪がありました。スキーヤーもボーダーも、まだちらほらほどしかいなくて、静かな11月の立山を満喫できました。 思ったより多い積雪で、まだ隠れ岩があるもののスキーが十分にできる雪の多さにいつももながらさすが立山だと感心してしまいます。 初日は稜線付近のガスが晴れず、雷鳥沢を一人ラッセルしました。偵察がてら翌日のためのルート工作です。 翌日は、素晴らしい好天に恵まれました。 まずは、室堂山荘の裏手から称名川源頭斜面に滑り込みました。雷鳥平目指して称名川を下り、雷鳥沢を登行。 雷鳥沢を滑って下山しました。 覚書 1990年代の初滑りは、必ずと言っていいほど立山でした。剣沢はもちろん雷鳥沢でさえも今では考えられないほどスキーヤーが少なくて、ノートラックな斜面を自由に滑ることが出来た時代でした。スノーボーダーをまだほとんど見かけることはなかったです。スプリットボードが生まれこれほどまで人気が高まるとは想像できなかったです。テレマークスキーだって90年代初めの頃は、マッチ棒みたいに長くて細い板に革靴を履いて滑ってました。ターミネーターというプラブーツが現れると、そんな時代はすぐに終わり今ではセンター100㎜の極太板は当たり前です。

上信越国境白砂山BC・冬山訓練後編

ヘリによる訓練はエキサイティングな体験でした。メンバーたちの興奮が治まると、山はまた静けさに包まれました。 白砂山は、遠目から見て、稜線の雪庇は大丈夫そうだし、雪質も安定してそうです。ヘリによるアプローチのおかげで、まだ時間的にも余裕たっぷりです。全員で登頂目指します。 ルートは、堂岩山直下から南面台地に滑り込んで、山頂直下までトラバースしました。猟師の沢の頭の稜線ルートは時間がかかり過ぎるでしょう。 雪質が安定していそうなので、白砂山山頂直下の雪壁が稜線上に這い上がれそうでした。 午前中の早い時間だったのが幸いして、キックステップで調子よく稜線上に立つことが出来ました。 ほぼ無風快晴の白砂山山頂に、無事全員が立つことが出来ました。山頂からの360度の絶景をゆっくりと堪能しました。 後ろから続々とメンバーたちも登ってきます。 帰りは山頂直下の大斜面を滑りました。 一ヵ所急なところがありましたが、雪質が安定していたことが本当にラッキーでした。 堂岩山と中尾根の頭との鞍部まで戻って来れればもう安心です。 日暮れ前のちょうどいい時間に全員野反湖に戻りました。その夜は予定どおり、今は無き野反湖ロッジに宿泊して、翌日下山しました。

上信越国境白砂山BC・冬山訓練前編

白砂山 2006年3月11日 遭対協の冬山訓練の想い出です。ヘリを使った上空からの山の調査と山スキーの実践的な訓練です。 パイロットと副パイロットのすぐ後ろに座って、山の名前の確認と緊急着陸できそうな場所などを探しました。白一色の野反湖上空をあっという間に横切って、堂岩山上空から大きく反時計回りに旋回しました。 八十三山から渋沢を挟んで佐武流山が近くに寄ってきます。薄い鉄板とガラスの箱がガタガタいいながら空を飛んでいることが現実ではないように感じました。 大倉山の上空をさらに旋回していくと、千沢と魚野川の向こうに見覚えのある岩菅山連峰がどっしりと横たわっています。 パイロットたちも奥深い野反湖の山々の名前を私から聞きながら、実際の様子と頭の中の地図を比べているようでした。 大きく一周したところで、堂岩山が一番安全な場所であることを確認して降ろしてもらいました。 副操縦士からの絶妙な指示でヘリから飛び降りることができました。この後何回かに分かれてメンバーたちもヘリで運ばれてきます。 13名全員が堂岩山山頂から最後のヘリが去っていくのを見送ることができました。

上越国境上ノ倉山BC2006-4-1

覚書:小暮理太郎著山の想い出によると、東京から見える山として白砂山や佐武流山、忠次郎山、大黒山などが紹介されています。小暮理太郎氏自身も4月初め頃の残雪期に、セバトノ頭あたりに立って苗場山を眺めたことを述懐しているのが興味深いです。ところでここには上ノ倉山という名前はまったく出ていなくて、東沢山という山名となっています。はじめはなぜかわかりませんでしたが、地図を広げてみると清津川本流から東沢という支流が上ノ倉山から流れ出ているのを見つけすぐに合点が行きました。また違う古い山の本で四ッ峰と見たのをうろ覚えですが記憶にあります。上の倉山を中心として、四つのピークから付けられた名前だとすると合点が行きます。一つは、上の倉山の西に本峰よりも少し標高の高い無名の小ピークです。あと大黒の頭と大黒山があります。 2006年4月1日 厚い雪に埋もれた林道を、朝8時過ぎに歩き出します。素晴らしい自然林のスロープが広がります。前日までに降り積もった深い新雪に、快適滑降の期待が胸高まります。 4月の日差しは予想外に強烈で汗が噴き出ました。大きく広がったボウル状大斜面の入り口から、左側の国境稜線を目指します。この辺り、風向きや日当たりなどの条件が悪いのか、雪崩れやクラックでズタズタになっています。遠目ではスキー向きの快適斜面に見えましたが、とても滑れる斜面ではありませんでした。 12時過ぎ、国境稜線を少しはずれた1850m小ピークのセバトノ頭付近を通過です。さらにここから、上ノ倉山を目指してウロコ板でスピーディーに国境稜線を辿ります。 大黒ノ頭直下の急斜面はツボ足で登りました。高度が上がるにつれて、足下に白砂源流のパノラマが広がります。夏、白砂源流を遡ってスルスの岩洞に泊まり、小さな沢を這い上がって上越国境稜線に立ったのは、もう10年も前になるでしょうか。 約7時間かかって、上越国境・大黒の頭山頂に立ちました。上の倉山までもう少しでしたが、今日はもう時間切れです。奥深い山域に足を踏み入れられたことだけで気分は最高でした。 清津川の深い谷を隔てて、先週滑った苗場山の屹立とした姿が、春霞の中にぼんやりと浮かんでいます。午後3時半の下山。 太陽は西の山々に大きく傾いていて、日の陰ったところから、雪面は急速に氷化し始めています。渾身の力を込めてクラスト斜面にテレマークターンの円弧を描きます。 完全に日が陰った5時過ぎ、最後のお楽しみにしていた大斜面は、最悪のブレイカブルクラストでした。もはやテレマークターンは通用しなくなり、斜滑降とキックターンの繰り返しで怪我をしないように降りました。最後の林道は直滑降で飛ばせたのは不幸中の幸いでした。

上越国境セバトノ頭BC2007-1-28

記録のないエリアのスキールートを開拓するのは楽しい。2004年に営業を廃止したスキー場からアプローチしてセバトノ頭を目指してみた。誰にも会わない山スキーは、やっぱり楽しいなぁ。 旧ゲレンデトップまでまずはハイクアップ。振り返ると平標山と仙の倉山がわかりました。 西沢の頭経由で稜線上をルートに選ぶことも考えましたが、今回はできるだけガラン沢源頭斜面へとトラバース気味にルートファインディングして、県境稜線上のどこかに上手く這い上がれるところはないか探してみることにしました。 美しいブナの森を抜け沢に滑り降りると、雪崩に磨かれたガラン沢源頭斜面がはるか上方に見えてきました。 無木立の斜面は雪崩そうでとても怖くて入れそうもないので、ちょうどコメツガの濃い樹林帯の斜面が県境稜線上へと這い上がれそうです。 なるべく県境稜線上の標高の高いところを狙ってコメツガの樹林帯をシール登行続けると、雪原が広がりました。四万川源頭斜面が足下に広がり、向かいの山の稜線に見覚えのある突起が目に飛び込んできました。コシキノ頭に違いないです。 雪の中に偶然古い渓流シューズを見つけました。この辺りには登山道などないので、無雪期は藪を漕ぐか沢を遡るかです。古い渓流シューズの持ち主は、いったいどんな山旅をしたんだろうと想像力が膨らんできます。 この雪原はどうやら笹平と呼ばれている場所のようです。セバトノ頭と思われる平らな森はもうすぐそこです。その向こうには上の倉山から忠次郎山、さらに上の間山と県境の山々が続いているのがわかります。高曇りながら素晴らしい展望が楽しめたので、今日はここまでで十分満足です。 上州側はクラストしていて、なかなか手強い滑りだったけれど、越後側は新雪を巻き上げて豪快に滑ることが出来ました。 登ったり滑ったりの繰り返しが多いルートは、断然ウロコテレマークの機動力が生きてきます。 ガラン沢は水流が出ていました。慎重に渡渉して旧ゲレンデに出れば快適滑降が待っていました。 セバトノ頭は平らでな樹林帯ですが、四万川源流とガラン沢源流、セバト川源流と白砂川源流という十字のジャンクションピークです。わかりにくい地形ですが、きっと地図マニアにとっては知る人ぞ知るエリアだと思います。

第4回群馬県境稜線トレイルCエリア探査2024-10-22

昨日のDエリア探査に続いて今日はCエリアを探査です。夜明け前の野反湖は霧が湖面に発生して幻想的でした。日曜日の大風で登山道上には落ち葉が降り積もっていました。 ドライでクールな気候だから足も軽く感じます。快適に白砂山稜線まで登ってきました。 今日は南風が吹くのでガスが湧きやすいのかなと心配していましたが、結果的には一日とてもクリアに遠くの景色まで楽しめました。 Cエリアの白砂山から三坂峠までの約9㎞の区間は、2018年に新規登山道として整備され藪漕ぎなしに歩けるようになりました。まずは白砂山から上ノ間山まで、笹原が気持ちよさそうに風で波打つ稜線の小ピークをいくつも越えていきます。 Cエリアで一番大好きな場所からの風景です。上ノ間山2,033mから赤沢山を越えて忠次郎山へと続く稜線トレイルです。 次に好きな風景は白砂川源流域の複雑な地形の様子を俯瞰できる場所です。 それは、忠次郎山からムジナ平避難小屋手前までの区間です。 まさに白砂川最源流域のそのダイナミックな光景を眼下に独り占めです。 今日は昼寝でもしたくなるようなうららかなお天気です。それと対称的に、点検に入ったムジナ平避難小屋の室内は、一昨日の土日の悪天候でビバークした登山者が、寒さをしのいで大変だったような気配と匂いがまだぷんぷん残っているように感じました。 セバトノ頭は知る人ぞ知るジャンクションピークです。平らな湿地なので地図上でもとても詠み辛いです。いつの間にか目の前に四万川源流域が広がります。ここが笹平です。 。四万川水系と白砂川水系の分水嶺の向こうに、さっきまで歩いて来た上の間山からの稜線の山々が振り返られました。 もうヤマビルに悩まされることもない季節です。三坂峠からのエスケープルートで下山せずに、稲包山を越えて四万温泉まで足を延ばすこともおすすめです。三坂峠から奥四万湖の登山口まで約3時間くらいでしょう。

秋の野反湖トレッキングガイド2024-10-8

雨に濡れながらのトレッキングもまたいいものです。紅葉が進んでいる草木の様子を愛でながら歩きました。出発時、少し風が強かったので、予定のコースを少し短くしましたが、午後は風も止んでくれました。 釣り人も稀なくらい誰にも遭わない野反湖でした。ゲストの皆さんは、ヤマウルシやハクサンフウロの葉っぱの鮮やかな赤や岳樺の森の黄色、ヤマドリゼンマイやノギランのオレンジなどが織りなす湖畔の風景に出逢えて感動されていました。 雨の中ひっそりと静かにたたずむ無人の正一小屋の前を通り過ぎました。昔よく雪のある時期にお世話になったものです。天井の梁には必ず大きな青大将の抜け殻がぶら下がっていました。 春の頃になると、小屋からヤカンとヒシャクをもってスキーで水汲みに行ったりもしたのは、今ではもう懐かしい思い出です。 日本海にそそぐ最初の一滴です。

野反湖シラネアオイ群生地保全活動2024-10-4

シラネアオイ群生地保全事業である草刈り作業は、野反湖の毎年のお決まり行事です。今年もあっという間に一年が過ぎたなと実感します。 先日芳ヶ平ネイチャーラーニングでガイドさせていただた地元の中学生たちも、先生たちと一緒に手刈りで作業頑張っていました。 今年5月のシラネアオイです。この花を毎年楽しみに訪れる観光客の方がたくさんいます。ボランティアに参加して作業する方々は、来年の春、野反湖の雪が融けて一番最初に咲くシラネアオイの花に様々な願いを込めて汗を流しているようでした。 今年二月の野反湖バックカントリーガイドでゲストさんとともにエビ山山頂から眺めた八間山です。 これから秋が深まるにつれて登山道に霜柱が立つ日があることでしょう。野反湖の11月はいつ雪が積もってもおかしくない冬です。バックカントリーの季節ももうすぐ目の前にですね。この時期が一番好きかも!

偵察乗鞍岳BC2022-4-28

今シーズンは残雪がどこも少なそうで先日の鳥海山が滑り納めかな。2022年の乗鞍岳BCです。 標高1800mちょっとの三本滝バス停からスタート。かろうじてつながっているスキー場ゲレンデの残雪をシール登行です。 樹林帯の中に切り開かれたツアーコースを抜けると位ヶ原です。大雪原の向こうに乗鞍岳の絶景が広がっています。今日はどこの斜面を滑っても楽しそうですが、剣ヶ峰山頂からの雪渓がまだ綺麗につながっていて良さそうです。目を凝らすと前方にちらほらとスキーヤーの小さな人影がいくつも見つけられましたが、とにかく雄大すぎて距離感とか斜度とかが麻痺した感じになりました。 斜度がきつくなりぐんぐん高度を上げると、摩利支天岳の観測所の建物が眼下に見えました。その向こうには北アルプスの山並みが続いています。 周りに肩を並べる3000m級の山々をこんな風に間近で眺められるところは、さすが乗鞍岳です。 反対側には御獄山。 やがて位ヶ原が眼下に広がります。迷路のような雪渓ですが、まだかろうじて何とかどこも雪が切れてないので安心です。 祠のある最後の山頂まではスキーをデポして雪が融けて現れたガレ場の登りをもう一息です。山頂は風も弱く穏やかです。平日とあって静かな時間を過ごしました。 雪渓がつながっているか登りで確認しておいたので安心して滑り込みます。天気に恵まれて今日はいいコンディションのザラメ雪が楽しめました。 私の前に一人滑ったシュプールもありますが、振り返って自分のシュプールが眺めて満足感にちょっぴり浸ってから足早に下山。 三本滝の駐車場に戻ると、すっかり初夏のような陽気でした。

鳥海山BC2024-5-11鉾立口リベンジ

一昨日ホワイトアウトで彷徨った鉾立口からのコースにリベンジ。実は昨シーズンの滑り納めも鉾立口を選んでいて、その時もホワイトアウトで途中撤退しています。今日も晴れそうなので午前中だけでも御浜小屋下の大斜面を気持ち良く滑れたらとやってきました。 一昨日彷徨ったコースは、残雪がところどころ切れていてまったく迷路のようです。今日はシートラで石畳の登山道歩きが約1㎞ありますが、迷う心配もない登山コースを選びました。 御浜小屋まで途中何度か雪が切れていて登山道歩きがありました。この時期としてはやはり残雪が少ないことを実感しました。昨日ほどではなくても今日もまだ風が残っていました。風が強く当たりますが、鳥海湖へ滑り込む斜面がとても楽しそうなので、さっそく軽く一本滑ります。 ウロコスキーの機動力でサクサク登り返して南面へ。緩やかな大斜面が日本海に向かって広がっています。 あとはもうテレマークターンに気持ちよく身を任せて、自由自在にシュプールを描くだけです。 滑った分だけ登り返さなければいけないのですが、そんなことは考えないようにしましょう! 登り返しは御浜小屋に戻るのではなく、右の雪切れした雪渓を目指します。その雪渓からも一本滑りが楽しめました。そしてまた右の登雪切れした雪渓に登り返すと、なんとスキーを脱がないで登ってきたコース沿いに滑って帰ることが出来ました。迷路のような残雪の中のルートファインディングも晴れなければできない芸当です。 鳥海ブルーラインは午前8時開門なので、それからスタートした登山者やスキーヤーが続々と登って来られるのとすれ違いました。 雪融け後の登山道沿いにはショウジョウバカマがたくさん咲いていました。ナエバキスミレはまだほんの少し咲き始めたばかり。そしてオオカメノキの白い花はこれからあちこち満開になりそうな様子です。