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シークレットkuniBC偵察2025-1-27

いつも歩いているところからほんの少し離れて未知のエリアを偵察してみました。あとからGPSの軌跡を地図に落として、実際に見てきた地形や植生を確かめてみます。今まで気になっていた小さな池にスキーで探検できそうなことがわかりました。 ところで、雪質はついにモナカ雪に遭遇してしまいました。表面はまだ薄いですが、密なツリーランでは危なっかしくて安全滑降です。 これから天気も周期的に目まぐるしく変わりそうで、毎日一喜一憂の日々でしょうか。

オプタテシケ山BC2012-4-20

ガスガスのホワイトアウトの中、GPS頼りに手軽そうな美瑛岳を登ってみた。標高1235m地点で突然私達の進行方向を横切っている山親爺の足跡。しかもホヤホヤのが右の沢から左の尾根上のハイマツへ。もちろん速攻下山したのはいうまでもない。下山の途中で、あとから登ってこられた地元のテレマークガイドさんとすれ違う。「山親爺を怖がっていたら、北海道の山は滑れないよ・・・」と、ご教示されて、確かにごもっとも。でも今日のところは撤退なのだ。そしたら秋田の方でクマ牧場から脱走した羆のニュースが流れていて、びっくりである。 下山後、翌日はトムラウシを滑りたくて登山口のトムラウシ温泉へ道路のアクセスを問い合わせてみる。現在登山口までの道路が工事中で通行できるのかわからないというようなことで、急遽オプタテシヶ山に変更する。 翌朝、山親爺対策を万全にして、新得側のトノカリ林道からオプタテシケ山へ。奥深い森の中を歩いていると、スケールの大きな十勝大雪山系の山に呑まれてしまうような感覚になる。北海道の風景は群馬の山の雰囲気とだいぶん違っていて、まるでアラスカとかカナダの大陸的な風景に似ていると思う。昔何かの本で誰かが書いてたことだけど、北海道の山は山親爺がいるから内地の山と違って素晴らしいなんてこと想い出す。確かに今感じるこの緊張感は、いつもどこかで山親爺に見張られているからかもしれない。なかなかオプタテシケ山が現れないので、時間を気にしてちょっと焦り気味でしたが、やっと現れた! 立ちはだかる真っ白いほぼ無木立の大斜面を前に、登行ルートは単純に登るだけだ。登るに従い斜度もきつくなってきて、ザラメ雪がかなり緩んでいるコンデョションなので雪崩が少し心配。 山頂は細い稜線で、反対側からガスが湧いてきていて昨日登った美瑛岳側の山はまったく分からない。ただそちら方面から登山者一名のツボ足の痕が残っていた。 ガスがこちら側へ立ち込めてくる勢いを感じたので、遅れてきた家内は途中までであきらめてもらい、速攻下山。 おまじないにクマ撃退スプレーと空のペットボトルを鳴らしながら歩いたからかな、昨日と違い今日は足跡にも遭わずほんとうに良かった。

シークレットkuniBC縦走2025-1-24

前日の1月23日は、本白根山が小噴火を起こしてからちょうど7年目でした。草津スキー場で追悼式が行われた様子が夕方のニュースで報じられていました。 今日のような風のない穏やかな日は、湯釜の向こう側にある山頂駐車場から流れる防災無線のアナウンスがかすかに聞こえてきました。風向きによっては火山ガスが噴出する轟音も響きます。 標高2217mの池ノ塔山を目指してかつての山スキークラシックルートをハイクアップ。途中振り返ると、2100m小ピークに噴火口があるのに気付きました。今まで何度も見ている風景ですが、火山という目で見ていないと認識していなかったんですね。今回の新しい発見でした。 山頂から後半のルートを俯瞰します。予定通りのルートで標高差1100mの滑りをこれから楽しみます。雪質は期待していなかったのですが、夜半から10㎝くらいの積雪があったようで、古いシュプール痕はうっすらわかるもののノートラックの斜面が広がっていました。途中バックカントリースキーヤーには誰も合わなかったことから、ほんとうに静かな山を堪能しました。 最後の林道では腐れ気味になるも気温が低かったので表面がうっすら凍り始めていてスキーが滑りました。予定時刻より15分早く送迎の車が待つゴール地点に到着。 春のような陽射しを感じつつも、まだなんとか1月のソフトなパウダースノーを楽しむことが出来て、最後の最後までラッキーな一日でした。

岩木山スキー1周その2

2012年3月23日 利尻山には○○ポン山と呼ばれる小さな山が利尻本峰の裾野にいくつもあるが、岩木山にも黒森(887m)や笹森山(672m)、扇ノ金目山(880m)、追子森(1139m)、西法寺森(1288m)、小森山(323m)、などの名前が観察できる。利尻のポン山はかつての小火山の跡だったかと思うが、岩木山はどうなんだろう。しかし、東北の山らしく○○森というネーミングが多いのがいい。また、それらの山が1周スキーのルート取りをバラエティ豊かにしてくれ、自由な山旅の楽しさを広げてくれるようだ。 ところで、今日はもう天気が下り坂。西日本では激しい雨が降り始めていて、東北も夜には泣き出しそう。この時期の岩木山はなかなか良い日には恵まれないのかもしれない。今日でなんとしても1周してしまわなければならないので、効率の良いルート取りで行くことにしよう。午前7時半過ぎ、まだまだ厚い雪に埋もれている嶽温泉から歩き出す。 ザラメが凍っているのでウロコスキーでは歩きにくいが、シールを貼るまでもないので頑張る。ある程度の高度を稼げば、斜滑降でスキーを走らせ距離を稼ぐ。この軽快なスピード感がウロコテレマークスキーの魅力だ。小一時間で岩木山スカイラインの料金所に出る。除雪した道路をスキー背負って少し歩き、またスキーで斜滑降。 黒森の裾野を巻くようにしてウロコスキーを走らせる。深い谷間を流れている赤沢は、雪が割れて流れの出ているところもあったが難なく通過。そして、標高約480mの雪原でスキーにシールを貼って、標高約680mの二子沼までシール登行。 二子沼はひっそりと雪に埋もれ、素敵な雰囲気の森だったけれど、残念ながらスノーモービルが縦横無尽に走り回った跡が残っているのは興醒めだ。しかも下の方でやたらうるさいエンジン音が聞こえてきて、こちらに上ってきそうな気配。さっさと通過である。白沢の深い谷間を滑り降り登り返したところでシールを剥がす。 ウロコスキーで少し進むと、突然スキー場のゲレンデに飛び出した。スッキリと白銀を纏った美しい岩木山が眼前に迫る。今まで森の中を彷徨うばかりで岩木山本峰の姿とはご無沙汰だったので、いっそう感動的。これが人工的に切り開かれたスキーコースのおかげというのが、ちょっと皮肉な感じがしないわけでもないが・・・ 上から滑り降りてくるスキーヤーやボーダーの邪魔にならないよう、リフトやゴンドラをいくつもくぐり、ゲレンデコースもいくつも横断。スキー場を横に移動する人は、そう滅多にいないでしょう。ただしスキー場のお客さんからすると、私達の様子はゲレンデに迷い込んだカモシカや猪のように、挙動不審な侵入者に映ったかも知れない。 大鳴沢から扇ノ金目山の下部を斜滑降気味にスキーを走らせる。この辺りから標高が低くなってきたからか、藪が邪魔になって滑りにくい箇所が出てきた。また次から次へと小さな沢を通過しなければならないが、これらが結構時間を食う。それでも効率よくルートをとりながら、やがて赤倉という集落近くにある雪に埋もれた神社の鳥居に出た。ここから2万5千図の地形図を観察すると、標高400m前後のルートをとるより、どうやら標高200mまで下った方が時間短縮できそうということで、さらに斜滑降気味に高度を下げて進んだ。 標高を下げるとさらに藪が多くなり、沢も割れていたりするので厄介になってくる。岩木山西面の効率的なルート取りは、次回の課題かなと思う。 標高200m前後まで高度を下げると、雪に埋もれたリンゴ畑や廃屋などが出てきて、だんだん人里っぽくなる。すると、いい喉でコブシを利かせた唄が聞こえてくる。誰かなと辺りを見回せば、リンゴの木の世話をしながら気持ちよさそうにおじさんが歌っていて、思わず聞き惚れてしまう。 リンゴ畑の中をスキーで進むわけにも行かず、ちょうど除雪した道路に出たので、しばらく歩くことにした。上弥生という集落で一度スキーを付けて滑ることが出来たけれど、しばらく進むとまた除雪した道路になったりして、このまま百沢スキー場まで歩いてゴールすることになりそうだったけれど、後長根沢の橋を渡った所で、百沢集落向けてスキーで滑り降りることにした。結局これが正解で、嶽温泉に戻るためのバス停への最短ルートだった。 岩木山神社の神様のご加護かもしれない。このバスに乗り遅れていたら、きっとみぞれ混じりの冷たい雨に打たれていたのだから・・・

シークレットagatsumaBC偵察2025-1-22

気温高めで日射の影響もあり雪質はどんどん腐り気味ですが、春のような穏やかな天気が続いて、BCツアーをするには最適な日々が続いています。 数日前は見事なモンスターの森だったにちがいないはずです。厚い雪化粧が剝げ落ちてしまったのがちょっと残念です。 午後を周ってからの時間でしたが思い切って偵察してみました。まだモナカ雪にはなっていなくてしっとりいい感じのパウダーが楽しめました。 ただ、シークレットkuniに比べてウサギやキツネなどの動物の足跡が少ないように感じました。気のせいでしょうか。 雪が締まってきたので、緩斜面でもスキーが良く滑るので偵察にはもってこいの一日でした。

岩木山スキー1周その1

2012年3月22日 2万5千の地形図で岩木山の山容を観察すると、大小様々な沢の中に険しいものも多数ある。例えば西面の赤沢、北面の赤倉沢、南面の毒蛇沢と柴柄沢など。これらの沢を難なく通過するためには、二通りのルートが考えられた。その一つは岩木山の上部をつなぐルートで、距離は短いが気象条件が良くないと厳しい。実は昨日百沢スキー場の左の尾根を頂上目指して登ってみたが、1050m付近で強風のために敗退した。雪質も安定していないことがわかったし、今回はもう一つの下部ルートで1周することにした。上部ルートは気象も雪質も安定している厳冬期のワンチャンスを見計らって、いつかぜひやってみたい。 今日は、百沢スキー場の駐車場から時計回りで行けるところまでとする。朝のうちに湿っぽい雪は止んだが、風も強いしもう少し天候が良くなるのをしばし待つ。9時を過ぎても、いつになってもお客が来ないのは、ただ不景気で空いているだけかと思っていたが、リフトまでもがいつになっても動かないのはどうしたわけか。今日は強風で運休か?べつにリフトに乗る予定はないけど、謎を解き明かさなくては落ち着かない。スキー場の案内板を見てびっくり。百沢スキー場のリフト運転開始時刻は、毎日午前10時とある。土日祝日もかまわず10時。のんびりのどかなスキー場である。これは津軽人気質、じょっぱりの土地柄だからなんだろうか。朝早くからパウダーパウダーと騒いでいる関東近郊のスキー場では考えられない時間です・・・ 午前11時をかなり過ぎた時間になって、ようやくウロコスキーで歩き出す。昨日の百沢スキー場の左の尾根に残る登りトレースからすぐに外れ、斜めに高度を上げるようにして進む。ザラメな雪質は、ウロコがしっかり利いて有り難いが、この時間では少々雪が緩みすぎて重い。あまり高度を上げ過ぎても毒蛇沢が深くなって通過が困難になるので、ルートは標高500m付近だと見当を付ける。小さな沢をいくつか跨ぐが、毒蛇沢は沢の規模が大きいのでそれとわかる。 針葉樹の植林帯と、楢などの広葉樹林帯のちょうど境を縫うようにして進む。しかしさすがにこの時期は、麓から上がってくるスノーモービルの跡がいくつかあったりする以外、ウサギの足跡ばかりである。森林限界上部ではきっと強烈な風が吹いているにちがいないが、このあたりは風も弱く、日向ぼっこしたくなるような陽気になってきた。大きな沢をいくつも通過するが、急斜面の下りでは腐れ雪が小雪崩をおこしてまともな滑りにならない。そして、嶽温泉に流れる湯川がひょっとして流れが出ていて通過が困難かと気になっていたが、案の定そうだった。小さなスノーブリッジをなんとか見つけて横断。すると下からかんじきで登ってくる跡があったので、これは嶽温泉から登ってきているに違いないので、これを下って今日はここまでとした。 時刻は午後2時40分。小島旅館のちょうど裏側から正面のローターリーに滑り込む。そのまま、小島旅館の温泉へ直行できるのがうれしい!

シークレットkuniBC偵察2025-1-19

昨日はボトムから偵察しましたが、今日はトップからです。雪は昨日の晴天からだいぶん落ち着いて、パウダーかと思いきやマーブルクラストな斜面にもたくさん出逢いました。 積雪量を判断するいつもの道路標識は、たしかに今シーズンが大雪であることを教えてくれていました。 雪の積もり方が例年と違うというのもなんとなく感じました。標高を下げるごとに積雪が雪不足な昨年並みに近付いていく感じでした。 ところで今日のような雪質だと雪が詰まってビンディングが滑降モードに入らずちょっと手こずります。仕方なく左足は登行モードのままアルペン滑りで滑降しました。ダメもとでお湯をビンディングにかけて滑降モードに入るよう試行錯誤したら、バッチリ。 今回は偵察なのでどうにでもなりますが、やっぱり本番ガイドではNTNはまだ不安が残りますね。 いろんなコースの偵察をしたかったのですが、今回はこれ以上トラブルわけにもいかないのでさっさと下山しました。 今シーズン、まだモナカ雪な悪雪には全く遭いません。来週から暖かい日が続くという天気予報だから、ちょっと心配です。でもまだ1月半ば。パウダーシーズンはこれからも続きます。

岩木山BC2012-2-13

津軽富士とも呼ばれるだけあって、さすが優美な裾野をぜいたくに360度広げていて、津軽人にとっては自慢の山にちがいない。どんなに偏屈な山スキーヤーも、この山の新雪を纏った姿にはイチコロだ。山頂部からの放物線は、様々な妄想で目眩しそう。でも旅の途中で予定は本日1日だけ。そしてその本日今日が、どうやら1週間以上ぶり(途中で出会った地元の山スキーヤーの話では1ヶ月ぶり?)の大快晴!ドピーカン!!である。岩木山スカイラインが開通する春スキーの頃ならいざ知らず、土地勘のほとんどない初めてのこの山をどう攻めたらいいか、朝日に輝く岩木山のオーラに少々うろたえ気味。 今年は特に豪雪というのもあるだろうけど、道路はどこも雪の壁で、まず車を駐車する場所を見つけるのが大変。百沢スキー場から山頂に向かって左の尾根を登るというのも考えたけど、スキー場のそばというのはつまらないので嶽温泉に移動。嶽温泉の通りの古い街並みは雪に埋まっているような状態で、とても勝手に車を停める雰囲気でなく岩木津軽スカイライン方面へ。スカイライン入り口の道路が、駐車スペースの出来るほど広げて除雪してあってここしかないと判断。はやる気持ちを抑えて即出発。時刻はすでに午前9時30分をまわっていた。スカイラインの除雪はほんのはじめだけ、すぐに分厚い雪の上をシール登行。標高が低いのでさすがに新雪といっても重めの踝ラッセル。ブナ林だったり針葉樹の植林帯だったりするけど、小さな藪はしっかり埋まっているので帰りの滑りで煩わしさはなさそう。意気揚々と岩木山を独り占め気分で歩いていると、やがて嶽温泉コースに合流。そこにはなんと先行者のトレースがあって、天下の岩木山を独り占めというのは、甘ちゃんだった。 この嶽温泉コースの切り開きは快適ではあるけど、スキー場のコースのようでちょっと風情に欠けるかも。昨日のだろうか、スノーボードのシュプールの跡がわずかに残っている。今日の先行者といい、結構登って滑る人がいるのかもしれない。1100m付近で先行者の一人が下山の準備をしていた。もっと上まで行った方が面白いのにもったいないと思ったけれど、午後用事があるのでここまでらしい。朝天気が良かったので思わず仕事を休んで登ってきたらしく、なるほど今日のドピーカンはよほどの一大事だったのだ!もう一人の単独スキーヤーの後ろ姿もやがて確認。脳天気に9時半頃からふらふら歩き出し、ちゃっかり先行者のトレースにずいぶん楽をさせてもらって、今度は申し訳ない気分。 スカイライン終点の標高は1238m。駐車場らしき場所は雪原になっていて、さてここからまたどう攻めるか思案するためにスキーでうろちょろ。急峻な山頂部はハイマツだろうか、とてもスキーが使えるような斜面でないので、リフト中間のギリギリまでシール登行することにした。そこで先行者の方に追いつく。なんと地元弘前のテレマーカーで、岩木山の情報をいろいろ教えていただいた。 ここからの展望も素晴らしく、白神山地や七里長浜らしき津軽半島の西海岸も眼下に眺められる。2006年の夏、津軽半島をカヤックで漕いだとき小泊半島付近の海から遠くこの岩木山を眺めた凪の朝が想い出される。時刻はちょうどお昼で、先行者のKさんはここでスキーをアイゼンに履き替えてさらに上に登って行かれた。私はアイゼンどころかスキーアイゼンさえも用意してなくて、今日はてっぺんより滑り重視。山頂からの大展望にちょびっと後ろ髪を引かれながらも、純白無垢の大斜面に飛び込む。大きな回転弧を気ままに描いた至福の1本でした。 途中で一度登り返して別の美味しい沢筋をもう1本滑って、もときたところを滑って下山。切り開きコースは登りでは気にしなかったけど、風で斜面がフラットでなくけっこう凸凹。樹林帯といえども日本海に面した独立峰、やはり天気が荒れた時の風雪はハンパじゃないのかも・・・ 午後2時、下山。嶽温泉でひとっ風呂もいいのだけれど、天気が持つのは明日まで。白神岳もぜひとも明日滑りたいのでこらえて車移動。 今回はほんの偵察。厳冬期は天気に恵まれることが何より。情報をそれなりに得ることも出来、これからのプランがいろいろ浮かんでくる。スカイラインが開通する前の岩木山が勝負である。

シークレットagatsumaBC 2025-1-16

日本海側の各地では大雪を降らせた今回の冬型の気圧配置も、今日は徐々に緩んで絶好のBC日和になりました。標高2000mの稜線の森は、透き通るような青空に落葉松の樹氷が映えて素晴らしい風景で私たちを迎えてくれました。 昨夕から10㎝くらい新雪が積もっていて、昨日までの古いトレースはほとんど埋まっていました。ふと目を凝らして遠くの山を眺めると、富士山もしっかりとわかりました。 午前11時、気持ちよく今日一番の大滑降です。ロケーションは最高でしたが、フカフカの新雪の下は不安定な腐れ雪が埋まっていました。残念ながら両足に均等荷重で慎重にアルペンターンで滑らざる負えない雪質でした。 でも天気とロケーションは最高でした。あたたかい飲み物とデザートのお菓子でゆっくりゲストさんとくつろぎました。 滑る前は、登り返して二本目も楽しもうとゲストさんと話していましたが、この一本で十分ツアーでした。

利尻山をスキーでぐるっと一周chapter4

沓形稜(標高520m)PM3:27~鴛泊登山口PM5:00距離約7.6km 沓形稜下部もデルタ状の広大で緩やかな尾根で、古いモービルとスキーの跡も残っていた。もちろんウロコテレマークスキーにとっても面白そうな大斜面だ。目を凝らすと、右上に避難小屋が雪にほとんど埋もれながらも、そこにあるのがわかった。左下には展望台といわれる施設もわかる。見覚えのある景色や地形なのは、昨年は1日で1周出来ず、この沓形稜から2日目をスタートしたから。その時は天気があまり良くなかったので、今日の晴天は前回の屈辱を晴らすこともできた。 ポン山さんはもうすっかり元気そうで、いよいよ後半最後のこの景色とスキーの楽しさを堪能しているようだ。家内は相変わらず朝一から変わらないマイペースで、しんがり役をきちんと守っている。眼下の海はますます黄金色に輝いて、息を飲む美しさである。 利尻の地形の特徴は、深く刻まれた谷や沢のほとんどが、広くなだらかな裾野へと下るにしたがい河川の地形が無くなってしまうこと。そんなことから、涸れ川のトビウシナイ川が利尻町と利尻富士町の町界に流れているが、上流部がどこなのか、たぶんこの辺なんだろうけど、はっきり特定できない。同じことがオビヤタンナイ沢川にも言える。だから沓形稜と北稜の間の沢が、トビウシナイ川なのかオビヤタンナイ沢川なのか。2万5千図とにらめっこしていると訳がわからなくなってくる。 利尻町と利尻富士町との町界を流れている川をトビウシナイ川と認めると、利尻山頂からダイレクトに落ちる谷は町界なので、トビウシナイ川ということになる。しかし、昨年滑った長官ピークからの谷、利尻避難小屋直下の谷であるが、これは利尻ローカルのポン山さんによればオビヤタンナイ沢川と話していた。これをオビヤタンナイ沢川だと確定すれば、困ったことになる。標高600m付近でこの谷は合流してしまう。二つの川が途中で合流して下流でまた分かれてそれぞれ名前を変えるというのは常識的ではない。沓形稜と北稜の間の川の名前を1つに決められれば、わかりやすいと思うのだが・・・・ ポン山さんの言うとおり、沓形稜と北稜との間の川をオビヤタンナイ沢川と決めるとすると、いよいよ沓形稜からそのオビヤタンナイ沢川を横断である。利尻山頂からダイレクトに落ちる谷が本谷とすれば、昨年ポン山さんと家内と3人で長官ピークから滑った沢は、さしずめオビヤタンナイ沢川左俣と名付けられるだろうか。迫力の本谷を越えるときも、背中を強力に押してくるこの風はまさに神風で、何もしなくてもなかなかのスピードが出るのに驚く。雨傘など開けば斜面も駆け上がっていくほど。 そして小尾根を越えると見覚えのある景色が待っていた。オビヤタンナイ沢川左俣。避難小屋の沢と呼んでもいいかも。古いスキーのあとが残っていた。ここまでくればあとはもうほとんど下りだけなので、かなり余裕で休憩。ポン山さんは持ってきた水の量が足らなくて節約しながら水分補給していたが、なんとか持ちこたえたよう。こちらはちょうど良い量だった。 1つ大きな尾根を越えると、長官ピークからの尾根の途中1100m付近から落ちている沢を横断。この沢がまたスキー向きの良い斜面。また、名前をなんて付けたら良いんだろう?困ってしまう。 ポン山が大きく見えてくる。今朝見たばかりなのに、懐かしい気持ちが湧き起こってくるのは何故だろう。通称ベースと呼ばれている雪原の下で、たくさんのトレースに出会う。もう時間的には、ほとんどの入山者が下山してしまった頃。しかし、これから山に入るテント装備のスノーボーダーの方が上がってくる。仲間3人とこれから4日間の日程だそう。明日からも利尻はまだまだ好天が続きそうで、彼らもまた懐かしい思いでポン山を見ながら山を下りてくることだろう。 湧水を汲みに来たポン山さんの知り合いの方を、ゴール間近のところで追い抜く。どこへ行ってきた?1周した!なんて会話になり、いきなり利尻を1周してきたと答えても、普通の人はあまりピンと来ないだろうなと思った。午後5時ジャスト、今朝スタートした鴛泊登山口にゴール。 ゴールしてもすぐには1周達成の実感がなく、じわじわと込み上げてくるに違いない。大げさな言い方だけど、1年間あたためてきた計画が達成できた。この後ポン山さんと夜は魚勝で盛大に祝杯をあげるのだ。