バックカントリー

シークレットkuniパウダーガイド縦走2015-1-3

2015年1月3日の記録です。2015シーズンは正月からパウダーが楽しめた幸先のいいはじまりでした。 風の名所である峠越えが難所です。雪崩が怖いので、シールを付けたまま安全なルートを選んで下ります。安全圏までは、凍傷にも気を付けながら我慢の前進です。 地吹雪地帯をようやく抜け出て、ほっとしながら振り返ります。ここからは標高を下げるごとに天候も穏やかになるでしょう。 今日みたいな日は沢地形に入れません。安全な尾根伝いのツリーランを楽しむことにします。 縦走コースで下山しました。

群馬の中之条BC初滑り2025

2025シーズンの初BCに出かけてきました。もちろん中之条町の横手山です。横手山は志賀高原の山で知られていますが、中央分水嶺の山で長野県と群馬県の境です。 山田峠には中之条町の立派な中央分水嶺碑があります。彼方には北アルプスの白い峰々の眺めが圧巻でした。 ところで最近芳ヶ平湿地群や野反湖にニホンジカの食害が見られるようになり心配になっています。何らかの対策が必要ではないかという議論も始まりました。一番の対策は、急激に増加しているニホンジカの個体数を調節することですが、これがなかなか難しいことのようです。 すると、なんとまぁこの雪の中にニホンジカを一頭発見です。カモシカにはよく出逢いますが、この時期に山田峠でニホンジカを見るなんて今まで初めてのことです。 今日は日中気温が上がるとの天気予報でしたが、さすがに標高2000mの稜線では昼間でもマイナス1度でした。発達した樹氷は美しいままで私たちを喜ばせてくれました。 芳ヶ平湿地群展望台から芳ヶ平湿原の景色を今日は独り占めです。 白砂山もだいぶん白く雪化粧していました。11月26日午後3時で野反湖国道も冬季閉鎖になります。 もう昼を周りましたが、渋峠ホテルに立ち寄ってから頑張って横手山まで登りました。最高の青空に恵まれて2025シーズンのバックカントリー初ツアーでした。 素晴らしい樹氷の雪景色に感動しました。そして、横手山神社に2025シーズンのBCツアーの安全を祈願してきました。

5月の立山BC2011後編

真砂沢ロッジがある剣沢との出合の標高は約1800m。標高約2800mの稜線から1000mのロングダウンヒルです。 お互いに写真を撮り合いながら、広大な谷の絶景をを楽しみました。 とにかく写真に納まりきらないスケール感は、ウラヤマの繊細な風景とは違い過ぎです。 初めてのコースなので正面の奥に立ちはだかる高い山々がどこなのか気になります。黒部の大渓谷を挟んで、これらがいわゆる後ろ立山の峰々でしょうか。 真砂沢はどこまでも吸い込まれていくように気持ち良いスロープが続きましたが、やがて剣沢の出合とも思える二股に出ました。 ちょうどお昼の時間だったので、ここでゆっくり休憩して剣沢の長い登りに備えます。 長次郎谷や平蔵谷の様子や八峰の岩稜など、剣岳の素晴らしい絶景を眺めながらのハイクアップをのんびり楽しみました。 適当に登って滑ってみたい気持ちもありましたが、真砂沢を滑り終えて今日はどちらも下から眺められただけで十分満足です。 白馬大雪渓と針ノ木大雪渓とともに日本三大雪渓の一つ剣沢は、どこまでも登りが続くようでした。 冬の間の大きなデブリの痕も残っていました。今のこの時期なれば落ちるものはほぼ落ち切ってのどかな雪景色です。 そして時々振り返ると、八ッ峰や源次郎尾根の荒々しい岩稜や剣岳の雄姿が迫力の絶景でした。 ようやくテン場まで戻ってきて、まだ余力もあったので荷物を置いてそのままうろこで別山乗越までハイクアップしてもうひと滑り楽しみました。 3日目の朝、雷鳥沢を滑って室堂からさらに美女平まで滑って富山県側へ下山です。 今日から天気は下り坂の予報です。そういえばテレマークスキーを始めたばかりの頃、夏休みのお盆の時期にスキーを担いで剣沢にやってきたことがありました。入山日は晴天だったけれど、翌々日の夜半に台風の暴風雨に遭いました。テントのフレームは折れるわフライシートは破れるわで、散々な目に遭った痛い思い出です。 まだ20代でスリーピンの細板革靴でした。剣沢の雪渓は洗面器くらいある見事なスプーンカットで、その頃の道具と技術では歯が立たなくて悔しい思いをしたのも覚えています。 今回はそんな昔の借りも返せたような、思い出に残るスキーの山旅でした。

5月の立山BC2011前編

5月中旬の平日を選んだ3日間の山旅でした。富山県側からバスを利用して室堂平へ。テント装備の重いザックを背負って別山乗越へハイクアップ。 今はすっかり雪の下に埋もれた剣沢のキャンプ場で三日間を過ごしました。 テント設営後まだ日が高かったので、岩と雪の殿堂とも呼ばれる剣岳の絶景を前にウロコスキーでお散歩を楽しみました。 さすがに夕方近い時間の剣沢は人影も全く見当たりません。贅沢なひと時を過ごしました。 いい月が出ていました。月とシュプールです。 剣沢でのテント泊の朝は最高に気持ちいい目覚めでした。いろいろと迷いましたが、二日目は真砂沢を滑ることにしました。 剣岳をバックにハーケンの前で雷鳥君がモデルになってくれました。 雪が緩むのを待ちながらのんびり別山へ。真砂乗越へと続く稜線の一部はすでに雪が融けているところもありました。 浄土山と龍王岳の向こうには見覚えのある山が。薬師岳と黒部五郎岳と槍ヶ岳でしょうか。 真砂沢を見下ろします。剣沢との出合まで長いダウンヒルが楽しみです。

上信国境・大高山~一ッ石BC2003

一ッ石から上信国境稜線の大高山や小高山、ダン沢の頭などの山々は、小さな尾根や沢が皴のように奥深く入り組んで地形がかなり複雑です。すっきりとしたスキールートをとることは難しいですが、何度も通うからこそ見えてくる自分だけのルーファイに秘かな楽しみを見出すことが出来ます。これぞローカルの強みです。 多少視界が悪くても、勝手知ったる山域だという安心感があります。ただしどんな時も雪崩リスクだけには気をつけなければです。 大高山山頂まで頑張れば、天気の良い日は素晴らしい展望も楽しめます。帰りは天狗平まで滑るのもよし、五三郎分岐の鞍部から小高山へ登り返してオッタテ峠へルートを伸ばしてみるのも面白いです。 日帰りで野反湖へ縦走することも可能ですが、日が長くなる3月になってからがお薦めです。 大高山南西面は、いつもだいたい良い雪質のツリーランとオープンバーンが楽しめます。 これは、2003年2月初旬に一ッ石ボウルのパウダーにようやく巡り合えた時の記録です。南面なので新雪はすぐに悪雪に変わりやすいし、雪崩リスクも高い斜面です。今までいろいろな雪質で滑ったけど、今回は文句なしの気持ち良さでした。 風雪が厳しかったので雪穴を掘ってお昼にしました。

11月の立山BC2006(2005-11-12,13)

今朝のうらやまです。昨日初冠雪でした。 11月の初雪のニュースがにぎわい始めるといよいよBCシーズンがやってくるということで急にそわそわし始めます。 2006シーズン初滑りの立山は良い思い出です。2005年11月12~13日です。 金曜の夜に恵みの雪がありました。スキーヤーもボーダーも、まだちらほらほどしかいなくて、静かな11月の立山を満喫できました。 思ったより多い積雪で、まだ隠れ岩があるもののスキーが十分にできる雪の多さにいつももながらさすが立山だと感心してしまいます。 初日は稜線付近のガスが晴れず、雷鳥沢を一人ラッセルしました。偵察がてら翌日のためのルート工作です。 翌日は、素晴らしい好天に恵まれました。 まずは、室堂山荘の裏手から称名川源頭斜面に滑り込みました。雷鳥平目指して称名川を下り、雷鳥沢を登行。 雷鳥沢を滑って下山しました。 覚書 1990年代の初滑りは、必ずと言っていいほど立山でした。剣沢はもちろん雷鳥沢でさえも今では考えられないほどスキーヤーが少なくて、ノートラックな斜面を自由に滑ることが出来た時代でした。スノーボーダーをまだほとんど見かけることはなかったです。スプリットボードが生まれこれほどまで人気が高まるとは想像できなかったです。テレマークスキーだって90年代初めの頃は、マッチ棒みたいに長くて細い板に革靴を履いて滑ってました。ターミネーターというプラブーツが現れると、そんな時代はすぐに終わり今ではセンター100㎜の極太板は当たり前です。

上信越国境白砂山BC・冬山訓練後編

ヘリによる訓練はエキサイティングな体験でした。メンバーたちの興奮が治まると、山はまた静けさに包まれました。 白砂山は、遠目から見て、稜線の雪庇は大丈夫そうだし、雪質も安定してそうです。ヘリによるアプローチのおかげで、まだ時間的にも余裕たっぷりです。全員で登頂目指します。 ルートは、堂岩山直下から南面台地に滑り込んで、山頂直下までトラバースしました。猟師の沢の頭の稜線ルートは時間がかかり過ぎるでしょう。 雪質が安定していそうなので、白砂山山頂直下の雪壁が稜線上に這い上がれそうでした。 午前中の早い時間だったのが幸いして、キックステップで調子よく稜線上に立つことが出来ました。 ほぼ無風快晴の白砂山山頂に、無事全員が立つことが出来ました。山頂からの360度の絶景をゆっくりと堪能しました。 後ろから続々とメンバーたちも登ってきます。 帰りは山頂直下の大斜面を滑りました。 一ヵ所急なところがありましたが、雪質が安定していたことが本当にラッキーでした。 堂岩山と中尾根の頭との鞍部まで戻って来れればもう安心です。 日暮れ前のちょうどいい時間に全員野反湖に戻りました。その夜は予定どおり、今は無き野反湖ロッジに宿泊して、翌日下山しました。

上信越国境白砂山BC・冬山訓練前編

白砂山 2006年3月11日 遭対協の冬山訓練の想い出です。ヘリを使った上空からの山の調査と山スキーの実践的な訓練です。 パイロットと副パイロットのすぐ後ろに座って、山の名前の確認と緊急着陸できそうな場所などを探しました。白一色の野反湖上空をあっという間に横切って、堂岩山上空から大きく反時計回りに旋回しました。 八十三山から渋沢を挟んで佐武流山が近くに寄ってきます。薄い鉄板とガラスの箱がガタガタいいながら空を飛んでいることが現実ではないように感じました。 大倉山の上空をさらに旋回していくと、千沢と魚野川の向こうに見覚えのある岩菅山連峰がどっしりと横たわっています。 パイロットたちも奥深い野反湖の山々の名前を私から聞きながら、実際の様子と頭の中の地図を比べているようでした。 大きく一周したところで、堂岩山が一番安全な場所であることを確認して降ろしてもらいました。 副操縦士からの絶妙な指示でヘリから飛び降りることができました。この後何回かに分かれてメンバーたちもヘリで運ばれてきます。 13名全員が堂岩山山頂から最後のヘリが去っていくのを見送ることができました。

上越国境上ノ倉山BC2006-4-1

覚書:小暮理太郎著山の想い出によると、東京から見える山として白砂山や佐武流山、忠次郎山、大黒山などが紹介されています。小暮理太郎氏自身も4月初め頃の残雪期に、セバトノ頭あたりに立って苗場山を眺めたことを述懐しているのが興味深いです。ところでここには上ノ倉山という名前はまったく出ていなくて、東沢山という山名となっています。はじめはなぜかわかりませんでしたが、地図を広げてみると清津川本流から東沢という支流が上ノ倉山から流れ出ているのを見つけすぐに合点が行きました。また違う古い山の本で四ッ峰と見たのをうろ覚えですが記憶にあります。上の倉山を中心として、四つのピークから付けられた名前だとすると合点が行きます。一つは、上の倉山の西に本峰よりも少し標高の高い無名の小ピークです。あと大黒の頭と大黒山があります。 2006年4月1日 厚い雪に埋もれた林道を、朝8時過ぎに歩き出します。素晴らしい自然林のスロープが広がります。前日までに降り積もった深い新雪に、快適滑降の期待が胸高まります。 4月の日差しは予想外に強烈で汗が噴き出ました。大きく広がったボウル状大斜面の入り口から、左側の国境稜線を目指します。この辺り、風向きや日当たりなどの条件が悪いのか、雪崩れやクラックでズタズタになっています。遠目ではスキー向きの快適斜面に見えましたが、とても滑れる斜面ではありませんでした。 12時過ぎ、国境稜線を少しはずれた1850m小ピークのセバトノ頭付近を通過です。さらにここから、上ノ倉山を目指してウロコ板でスピーディーに国境稜線を辿ります。 大黒ノ頭直下の急斜面はツボ足で登りました。高度が上がるにつれて、足下に白砂源流のパノラマが広がります。夏、白砂源流を遡ってスルスの岩洞に泊まり、小さな沢を這い上がって上越国境稜線に立ったのは、もう10年も前になるでしょうか。 約7時間かかって、上越国境・大黒の頭山頂に立ちました。上の倉山までもう少しでしたが、今日はもう時間切れです。奥深い山域に足を踏み入れられたことだけで気分は最高でした。 清津川の深い谷を隔てて、先週滑った苗場山の屹立とした姿が、春霞の中にぼんやりと浮かんでいます。午後3時半の下山。 太陽は西の山々に大きく傾いていて、日の陰ったところから、雪面は急速に氷化し始めています。渾身の力を込めてクラスト斜面にテレマークターンの円弧を描きます。 完全に日が陰った5時過ぎ、最後のお楽しみにしていた大斜面は、最悪のブレイカブルクラストでした。もはやテレマークターンは通用しなくなり、斜滑降とキックターンの繰り返しで怪我をしないように降りました。最後の林道は直滑降で飛ばせたのは不幸中の幸いでした。

上越国境セバトノ頭BC2007-1-28

記録のないエリアのスキールートを開拓するのは楽しい。2004年に営業を廃止したスキー場からアプローチしてセバトノ頭を目指してみた。誰にも会わない山スキーは、やっぱり楽しいなぁ。 旧ゲレンデトップまでまずはハイクアップ。振り返ると平標山と仙の倉山がわかりました。 西沢の頭経由で稜線上をルートに選ぶことも考えましたが、今回はできるだけガラン沢源頭斜面へとトラバース気味にルートファインディングして、県境稜線上のどこかに上手く這い上がれるところはないか探してみることにしました。 美しいブナの森を抜け沢に滑り降りると、雪崩に磨かれたガラン沢源頭斜面がはるか上方に見えてきました。 無木立の斜面は雪崩そうでとても怖くて入れそうもないので、ちょうどコメツガの濃い樹林帯の斜面が県境稜線上へと這い上がれそうです。 なるべく県境稜線上の標高の高いところを狙ってコメツガの樹林帯をシール登行続けると、雪原が広がりました。四万川源頭斜面が足下に広がり、向かいの山の稜線に見覚えのある突起が目に飛び込んできました。コシキノ頭に違いないです。 雪の中に偶然古い渓流シューズを見つけました。この辺りには登山道などないので、無雪期は藪を漕ぐか沢を遡るかです。古い渓流シューズの持ち主は、いったいどんな山旅をしたんだろうと想像力が膨らんできます。 この雪原はどうやら笹平と呼ばれている場所のようです。セバトノ頭と思われる平らな森はもうすぐそこです。その向こうには上の倉山から忠次郎山、さらに上の間山と県境の山々が続いているのがわかります。高曇りながら素晴らしい展望が楽しめたので、今日はここまでで十分満足です。 上州側はクラストしていて、なかなか手強い滑りだったけれど、越後側は新雪を巻き上げて豪快に滑ることが出来ました。 登ったり滑ったりの繰り返しが多いルートは、断然ウロコテレマークの機動力が生きてきます。 ガラン沢は水流が出ていました。慎重に渡渉して旧ゲレンデに出れば快適滑降が待っていました。 セバトノ頭は平らでな樹林帯ですが、四万川源流とガラン沢源流、セバト川源流と白砂川源流という十字のジャンクションピークです。わかりにくい地形ですが、きっと地図マニアにとっては知る人ぞ知るエリアだと思います。