アウトドア野郎のLPジャズ旅

Iguaçu/パスポート

パスポートは1971年結成当時、まだ西ドイツだった頃からのフージョングループ。日本ではあまり知られていないグループでしょう。学生時代に国際線の機内ミュージックで聴いていいなと思い、パスポートというバンド名が覚えやすかったのかいつまでも気になっていました。最近中古レコード屋さんでこのレコードを見つけて、格安値段だったので懐かしくなって手に入れてみました。当時大人気だったウエザーリポートを彷彿させる演奏です。1977年録音。アルバムタイトルのイグアスは、ジャケットのイラストからもわかるように南米アルゼンチン (80%)とブラジル(20%)の二国にまたがる世界最大の滝のことのようです。

New Thing At Newport /ジョン・コルトレーン&アーチー・シェップ

1965年のニューポートジャズフェスティバルでのライブ音源。コルトレーンはA-1のみですが、過激といっていいフリージャズを解散直前の黄金カルテットで熱演しています。それと対比して、ボビーハッチャーソンのバイブラフォンを配したアーチーシェップのテナーは、なんとも余情的な味わいがあります。15の春に初めて聴いた1971年録音のシングス・ハヴ・ガット・トゥ・チェンジでシェップの洗礼を受けましたが、その時の衝撃のサウンドからすると、ここではとてもクールなテナーの肉声を聴くことが出来ます。ハッチャーソンの加わったカルテットの演奏は独特の浮遊感あるサウンドで、時々無性に聴きたくなります。

The quintet(ライブインUSA)/V.S.O.P

邦題はライブインUSAです。バークレーのグリークシアターとサンディエゴのシビックセンターでの2ヵ所における1977年7月のライブ盤です。この1週間後、日本でも田園コロシアムで熱狂的なライブが繰り広げられてレコードになっています。当時リアルタイムでは、こちらの日本でのライブ盤のほうがダントツで良く聴いていました。FMでライブ放送したような記憶がありますが、どうだったかな。2枚組LPのライブインUSAは当時高校生だったから、とてもお小遣いで購入できる余裕はなかったので、最近になって中古レコード屋さんで大人買いしたものです。演奏は素晴らしいの一言で、今聴いても感動ものです。

Live at the Lighthouse/エルビン・ジョーンズ

エルビンのレコードはなんとってもメンバーのサックス奏者が誰かということが一番気になります。これは1972年録音の2枚組ライブ盤で、若き日のリーブマンとグロスマンがフロントでお互い火花を散らすように吹きまくっている姿をとらえた名盤です。数年前に偶然神保町の中古レコードショップで格安の値段で見つけて即買いでした。ほんとラッキーな出逢いで、ほんの少しタイミングがずれていれば他の人の手に渡っていたはずです。まず音質が素晴らしくて、ライブの雰囲気がプンプンに伝わってきます。1曲目ドナルドバード作曲のファンシーフリーは、まさに曲名通りの自由奔放なアドリブを二人のサックス奏者が応酬し合う、圧巻の演奏です。このA-1だけでもうお腹いっぱいです。余談ですが、この輸入盤レコードはオートチェンジャーカットでした。状態がすごくいいにもかかわらず格安値段だったのは、そのためだったのかな。

seven steps to heaven/マイルス・デイビス

ベイズンストリートブルースという洒落た曲から始まって思わずマイルスの世界に引き込まれてしまう名盤です。偶然にも前レコードのインヨーロッパでのライブ直前に録音されたもので、当時のマイルスの好調ぶりが伝わってきます。トラック6曲のうち3曲はロサンゼルス録音でピアノがビクターフェルドマンですが、とてもいいです。そして残り3曲はニューヨーク録音で、この時に新しいマイルスクインテットのリズムセクション、ハービー、ロン、トニーが正式に決まったようです。以前ロンカーターの自伝本を読んだ時に、このあたりのことも興味深いことがいろいろ書かれていたことを思い出します。

in Europe/マイルス・デイビス

梅田の阪急東通り商店街の奥の方に輸入盤専門店が2軒少し離れてあったかな。ネットもなく、スイングジャーナルのディスクレビューやレコード店の広告記事くらいの情報しか頼りにならず、輸入盤専門店には新しいジャズレコードを求めてよく通ったものです。60年代のマイルスのレコードはあまりにも名盤過ぎて、ジャズ喫茶でもかかることはなくて自分で購入して聴くのが一番手っ取り早かったかも。でもどれから買おうかずいぶん悩んだと思います。6枚目のフォーアンドモアより1年前の1963年フランスアンチーブジャズフェスティバルでのライブですが、メンバーはジョージコールマンのサックスでフォーアンドモアのクインテットと同じです。このライブの演奏の方がやっぱり新クインテット結成間もないので新鮮な感じがします。60年代マイルスは、純粋にジャズを楽しんでいた10代後半の青春時代を思い出します。

Just Before After Hours/ヒラリー

1979年の作品。当時女流サックス奏者のリーダーアルバムは珍しかったので、スイングジャーナルの新譜レビューを読んだ記憶があります。だいぶん後になってから安価な中古盤で見つけたので、どんな演奏が聴けるのか興味がわいて入手してみました。プロデューサーはジャズクルセイダーズのトロンボーン奏者だったウエインヘンダーソンで、ドラムはハービーメイソン。このクレジットにもそそられますが、実際の演奏はその当時流行っていたクロスオーバー路線です。

80° Below ’82/エアー

偶然にもマテリアルのメモリーサービスにも参加しているヘンリースレッギルがメンバーに入っているエアーのレコードが来ました。こちら1982年録音のレコードだから、メモリーサービスの翌年の演奏です。エアーは、ロフトジャズのグループとしてずっと気になっていたので、中古盤で見つけたら値段が合えば即買いです。エアーとかアートアンサンブルオブシカゴのようなフリージャズのグループの音楽が、なぜかときどき無性に聴きたくなります。

MEMORY SERVES /マテリアル

訳ありのレコードです。これは、レンタルレコード屋さんで出たばかりの輸入盤新譜だったんですが、さっそく自分が借りている間にレコード盤を変形させてしまいました。原因は真夏の車内にしばらくレコードを放置してしまったことです。熱の影響でレコード盤が変形して波を打ってしまいました。針を置くと小さくジャンプする始末で、これは大変な失敗をしてしまいました。もちろん責任をとって買い取りました。全8曲のうち、A-1、A-2とB-5、B-6の4曲が、針飛びでまともに聴けなかったですが、レコード盤の中心に近いA-3、A-4とB-7、B-8の4曲はちゃんと聴けて楽しめます。ビルラズエルを中心とした新進気鋭の個性的なメンバーたちの斬新なサウンドは、なんか変なんだけどすごく心地よくてかっこいいです。この音楽がやがてハービーハンコックのフューチャーショックへとつながっていくことを想うと、傷もの(しかも重傷!)ながら歴史的名盤としても手放せない一枚なのかな・・・・

Big time/ケシャバン・マラスク

録音日は1981年ですが、国内版で発売されたのはずっと後になってからのようです。帯を見ると限定300枚と書かれているので、新譜で即買いでした。ライナーノーツの日付は1989年とあったので、やはり購入したのは1989年以降です。ケシャバンマラスクはかなりマニアックなミュージシャンですが、実はそれ以前からとても気になるサックス奏者でした。というのも1982年5月11日大阪心斎橋、島之内教会でのICPオーケストラの一員として来日し、その演奏を聴いていたからです。今でもその時のコミカルで楽しかったライブの光景は鮮明に覚えています。こちらのレコードの方が来日した時よりも前の録音ということのようです。両者を聴き比べると、個人的な趣味として、ICPオーケストラというヨーロッパ勢や日本勢の個性的な共演者の中でこそ、ケシャバンマラスクのテナーが楽しめたのかなと思ったりします。