アウトドア野郎のLPジャズ旅

play bach special Vol.2/ジャック・ルーシェトリオ

FMラジオでバドパウエル特集をやっていて、その中でバドオンバッハを初めて聴いて、バッハだろうがクラシックだろうがなんでも自分流に自由にかっこいい演奏をするバドが大好きなピアニストになりました。出逢いは有名なクレオパトラの夢ではなくこっちでした。その後ジャックルーシェのプレイバッハを知りましたが、このレコードはG線上のアリアが入っているので思わず中古でしたが手に入れました。でもあんまり聴くことなくて、今回久しぶりにA面B面聴き通しました。バドパウエルとはまったく違った上品なスイング感で、とても心地よい演奏です。

Love Devotion Surrender/サンタナ・マクラフリン

高校時代のクラスメイトにサンタナ好きのギター少年がいて、お互いの好きな音楽について語り合った思い出があります。1981年のライブアンダーザスカイでサンタナが大阪万博のステージでハービーハンコックのバンドと一緒に演奏しました。その時に初めてサンタナを生で聴きました。そういえば記憶違いでなければ、ハービーハンコックの器材が電気系統のトラブルで長時間復旧せず待たされたっけ。このレコードはギター好きの弟が購入して家にあったものです。ずいぶん後になってから何気なくレコードプレイヤーに載せて聴いてみたら、いきなりコルトレーンの至上の愛が始まってのけぞりました。1973年発表。マイルスのバンドで世界的に名を馳せたマクラフリンとの共演に、この時ようやくサンタナが何者なのか知りました。

Salt Peanuts /スーパーサックス

スーパーサックスの第2作で1974年録音。だいぶん後になって中古で買ったもので、リアルタイムでは縁のないグループでした。チャーリーパーカーの音楽自体も、図書館でCDを借りて聴くようになるまで出逢いがほぼ無くてあまり聴いてこなかったです。ただ、直接聴かなくてもほとんどのジャズがチャーリーパーカーのビバップとのつながりあるので、例えば渡辺貞夫のレコードからチャーリーパーカーを勝手に理解しているような気にもなっていました。クリントイーストウッドの伝記映画バードをTV放送で観た時は、今までのチャーリーパーカーのバラバラな知識が一つにつながって、目からうろこでした。ジャケットはなんかダサい感じですが、音楽は超お洒落です。

spirituals/デビッド・マレイ

1988年1月、日本のDIWレーベルからの作品。レコードの帯には、「マレイの原点、ゴスペル、スピリチュアルの世界に挑戦した魂の詩。」とあります。発売は1990年くらいなので、どんどんレコードの新譜が少なくなって、CDが主流になっていた時代です。そんな時代背景の中で、1曲目のアメイジンググレースの選曲に魅かれて発売と同時に新譜で買いました。この時代の日本はまさにバブル経済の真っ只中でした。悠雅彦氏のライナーノーツを読むと、逆にニューヨークのジャズ的状況は不景気でジャズメンにとっては厳しい時代だったようです。そういえば山手線内の土地でアメリカ全土が買えるとか、ゴッホのひまわりが53億円で落札されたニュースが話題になったりとか、バブル時代の日本はジャパンマネーの勢いが最高潮でした。今から思うと、そのおかげでこのような作品をいくつも送り出していてくれたのかもしれません。でもこの頃はもうデビッドマレイの演奏に何か物足りなさを感じていました。

chare in the sky/ミンガス・ダイナスティ

チャールズミンガスは、1979年1月5日に56歳で逝去。没後ミンガスゆかりのメンバーによるバンドが結成され、各地で演奏される中での7月9、10日に録音された追悼盤。ジョニミッチェルのミンガスも7月にリリースされて、一般的にはこちらの方がミンガス追悼盤としてはあまりにも有名過ぎます。当時リアルタイムでミンガスダイナスティは聴いていなくて、だいぶん後になってから中古版で購入したもの。ジョニミッチェルのミンガスは話題になったし、たしかすぐに国内版でも発売されてFMラジオで頻繁に流れたし、貸しレコード屋ですぐに借りることもできて、良く聴いたものです。ミンガスダイナスティの方も、豪華メンバーによる最高にご機嫌な演奏です。A-2アチャエアーインザスカイとB-1スイートサッカーダンス、B-2デモインのお洒落賭博師の3曲は、ジョニミッチェルの追悼盤にも収録されていて、ジョニとミンガス共作もしくはミッチェルの曲です。

‘Four’ & More: Recorded Live in Concert/マイルス・デイビス

次はなんとマイルスのライブ盤です。60年代のマイルスのレコードはけっこう聴き込んだ時期がありました。これは、1964年2月12日にニューヨークのフィルハーモニックホールのライブですが、とにかくどの曲もエキサイティングでかっこ良すぎです。マイルスのトランペットはもちろんですが、トニーウイリアムズのドラムを中心にリズムセクションがとにかくすごいです。またジョージコールマンのテナーも癖になる音色で悪くないです。そういえばジャズに夢中だった1970年代後半はマイルスが演奏活動から引退していた時期で、その当時のジャズ少年にとってマイルスはミステリアスなミュージシャンでした。復帰第1作はザマンウイズザホーンで大変な話題になりました。1981年10月に見事カムバックしたマイルスのライブが大阪でもありましたが、もちろんこの時のマイルスの初ライブには大興奮しました。コンサート会場が扇町公園だったのもよく覚えています。

“Live” At The Village Vanguard/ジョン・コルトレーン

おっと、5枚目はジャズの歴史的大名盤が来ちゃいました。1961年10月24日から11月5日まで、ビレッジバンガードに長期出演していたコルトレーンのライブ盤です。今ではかなりの未発表だったライブ演奏も完全CD化もされて、1961年のビレッジバンガードライブの全貌がわかっています。A-1は1961年11月3日録音。エリックドルフィーのバスクラとの共演が楽しめます。レジーワークマンのベースもすごいいいです。A-2とB-1は11月2日録音です。スタンダードを弾くマッコイタイナートリオの演奏のあとから入ってくるコルトレーンのソプラノの深い音色に酔いしれることが出来ます。B面は一転、最後まで聞き通すためには相当なエネルギーを消耗させられるコルトレーンの独演です。フリーへと突き進もうとするコルトレーンの生々しい姿が浮かび上がってくる圧巻の演奏です。この盤は中古ではなくて新品ですが、どこでいつ購入したのか覚えてないなぁ、

Warne out/ウォーン・マーシュ

レニートリスターノ派の高弟ウオーンマーシュの1976年録音のピアノレスのトリオ演奏です。発表されたのを聞いたのはNHKFMのジャズ番組の新譜紹介コーナーで、カセットテープにエアチェックしたものを愛聴していました。レコードで手に入れたのはずっと後になってからで、これは中古版です。ですからジャケットのカッコよさを知ったのもレコードと出逢ってからです。テナー一本でいい仕事ができる職人さん的なイメージのジャケットです。とはいうものの、B-1とB-3は多重録音していてテナー2本の演奏ですが。

solo live vol.1/デビッド・マレイ

このレコードを買ったことはよく覚えています。大阪阿倍野アポロビルの三木楽器の輸入盤特設コーナーで偶然見つけました。Solo live2もあったので、両方とも手に入れました。とにかくインディアナナビゲーションから出たデビュー盤にぞっこんだったので、当時の私にとってジャズサックスのアイドルでした。それほどのデビッドマレイですが、1984年2月から3月にかけてニューヨークジャズ旅をしたときにライブで聴くことは叶いませんでした。1年後日本に来てスケッチオブ東京という作品を残していますが、日本でもライブには恵まれませんでした。その代わりに1984年のニューヨークでは、ビレッジバンガードでファラオサンダース4のライブがあって2夜も楽しみました。あの有名なYou’ve Got To Have Freedomをステージの間近で聴けました。ほんとうに迫力の演奏でした。デビッドマレイはそんなファラオサンダースの下の新しい世代です。ソロでLP2枚分の作品を作ってしまう大胆さと斬新さは、ファラオサンダースとは明らかに違う次元にいる凄いジャズマンです。このLPが録音されたのは1980年5月30日ですが、ジャックデジョネットのスペシャルエディションの録音に参加したのは1979年3月ということで、ソロで演奏会をしても貫禄十分だったことでしょう。ところで、1曲目のBoth feet on the groundで始まりますが、演奏会も実際にこの曲から始まったのでしょうか。舞台の上を歩き回りながら吹いているマレイとお客さんの反応が生々しくわかる録音です。

trane`s reign/ジョン・コルトレーン

次は何だろう?と2枚目を引き抜いたらまたもやコルトレーンでした。シーツオブサウンドが絶好調なスタンダードコルトレーンの見事な演奏が楽しめました。リズムセクションはレッドガーランド、ポールチェンバース、アートテイラー達です。スタンダード曲中心のワンホーンカルテットものとしては1曲の演奏時間が長いのは、饒舌なコルトレーンらしいですね。ところで、このLPはセッティン・ザ・ペースとしてすでにリリースされていたものを1970年にトレーンズレインとしてタイトル名を変えて再発売したことを今回初めて知りました。ジャケットが変わるのはよくありますが、タイトル名まで変わるのはめずらしいと思います。慌て者は絶対買ってしまいますね。今日は朝から最高な青空の天気に恵まれていました。こんな日に出かけられないときは、棚から一枚のジャズレコードが慰めてくれます。