台風シーズンになると、天気予報がコロコロ変わるので、稜線トレイルの縦走の日をいつ決めるかは直前になってしまいます。いつ雷雨にやられるか不安なので、どうしても慎重になります。野反湖の白砂山登山口を朝5時にスタート。思ったより空気は澄んでいて堂岩分岐からの白砂山の絶景がこれからの長い縦走路の心配を和らげてくれました。 薄い雲がかかり始めていますが、群馬県側の空は榛名山がはっきり見えるくらい青くて安心させてくれます。 新潟県側は、佐武流山が渋沢源流を挟んで大迫力です。苗場山、鳥甲山などもこの稜線でしか見られない姿を拝むことが出来ます。 堂岩山から白砂山までの稜線は、貴重な高山植物の宝庫だと思います。登山道は幅が狭く朝露でびしょ濡れになりますが、どこも人間中心主義というわけにはいかないものです。夏のこの時間であれば衣服がびしょ濡れになっても、ギラギラの太陽が昇ればすぐに乾いてしまうでしょう。いったん着用したレインウエアは蒸し暑いのでまたすぐに脱いでしまいました。 お花畑の花の種類もいつの間にかずいぶん変わっていました。休日で天気が良ければ賑わっているだろう白砂山山頂はとても静かでした。 白砂山からは先週刈払いされたばかりの登山道が忠次郎山まで続きます。この稜線に続く1本の登山道を前にして歩きたいと思わない登山者はいるでしょうか。 猟師の尾根の頭あたりまでなら白砂山から往復1時間です。上の間山なら白砂山から往復2時間みれば、奥深い群馬県境稜線トレイルの素晴らしさをさらに深く味わうことが出来ると思います。 ずっとNHKラジオを聞いて天気予報をチェックしていましたが、今日はどうやら夕方くらいまで天気も大きな崩れはなさそうで一安心です。 白砂山から赤沢山くらいまでは稜線漫歩を楽しみました。赤沢山を過ぎて忠次郎山への登りがちょっと辛くなります。上ノ間山山頂から赤沢山と忠次郎山が真正面に眺められます。刈払いされたばかりの登山道もくっきり稜線にわかります。 右下に白砂川源流の赤沢源頭斜面が広がります。スルスの岩洞に泊まってこの沢を遡行してくるのがクラシックな沢登りルートです。 今は崩壊して稜線ですが、かつては湿地があるようなところだったのかもしれません。稜線直下のガレ場でイワショウブが見られます。7月の歩いた時はキンコウカが見られました。 分水嶺が複雑な地形の白砂川源流域の山々です。どこがどうなのか見えてくるまで慣れていても少し時間がかかってしまいます。 ヤマドリゼンマイの群生地にキオンの黄色が鮮やかできれいでした。この近くにゲイロの井戸という湧水池があります。 めったに登山者もやって来ないから、ホシガラスが興味をもって近付いてきました。 忠次郎山まで快適に整備された登山道でしたが、いよいよここからは今年まだ整備が入っていない登山道になります。日当たりのいい斜面はやはり笹の伸びが激しいです。上ノ倉山の前後は胸まで笹が繁茂しているところがありました。笹の中が見えないので、ペースがゆっくり目になります。 行く手の大黒の頭山頂付近に雲がかかり始めました。やはり天気の急変が心配です。油断はできません。 まだ10時前なので、順調なタイムでここまで歩いてきていますがゆっくりはしてられません。白砂川源流のダイナミックな景色を眺めながら急ぎます。 ムジナ平避難小屋は最後に使った人がとてもきれいにしてくれたことがわかり安心しました。ムジナ平の水場も冷たくておいしい水がちゃんと出ていました。ここは笹清水と名付けてあるように、笹の葉っぱで上手にペットボトルに汲むのが効率的です。短時間で大量に汲めませんが名水だと思います。セバトノ頭を抜けると笹平です。この辺りも笹が盛大に伸びていました。胸辺りまで体が没してしまうところもありました。9月中に整備が入る予定だそうですが、なるべく早く入ってほしいところです。笹平の群馬側の斜面は四万川源頭になります。ここもなんとなく心が癒される景色で好きです。三坂峠には正午過ぎに到着。旧三国スキー場へのエスケープルートを下り迎えの車と合流しました。野反湖から旧三国スキー場まで8時間のコースタイムでした。登山口ではずっと工事現場になっていますが、登山者の通行は優先してくれています。