トレッキング

中之条町六合地区の自然と歴史を訪ねて2024-10-2

六合地区の自然とともに先人たちの足跡を辿る歴史を偵察したり下見することも楽しいです。9月30日は、吾妻線のルーツを探るというテーマで、チャツボミゴケ公園と旧太子駅を下見してきました。 視点を変えると今までの概念がひっくり返って新鮮な驚きや発見があります。今までのガイドの流れや話の中身も変わります。当日どんなガイドをしようかと、文献のページをめくりながらあれやこれや調べ直します。 群馬鉄山の歴史を改めて紐解いてみると、今までばらばらだったことがつながったり、先人たちの苦労や熱い思いが伝わってきたりして興味が尽きません。 ガイド当日は太子線の廃線跡も生徒たちと訪ね歩く計画です。 10月1日は、道の駅六合からE-bikeで白砂渓谷ラインを漕いで野反湖までの紅葉の様子も偵察しました。 野反湖は数日の間にどんどん色付きが進んで秋らしくなっていました。ススキの穂が大きく伸びて風に揺られる風情がなんともいえずのどかです。 白砂渓谷ラインもなんとなく木々が黄色くなっていて、真夏の陽ざしがきつかった頃の濃緑の森が懐かしく感じます。 白砂川源流の盟主白砂山も今日は綺麗に遠く輝いています。 E-bike&トレッキングガイドも、ちょっと視点を変えてチャレンジしてみる新しい試みです。 ところで10月2日は青空に恵まれて、吾妻線のルーツを訪ねるテーマで楽しいガイドの一日でした。

第3回ぐんま県境稜線トレイルDエリア探査2024-9-24

スカッとした秋空に恵まれなかった3連休明けの24日、天気予報は晴れマークで草津白根山の山の天気もAランクが並んだので早速歩くことに。ところが夜明け前の志賀草津道路は小雨。山田峠付近から雲を抜け出して芳ヶ平展望台は雲海の景色が広がっていました。しばらく絶景を楽しんでいたらご来光です。久しぶりの朝日を拝むことが出来ました。 少し寄り道してしまいましたが、6時前に渋峠をスタート。横手山から雲海をもう一度楽しんだ後、ジャイアントコースのゲレンデを下りながら野反湖までの長いトレイルの様子を思い浮かべます。 長野側はよく晴れていました。群馬側は厚い雲の下です。のぞき分岐から雲の下に潜り込んでいきます。草津峠から鉢山、四十八分岐を過ぎて赤石山まで、ずっと白い霧が立ち込めた根曲がり竹の切り開きを歩きました 赤石山でようやく空が青っぽく見えました。虹も現れて岩峰に立つとブロッケンが眺められたようです。少しあとから登ってきた登山者が喜んで教えてくれました。私も写真に撮ろうと岩峰に立とうとしたらすぐにガスってしまいほんのわずかの出来事だったようです。 さてここからダン沢の頭までが笹や草の刈払い整備が済んでいるかどうか心配な区間でした。もし笹薮だったらあっという間に全身がびしょ濡れになることを覚悟しなければなりません。渋峠の今朝の気温は6度でした。もう夏ではないので、衣服を濡らすことは避けたいです。赤石山から5分ほどの距離にある仙人池まで歩きながら笑みがこぼれます。つい最近笹刈りが行われたようで、高速道路のように歩きやすく整備されていました。 ルンルン気分で歩き始めましたが、すぐに大きなクマの落とし物が調子に乗んなよ!って感じで登山道の真ん中に落ちてました。前回はまったく熊の痕跡は見当たらなかったし、ここまでなかったので安心していました。気を引き締めて歩くことにします。 ところで、整備してもらった登山道はなんと快適なことでしょう。湯ノ沢の頭も順調に過ぎてダン沢の頭の急登も藪を掻き分ける苦労に悩まされず歩けました。整備していただいた方に感謝です。 そしてオッタテ峰も小高山といくつもの峰を越えて五三郎小屋入り口まで順調です。 廃屋と言われようがいざという時は天国にもなる避難小屋と水場の様子を確認してから、大高山への登りです。野反湖までのいくつかつらい上りがありますが、ここを頑張れば気持ちが楽になります。 最後の登りがカモシカ平から三壁山です。カモシカ平は濃い霧の中で幻想的でした。 渋峠から8時間ちょっとでバンガローの赤い屋根が可愛い雰囲気の野反湖キャンプ場にとうちゃこです。 朝白砂山稜線が雲海の上に島のように浮かんでいるのがわかりましたが、昼間は青空に恵まれていたのでしょうか。Dエリアの稜線はずっと雲海の下に沈んでいたようです。

芳ヶ平ネイチャーラーニング2024

今夏は地球温暖化の影響でしょうか、迷走台風が象徴するように予想を裏切るような天気予報に毎日翻弄されています。何か月も前から準備を進めてきた芳ヶ平ネイチャーラーニングも当日の天気予報を毎日にらめっこしながら心配して過ごしました。結果的には雨に降られることなく計画通りの行程で無事安全に学習することが出来て良かったです。 今回の学習コースは、チャツボミゴケ公園から三つの池を巡りながら八石山でお昼、午後はさらに大平湿原まで行って帰ってきます。枯れた状態が続いていたチャツボミゴケの緑がびっくりするくらい増えていてとても綺麗でした。生徒の皆さんにいい状態のチャツボミゴケが見てもらえて本当に良かったです。 歩きながら様々なものに出逢いながら五感で自然を感じてもらいました。予期せぬものにも出逢いました。何と登山道の真ん中にミズナラの根っこから立派なマイタケが生えていました。無線で後ろからやってくる2班のガイドに伝えたら、大きな山ナメクジがマイタケを食べていましたよと教えてくれました。確かに写真を見ると写ってますね。 大池の湖面が本当に鏡のようでした。いままでこんなに綺麗に池の周りの景色や空を映しているのを見たことが無いです。 この森の中の美しい池は、いったいどんなふうにしてできたんだろうか?と神秘的に感じられてきます。 計画通りの午前11時半きっかりに八石山山頂に到着しました。曇り空ですが遠くの景色も楽しむことができてラッキーでした。時々風も吹いてくれるので蒸し暑さも和らぎます。ゆっくりお弁当を広げました。近くに携帯トイレブースも設置して安心して休憩してもらいました。 午後は八石山からちょっと寄り道して大平湿原まで頑張りました。というのも昨年大平湿原の水芭蕉がニホンジカの食害によって大きな被害があることがわかりました。今年さっそく地域の関係者も協力して方策を探る活動が始まりました。生徒の皆さんにもこれから一緒に考えていってもらえたらなという願いからです。

ぐんま県境稜線トレイルEエリア鳥居峠~四阿山探査2024

登りは的岩コースから古永井分岐へ。今日は朝から青空で絶好の登山日和のようです。浅間山が勢いよく噴煙を上げていました。なかなか壮観な眺めです。 先日歩いた七千尺コースの籠の登山や水の登山の稜線もハッキリとわかります。 古永井分岐で花童子の宮跡コースと合わさって2144m小ピークを目指します。途中にある見晴らしのいいガレ場にはマツムシソウが咲いていました。 2144m小ピークからいったん下がる木道の階段が非常に危険なことを再確認しました。つるつるに滑るのですぐ脇の踏み跡を辿ることをお勧めします。木道は貴重な植生保護のために設置されたのだと思いますが、ここは例外です。過去、転倒した登山者が遭難救助された事例もある場所です。 途中で嬬恋清水に寄ってみます。相変わらず冷たい湧水が出ていて登山者の喉の渇きを癒してくれています。 山頂から根子岳方面が綺麗に眺められました。根子岳の大隙間の草原は、今年はまだ整備が入っていないらしく藪っぽいそうです。そちらから来た登山者が露でビショビショですと話していました。 山頂で少し休んでから浦倉山方面の茨木山登山道分岐まで下ってみました。 本峰と合わせてこの小ピークが、方角によっては四阿山が双耳峰に見えます。三角点から振り返る本峰もピラミダルでかっこいいです。 茨木山登山道分岐から山頂に引き返して少し休んだ後、今度は根子岳分岐と長池分岐を探査。結構笹が伸び放題で藪っぽかったです。笹が濡れていないのが救いでした。四阿高原ホテルルートは冬季のスノーシュー登山者に大人気なコースですが、夏季は登る人が少ないです。四阿高原ホテルルートで登ってきた人は、この長池分岐で下山道を見過ごすことがよくあるようです。 長池分岐から鳥居峠分岐まで引き返して、下山は花童子の宮跡コースを選びました。登りの時にはまったく見過ごしていましたが、こんなに立派なマスタケを発見しました。

夏の七千尺ルートトレッキング探査2024-9-6

前回歩いたのは内閣官房長官が新しい年号を発表する日だったのを良き覚えています。平成最後の年だったと思うと月日が流れるのは早いものでもう6年経ってしまったということです。その日は4月1日だったようで、だから途中までスキーを使って登ったような覚えがあります。 大きな溶岩がゴロゴロ転がっている水の登山の尾根は、風で雪があまりつかなそうだから右手の樹林帯の方をルートに選んだことも思い出します。夏の登山道ルートも展望が良くて、水の登山はとても素晴らしい山です。 鹿沢温泉で雪山賛歌が生まれたのは昭和の初めですが、七千尺コースという呼び名もきっとその頃に付けられたのでしょうか。昭和の初めころというのは、山スキーが流行っていたようだから鹿沢温泉と高峰温泉を結ぶ籠の登山と水の登山の稜線はツアーコースにもってこいの稜線だったでしょう。 この時期、黄色い小さな花のイワインチンがいたるところで咲いていて目を楽しませてくれました。たくさんの人が歩く登山道沿いで人に踏まれないようなところから茎をのばして咲いています。山頂付近ではオオカメノキかと思ったらなんとミヤマシグレでした。白砂山稜線のものと比べると実も葉も大きくてオオカメノキに似ています。 水の登山と籠の登山の間には赤ゾレという大崩壊地があります。浅間外輪山の仙人岳には白ゾレがありますが、残雪期に雪がいい感じにつながっていたりすると思わずよだれが出そうになります。今のところ、ちょっとデンジャラスなので理性で踏みとどまっています。 ところで稜線上の登山道は、ほとんど黒木の深い森の中に隠れているので涼しくて気持ちいいです。 最後のひと登りで籠の登山山頂です。ここは山頂が広くてしかも360度の絶景が楽しめます。 籠の登山もいつかスキーで登って滑ったことがありましたが、樹林が密でスキーコースには向かなかったように覚えています。現代的なバックカントリースキーよりもスノーシューツアーとして歩いたほうが楽しめそうです。 山頂から池ノ平湿原の火口の様子がくっきりとわかりました。古い火山であることがわかります。帰りは池ノ平湿原に寄っていくことに決めます。 途中びっくりするような落葉松の木に遭いました。野生の落葉松は、植林されたところで見る落葉松と同じ木だとは到底思えません。 池之平湿原へ下る遊歩道の木道が新しく付け替えられていました。歩くのがラクチンです。湿原の花はもうあまり見られないかと期待していませんでしたが、チョコチョコいろんな種類の花が楽しめました。 あとカモシカにも遭いました。ニホンジカもきっと群れで移動してくるのでしょうが、登山客の多い池ノ平湿原はカモシカにとって少しは安心して生きられるところのようです。 池ノ平外輪山の雲上の丘の斜面は、今シーズンのバックカントリーガイドで3度楽しませてもらいました。 最後に高峰林道を小一時間歩いて出発地の高峰温泉に戻りました。

夏の終わりの白砂山~八間山周回ルート探査2024-9-3

台風11号が発生した影響もあるのか、湿った南風の影響で天気予報は晴れマークにもかかわらず稜線には絶えず濃い霧がかかっていました。 せっかくの白砂山山頂ですが生憎の展望でした。 代わりにキアゲハが私たちの目前の地面に羽を広げて止まっているのを見つけました。 山頂で30分くらい天気待ちしましたが、なかなか霧が晴れそうにないので下山します。山頂から金沢レリーフまでは南斜面のガレ場にホソバコゴメグサの小さなかわいい花がたくさん咲いていて見事でした。 猟師の沢の頭付近で少し空が明るくなってきて、いよいよ白砂山山頂も霧が晴れて見えてくるかなと期待させてくれます。 しかしながらまたすぐに霧が湧き流れがっかりさせてくれます。でもその代わりに、稜線を流れる霧の風景も幻想的でいいものです。 堂岩分岐で往復ルートで戻るか八間山周回ルートにするかコース判断をしたときには、まさかこの後雨が降ってくるとは思いもしませんでした。予定通り周回ルートで八間山を目指します。 中尾根の頭から振り返ると、白砂山山頂部分だけはいつまでたっても雲がかかっているようでした。黒渋の頭まで樹林帯の尾根を鞍部まで下ります。その途中でポツポツと雨が落ちてきました。すぐに止むだろうと気にせず歩き続けましたが、次第に強くなってきて本格的な降りになってしまいました。 折り畳み傘もレインウエアも面倒でザックの中から取り出したのはずぶ濡れになってからでした。でもこの夏の終わりの時期ですから、雨にしばらく打たれるのが気持ちいいというのもありました。 八間山に着くころ雨もすっかり上がりました。振り返ると白砂山山頂の姿も薄く眺められました。 何もかもしっとりと濡れた雨上がりの森のたたずまいも格別です。そういえばアキアカネは、群れで飛んでいなかったです。もう山を下りる季節になったでしょうか。

芳ヶ平湿地群ネイチャーラーニング2024下見

台風10号はまだまだ想定外な動きで、これから各地への大きな被害が心配されます。関東北部の山は今週末から来週明けにかけて最接近しそうです。今日の天気も台風の影響で不安定な空模様でした。 でも穴地獄のチャツボミゴケは蛍光グリーンの新緑が少しずつ増え始めています。どんよりとした日でも目に鮮やかできれいです。 1万6000年前の火山活動によって形成された芳ヶ平湿地群の溶岩台地の森にひっそりとある三つの池を巡りました。 リンドウやアキノキリンソウ、シラネニンジンの花が咲いていました。オオカメノキの赤い実も熟し始めていました。 珍しいものを見ました。アズマヒキガエルの骨格標本です。大自然の小さなんドラマも感じられます。 ぽつりぽつりとは降られましたが、大したこともなかったので無事に下見が出来ました。途中気になっていた倒木も処理できました。本番の芳ヶ平湿地群ネイチャーラーニングが楽しみになってきました。

第2回ぐんま県境稜線トレイルDエリア探査2024-8-23

台風10号が発生してしまいました。来週中頃まで天気は悪くなることがあっても良くなることはないので、思い切って歩きました。雲海の下は雨雲だったようで、草津温泉は朝から雨でした。 横手山頂からの四阿山や草津白根山は、とても幻想的な景色が楽しめました。ところで今、草津白根山は噴火警戒レベルが1ですが、山頂部の登山道は立ち入り禁止です。山頂に立てないので、日本百名山巡りをしている人たちの中には、この横手山頂に登って草津白根山に登ったこととしているようです。この景色を見るとなるほどって納得ですね。 スキー場のゲレンデを下ってのぞき分岐から登山道に入りますが、このゲレンデからの景色がいつも癒されます。早朝のこの時間に歩くからさらにいいんでしょうね。 登山道に入ると、ほぼ根曲がり竹のジャングルの中を進みます。そしてぬかるみが待ち受けています。全区間を通して最悪のぬかるみがここです。ストックが一本あると便利です。ここは左端ぎりぎりを進みますが、最後の一歩でストックがあると大股でぬかるみにはまらず通過できます。 3時間弱で渋峠から赤石山着。山頂から大沼池を眺めながらゆっくり朝ごはんです。ムジナ平の水場でも見ましたがここでもイワウチワが見られます。 ちょうど午前8時赤石山からいよいよダン沢の頭へ。仙人池に寄ってみました。 この区間は、根曲がり竹の藪漕ぎを覚悟していましたが、全然大丈夫でした。ただ根曲がり竹でなくてもっと細いクマザサや草に覆われているところが藪漕ぎで鬱陶しいところもありました。これくらいは大したことないかな。個人的見解です。ただびしょ濡れになるのでレインパンツを履いたほうがいいです。 ダン沢の頭午前9時過ぎ通過。ダン沢の頭からは最近刈払いが終わったばかりでした。まるで高速道路です。オッタテ峰、オッタテ峠と快適に進めました。振り返るとダン沢の頭とオッタテ峰がわかります。 さらに小高山、五三郎小屋分岐と進みます。五三郎小屋の水場も確認。五三郎小屋は誰か使用した跡がありました。 大高山の登りはいつもけっこうつらいです。でもここを頑張れば野反湖までもう少しという感覚になります。ラジオでは静岡県でゲリラ雷雨みたいなことを報じていますが、この辺りは大丈夫そうです。魚野川源流をはさんで岩菅山連峰の空も明るいです。 大高山山頂午前11時通過。カモシカ平から三壁山までいよいよ最後の登りを頑張ります。三壁山からの下りで野反湖が眺められればもう一安心です。雷雨に逢わずに歩くことが出来ました。あと熊の痕跡も見当たらなかったです。 野反湖には午後1時ゴール。ジャスト8時間のコースタイムでした。赤石山からダン沢の頭までの登山道が整備されて歩きやすくなったらもっとコースタイムが縮むことでしょう。

続チャツボミゴケ公園~神秘の3池巡りガイド探査2024-8-24

2日前と同じチャツボミゴケ公園~神秘の3池コースをもう一度念入りに歩いてきました。歩くたびに何かしら新しい出逢いや発見があったりするものです。たった二日前に同じ道を歩きましたが、今日はアケボノソウが咲いていたのにはびっくりしました。うっかり通り過ぎていたのか、まだ花が開いていなかったのかわかりません。そして、チャツボミゴケの様子もたった2日前なのにガラリ印象が違うように感じます。 相変わらずまだまだ黄土色と焦げ茶色が目立つ穴地獄ですが、2日前よりなんとなく蛍光グリーンのチャツボミゴケの生命力みたいな勢いが迫ってくるようです。 ところでこちらは、7月13日のノゾリチャツお散歩ツアーの時に撮影した穴地獄のチャツボミゴケです。少しずつ蛍光グリーンのチャツボミゴケが回復しているように見えるので、これからも様子を見守っていきたいと思います。 大池もまた二日前とまた違った空気感が漂っているように感じました。今日は気温も少し低めだったし、風がほとんどなくて水深の浅いところは湖底が見通せたりするからでしょうか。 気になっていた苔の塊みたいなものは浮島でしょうか。大池もただの池ではなく16000年前の草津白根山の火山活動によってできた芳ヶ平湿地群の様々な形であることを教えてくれます。

第2回ぐんま県境稜線トレイルCエリア探査2024-8-20

台風シーズンになると、天気予報がコロコロ変わるので、稜線トレイルの縦走の日をいつ決めるかは直前になってしまいます。いつ雷雨にやられるか不安なので、どうしても慎重になります。野反湖の白砂山登山口を朝5時にスタート。思ったより空気は澄んでいて堂岩分岐からの白砂山の絶景がこれからの長い縦走路の心配を和らげてくれました。 薄い雲がかかり始めていますが、群馬県側の空は榛名山がはっきり見えるくらい青くて安心させてくれます。 新潟県側は、佐武流山が渋沢源流を挟んで大迫力です。苗場山、鳥甲山などもこの稜線でしか見られない姿を拝むことが出来ます。 堂岩山から白砂山までの稜線は、貴重な高山植物の宝庫だと思います。登山道は幅が狭く朝露でびしょ濡れになりますが、どこも人間中心主義というわけにはいかないものです。夏のこの時間であれば衣服がびしょ濡れになっても、ギラギラの太陽が昇ればすぐに乾いてしまうでしょう。いったん着用したレインウエアは蒸し暑いのでまたすぐに脱いでしまいました。 お花畑の花の種類もいつの間にかずいぶん変わっていました。休日で天気が良ければ賑わっているだろう白砂山山頂はとても静かでした。 白砂山からは先週刈払いされたばかりの登山道が忠次郎山まで続きます。この稜線に続く1本の登山道を前にして歩きたいと思わない登山者はいるでしょうか。 猟師の尾根の頭あたりまでなら白砂山から往復1時間です。上の間山なら白砂山から往復2時間みれば、奥深い群馬県境稜線トレイルの素晴らしさをさらに深く味わうことが出来ると思います。 ずっとNHKラジオを聞いて天気予報をチェックしていましたが、今日はどうやら夕方くらいまで天気も大きな崩れはなさそうで一安心です。 白砂山から赤沢山くらいまでは稜線漫歩を楽しみました。赤沢山を過ぎて忠次郎山への登りがちょっと辛くなります。上ノ間山山頂から赤沢山と忠次郎山が真正面に眺められます。刈払いされたばかりの登山道もくっきり稜線にわかります。 右下に白砂川源流の赤沢源頭斜面が広がります。スルスの岩洞に泊まってこの沢を遡行してくるのがクラシックな沢登りルートです。 今は崩壊して稜線ですが、かつては湿地があるようなところだったのかもしれません。稜線直下のガレ場でイワショウブが見られます。7月の歩いた時はキンコウカが見られました。 分水嶺が複雑な地形の白砂川源流域の山々です。どこがどうなのか見えてくるまで慣れていても少し時間がかかってしまいます。 ヤマドリゼンマイの群生地にキオンの黄色が鮮やかできれいでした。この近くにゲイロの井戸という湧水池があります。 めったに登山者もやって来ないから、ホシガラスが興味をもって近付いてきました。 忠次郎山まで快適に整備された登山道でしたが、いよいよここからは今年まだ整備が入っていない登山道になります。日当たりのいい斜面はやはり笹の伸びが激しいです。上ノ倉山の前後は胸まで笹が繁茂しているところがありました。笹の中が見えないので、ペースがゆっくり目になります。 行く手の大黒の頭山頂付近に雲がかかり始めました。やはり天気の急変が心配です。油断はできません。 まだ10時前なので、順調なタイムでここまで歩いてきていますがゆっくりはしてられません。白砂川源流のダイナミックな景色を眺めながら急ぎます。 ムジナ平避難小屋は最後に使った人がとてもきれいにしてくれたことがわかり安心しました。ムジナ平の水場も冷たくておいしい水がちゃんと出ていました。ここは笹清水と名付けてあるように、笹の葉っぱで上手にペットボトルに汲むのが効率的です。短時間で大量に汲めませんが名水だと思います。セバトノ頭を抜けると笹平です。この辺りも笹が盛大に伸びていました。胸辺りまで体が没してしまうところもありました。9月中に整備が入る予定だそうですが、なるべく早く入ってほしいところです。笹平の群馬側の斜面は四万川源頭になります。ここもなんとなく心が癒される景色で好きです。三坂峠には正午過ぎに到着。旧三国スキー場へのエスケープルートを下り迎えの車と合流しました。野反湖から旧三国スキー場まで8時間のコースタイムでした。登山口ではずっと工事現場になっていますが、登山者の通行は優先してくれています。