トレッキング

高間山の思い出話

今は林道で楽に高間峠までやって来れる。峠からさらに山頂まで整備された登山道があって15分くらいで山頂に立てることだろう。高間山というと、30年くらい前の林道吾嬬山線が建設中の頃の話が思い出される。高間山は、六合村と長野原町と吾妻町の3町村境界にある1341.7mの小さな山だが、この辺りでは1番標高が高く、1度登ってみたかった。 高間集落あたりから高間山への登山道があるらしいので、探しに来たことがあった。今ではもう藪の中からも昔の開拓農家の残骸は見つからなくなってしまったが、その時はまだいくつかあった。最終人家の倉庫の中で花インゲンの皮むきをしていたおじいさんに聞いてみることにした。ちょっと耳が遠くて説明するのに手間取ったが、話が理解できると親切に教えてくれた。高間山への登山道はこの下の左へ行く道だそうだ。な~んだそうだったのか。ついでに王城山への道もあるか聞いてみたら、さらに水平に行けばあるという。やっぱ土地の古老は何でも知ってる!丁寧に礼を言って出発しようとしたら、おじいさんはわざわざ道まで出てきて、さらに人なつこく同じことを説明してくれ、人情の深さに感激。しかし行かねばならない。何度も丁寧に礼を言って、出発した。 北風が汗ばんだ身体に気持ちよく、どんどん進んで行く登山道入り口らしきものはいつまでたってもない。林道がこのまま行くと長野原町の貝瀬へ下っていってしまうだろうという地点でストップ。登山道らしき獣道やら仕事道を探し回るが、どれも違う。おじいさんこれはどういうこと!そういえば、途中で畑仕事をしていた別のおじいさんがいたっけ。ようし、その人に聞いてみよう。てけてけ来た道を戻る。収穫の終わった花インゲン畑で、なにやら仕事中のおじいさんがいた。大きな声で「高間山の登山道はどこですか。」と聞いてみた。おじいさんは怪訝な顔をしている。どうも意味が通じないのかと思い、わかりやすくゆっくり、「高間山に登りたいのですが、高間山の登山道の入り口はどこですかあ。」と聞く。するとおじいさんはなんと「ここが高間山だ。ここら一帯すべて高間山と言うんだ。」と答えた。なかなかこちらの意味が通じないようなのでしつこく聞き返すと、最後にこの辺り一帯の山はすべて高間山と言うんだと煙に巻かれてしまった。 まだあきらめるわけにはいかないので、「じゃあ、登山道の入り口はどこですか。」と切り返してみた。すると、「登山道の入り口はこのずっと下の広池というところだ。みんなそこから登るんだ。」と、またもやあっと驚く言葉が返ってきた。なるほど国道292号線沿いの広池集落から山腹のここまで心細い村道が上がってきているのだが、考えようによってはその通りだ。珍名答に思わず納得しそうになって唸ってしまった。 最後の粘りでもう一度丁寧に聞いてみた。「高間山の山頂へ行く登山道なんですが、どこですか。」と。そしたらなんと「それはない!」という答えが返ってきた。高間山山頂へ行くには、ちゃんとした登山道はなく、沢か尾根を適当に登って行くしかないとのこと。「昔はあったが、そんな道はもうなくて、知ってるのは年寄りくれえだ。わしも年寄りだけど、もっと年寄りだ。」 そんな高間山頂には、その後雪の時期に気の合う相棒と初めて立った。

フカフカ落葉の里山ライド2023-11-22

天狗様が祀られた岩尾根の突端に向かいました。今日も風がなく穏やかな小春日和に恵まれました。ポカポカと暖かい陽射しが気持ちいいです。 谷川連峰から白砂山、さらに大高山、赤石山、横手山、草津白根山、四阿山、そして浅間山とぐるり県境稜線の山々が絶景です。 横手山の渋峠スキー場はオープンできそうなくらい真っ白に輝いていました。 さらに浅間山も見事に白化粧していました。 森の木々の葉っぱはすべて枯れ落ちてフカフカです。陽ざしを浴びた枯葉の香ばしい匂いに満ちていました。 ハンドルとペダルから大地の鼓動を感じながら、全身に冬の日の気持ちいい風を浴びて、落ち葉のフカフカライドを満喫しました。

初冬の静かな野反湖の風景2023-11-18,19

湖面のエメラルドの帯が幻想的です。新雪が薄く積もった池ノ峠展望台まで登ってみました。ここからの浅間山は、まるで富士山のように秀麗で威厳があります。 北風が吹き抜ける湖面に目を凝らせば、白兎が飛び交う時化の海と化していました。 小さな動物たちがすでに動き出しているようです。人間の足跡に驚いて慌てて立ち去ったのかもしれません。 稜線の高い山は厚い雲の中に隠れていました。グリーンシーズンのトレッキングの幕はこれでどうやら下りたようです。 この季節の針葉樹とダケカンバの森の美しさは格別です。新緑の頃ももちろんいいですが、落葉したダケカンバのクリーム色の幹が際立つのは今のような気がします。 日曜日の午後、中之条町のつむじで地元ロータリークラブ主催のジャズコンサートがありました。ジャズのライブは久しぶりです。しかも若い時から名前は知っているベーシストがリーダーということで、どんな素敵な演奏を聴かせてくれるか、この日が来るのをとても楽しみにしていました。 ピアノ、ベース、ドラムスのトリオの演奏は、演目はほぼベーシストの魅力的なオリジナルばかりで素晴らしかったです。その中で一曲アランフェスのテーマを弓で弾いてくれました。ド迫力のバーチュオーゾの音には思わず酔いしれちゃいました。白髪のバーチュオーゾと若いメンバーたちのエネルギッシュな演奏は、あっという間の楽しい時間でした。 中之条町でご機嫌なジャズが楽しめた昼下がりの午後でした。感謝。

樹氷の白砂山2023-11-16

野反湖の朝の気温はマイナス2度。湖面から霧がモクモクと湧いて雲海が見られました。 2時間後、水場入り口の広場に着くころには、すっかり霧が晴れて湖面が眺められました。 雪の上には様々な動物たちの足跡が残っていました。登山道の上にはこんなにいろいろな動物たちが歩いているんだとびっくりです。リスやウサギ、ニホンジカ、カモシカ、キツネ、オコジョ、そしてクマです。 堂岩山山頂からいよいよ白砂山稜線が目の前に現れます。湿った南風の影響で、猟師の沢の頭から先は雲で隠れています。晴れてくれるか心配ですが、進みます。 白砂山稜線は素晴らしい樹氷の景色が広がっていました。堂岩分岐から昨日の足跡かな?登山者一人の足跡を見つけたのですが、すぐに引き返していました。どうやらクマと出逢ったのでしょうか、その先には大きなクマの足跡だけがありました。この時期、このあたりにクマの足跡はよく見られますが、冬眠する穴が近くにあるのかも。 渋沢の大きな谷間をはさんでそそり立つ八十三山は迫力があります。 秋山郷の名峰鳥甲山が綺麗に眺められます。2038mで標高的には同じくらいの山です。 少しずつ雲がとれてきたように感じます。最後の登りを頑張れば山頂までもう少し。 山頂直下の登りはきついので、一息つくときは後ろを振り返って雄大な景色に癒されます。そうするとまた次の一歩が元気よく出せます。岩菅連峰です。 午前11時、約4時間かかって白砂山山頂に辿り着きました。雪があるとやはり思ったように歩けないので時間がかかるようです。 ところで、山頂ではすっかり雲がとれて360度素晴らしい景色が楽しめました。谷川岳絵と続く稜線トレイルも一本のホワイトウエイのように果てしなく続いていくようです。苗場山と神楽峰はそろそろスキー場がオープン間近でしょう。 目を凝らせば北アルプスも。これから前線が通過した後本格的な冬型になるようなので、週末の立山はパウダー三昧のバックカントリーが出来そうなくらい積もるかな。 当初は八間山周りで下山するつもりでしたが、ピストンに予定変更しました。11月のこの時期、お昼を周るともうなんだか夕方の気配を感じて心細くなりますね。

今日から志賀草津道路は冬季閉鎖2023-11-15

今朝の芳ヶ平湿地群の山々。池ノ塔山や横手山の樹氷が朝日に照らされてきっと綺麗でしょうね。今日13時からいよいよ国道292号線の志賀草津高原ルートが来年4月24日10時まで長い冬季通行止め期間に入ります。 今年は4月26日に冬季通行止めが解除になりました。翌日は晴天に恵まれて残雪の芳ヶ平湿地群を渋峠からチャツボミゴケ公園まで歩きました。 今年は残雪がとても少なくて、例年なら芳ヶ平湿原までスキーで滑って降りるところですが、スキーはあきらめて歩いて下りました。ダマシ平くらいまでは残雪をどこでも歩けてコースどりできましたが、ダマシ平から下は登山道を探しながら歩くので苦労しました。 しかも登山道の階段などでは踏み抜きしたら大けがしそうな区間が待ち受けていて、大変危険でした。 ホシガラスが久しぶりに訪れた人間に興味をもって近付いてきました。なんだかちょっかいでも出したそうな様子でこちらを観察していて可愛かったです。 7月初めの綿毛の頃のワタスゲは大人気ですが、雪解けとともに地味な黄色い小さな花のワタスゲは誰にも知られずに咲いています。 山に三度白く雪が積もれば、里にも初雪が降ると、昔から六合の山里の人に語り継がれています。最近の気候変動でそんな言い伝えも怪しくなってしまうのかもしれませんが、また本格的な冬がすぐそこまでやってきたようです。