7月13日 晴れ 海穏やか

隠岐ノ島・島前・知夫里島・来居港~反時計回り~島津島キャンプ場
全漕行距離12.6km

海岸線に沿ってGo westだけしか考えないで毎日自転車を漕いできたけど、今回できれば離島も訪れてみたいと考えていた。実は能登の輪島を通過した時に舳倉島に寄ってみたかったけれど、その時は自転車に集中したくて心の余裕がなかった。隠岐ノ島はちょうど切りがいいのと、サポートしてくれている家内のためにも、隠岐ノ島へ渡ってみることにした。

大山や島根半島が遠ざかっていく・・・

あわただしくキャンプ道具やカヤックなどの旅支度をして、9時30分発のフェリーくにがに乗り込む。観光シーズンになれば混雑するフェリーも、さすがに魚釣りをしに来た人や仕事関係の人くらいでガラガラ。気持ちいい海風が吹くデッキにでて、遠ざかる大山や島根半島の山並みを眺め、自転車旅の昨日までと違ってすっかりのんびり気分。しかし島に着いてから大きな仕事が待っている。カヤックの組み立てだ。午前11時半、島前知夫里島来居港に到着。木陰を見つけて大仕事にかかった。汗まみれになってやっと出航準備が完了したのが午後2時半。組み立て準備に、3時間もかかってしまった。

時間がたつにつれて日陰があっちへイッチャッタ・・・

荷物満載の2人艇カヤックは、陸の上では重くてどうにも大変だけど、いったん海に浮かんでしまえば水を得た魚、心は広い海と空を自由気ままに漂い始める。さっさと時計回りで今日のキャンプ地を目指せばいいものを、わざわざ遠くなる反時計回りで知夫里島の反対側にある島津島キャンプ場に向かう。フェリーで見かけた釣り人らしい影をあちこちの磯で見かける。海は完全に凪で、これなら安心してフェリーに乗らずに本土から島渡りできそう。でも風向きを考えると向かい風かもしれない。赤壁は夕陽に輝いているのを見たいところだけど、キャンプの設営や食料の買い出しなどやることがあるので、さっさと通過。

赤灘ノ瀬戸を抜け、西ノ島に背を向けて知夫里島の西岸を漕ぐ

日が暮れかかる頃、島津島キャンプ場の深い入り江に漕ぎ入る。隠岐ノ島は隠岐牛ブランドで知られているように、島のあちこちで牛が放牧されている。ちょうど牛の世話をしている人がいたので声をかけると、どうやらキャンプ場の管理を任されていた人だったようで、シャワーやトイレが使えるようにしてくれたので良かった。キャンプ場はまだ夏のシーズンに向けての準備がまだのようで、冬の間に打ち寄せられた漂流物のゴミが散乱していたけれど、私達にとっては静かで落ち着けて十分快適だった。

島津島キャンプ場

テント設営後、薄毛という気になる名前の村の中心集落まで歩いて、ビールや食材を仕入れに出かけた。途中、俳優の吉田栄作が夏だけ営業する喫茶店が、見晴らしのいい崖の上にあった。NHKの朝の連続テレビドラマ「だんだん」でこの隠岐にロケに来て、この地がとても気に入って出店したんだそうである。

カヤックの軌跡

7月14日 晴れ 海穏やか

島津島キャンプ場~浅島~神島~薄毛~島津島キャンプ場
全漕行距離 約6km

浅島、神島の浮かぶ海が見える放牧地の隠岐牛

朝一で近くの岩場に釣りに出かける。疑似餌なのにすぐに飛びついてくる魚は、ガシラ。カサゴと同じ魚のことだとはつい最近知った。隠岐では「ぼっか」と呼ぶらしい。とりあえず朝食の一品としてマース煮にしてもらう。ギラギラ太陽が容赦なく照りつける時間まで、高台で眺めのいいテラスでコーヒー飲んだり、ダラダラ朝食を作って食べたりして過ごしてから、カヤックでふらふら出かけた。

日陰を見つけて上陸休憩

浅島や神島の周りをのんびり漕ぎながら、大きな鯛でも釣れないかなとカヤックから竿を時々出すものの、まったくあたりなし。昔シイラやスズキを釣った時のことを思い出しながら・・・・ここ数年、カヤックフィシッングはボーズ続き。研究する必要あり。昼は、日陰のある岩場のビーチでのんびり。時々シュノーケリングするが、海水は結構冷たくて長時間は無理。でも色とりどりな凄い数の魚が泳いでいて、いつまでも潜っていたいくらい。やっぱり、夏は海だ!

快適な島津島キャンプ場

午後、薄毛の集落の外れにカヤックを着けて、お店でビールや氷や食料の買い物をしてからキャンプ場に戻る。そして近くの岩場にガシラ釣りに出かけたら、簡単に三匹ゲット。またまた夕食に一品添える。満月らしく、月光が一晩中小さな入り江のキャンプ地を照らしてくれていて、かすかな潮騒の音とともに、なんとも幻想的な雰囲気。蚊もまだ少なくて、デッキでのんびり。

7月15日 晴れ 海穏やか

島津島キャンプ場~赤壁~薄毛~キャンプ場 全漕行距離12km

以前テレビで隠岐牛のことをやってて、松阪牛クラスの超有名ブランドのグレードめざして奮闘している様子をドキュメントしていた。こんな雄大な大自然の草原に放牧されている牛なんて、アルプスの少女ハイジに匹敵である。そんなのどかに牛が放牧されている草原が、ズドンと切れ落ちて断崖になっていて、そこが赤壁である。

赤壁

今日も容赦なく夏の太陽がギラギラ照りつける1日となった。切り立った断崖の赤壁は、入り組んだ湾の奥にあって、私達は静かにカヤックを漕いで近づいた。その時、突然静寂を破ってトビウオの群れがスーッと海面を走ったかと思うと、巨大魚がトビウオの行く手をさえぎるかのように海面に垂直にジャンプした。たぶんシイラだろう。1m近いサイズだった。しかし、その後またさっきと変わらない静寂。メタルジグのルアーを持ってくれば良かったと、後悔。

断崖の上は隠岐牛の牧場

切り立った断崖のおかげで、断崖直下の小さなビーチには日陰があって、今日もそこでお昼休憩。ビーチにはいろいろな漂着物が転がっていて、それらを観察するのがなかなか面白い。ハングル文字や中国語の漂着物が半分を占めていた。シュノーケリングすると、40cm級の石鯛と鯛(黒鯛か真鯛か判別できなかった。)が泳いでいたのにはびっくり。

その断崖の下のプライベートビーチで昼寝

7月16日 晴れ 海穏やか

隠岐知夫里島・島津島キャンプ場~中ノ島・菱浦
全漕行距離17km

南の海をゆっくり北上している台風が、どうやら数日後に本州を直撃する危険が出てきたと、ラジオの天気予報で警戒を呼びかけているので、早々に撤収を決める。隠岐の島々をゆっくり時間をかけて漕ぎ回るのは、またいつの日かということで、居心地の良かったキャンプ地を後にする。隣の中ノ島にある菱浦港を午後3時半に出航するフェリーに間に合うように、今日は知夫里島から中ノ島へ島渡りだ。カキの養殖棚やマグロの稚魚の生け簀が所々点在している、波穏やかな知夫里島の湾奥から漕ぎ出でて、知夫里島の南端の島陰をぐるっと回り込んで内海に入り、中ノ島にある菱浦港を目指す。菱浦港の前には隠岐牛を食べさせてくれるお店があるので、お昼に間に合うように家内を元気づける。

パドルを捨てて今すぐ海に飛び込みたい!

やっぱり今日も容赦なくギラギラの夏の太陽が照りつけ、パドルを漕ぐ手になかなか力が入らないけど、知夫里島と中ノ島の内海の入り口になる狭い海峡は、いつまでもカヤックでのんびり浮かんでいるわけにはいかない。大型船や高速船の進路を阻む位置にいるのだから、速やかに横断しなければ・・・

外海も波穏やか、まだ台風の影響全くなし。

前席の家内はまったく本気で漕ぐ気がなくて、こちらはとにかくひたすらがんばって、午前中のうちに菱浦港に辿り着いた。今度はカヤックの分解、荷物の梱包など大仕事が待っている。隠岐牛のお店には牛丼2つの予約を入れて、また大汗をかきながら、時々フェリーターミナルの冷房で涼んで、なんとか予約した午後1時半ギリギリに終了。最後に楽しみにしていた、赤壁の断崖の上の大草原で放牧されていたであろう隠岐牛の牛丼を頂いて、隠岐ノ島から離れた。隠岐ノ島では毎日キャンプ場の水シャワーで十分爽やかに過ごしたけど、本土に戻って久しぶりのお風呂。七類港のフェリーターミナルにあるメテオプラザのお風呂は、なんと200円で石けん・シャンプー付きとは、旅人にとっても有り難い。

7月17日 晴れ

鳥取県境港市R431~R2美保関灯台~R431松江市~出雲大社R29日御碕~R9道の駅キララ多伎
全走行距離111km

中海が美保湾と繋がる細い水道に架かっている境水道大橋

せめて本州の端っこの下関までは漕ぎたいと、今日からまた自転車旅を再開。境港から境水道大橋を渡ればわずかな距離で鳥取県から島根県に突入。まずは島根半島の東端、美保関灯台へ。3連休の中日とあって、途中たくさんの釣り師が竿を並べていた。スズキやキスや鯛、ぶり、アジなど、このあたりの海はとにかく魚種も多いし魅力的なところだ。灯台の駐車場で姫路から一晩中走ってきたというサイクリストに声をかけられる。これから兵庫県の湯村温泉へ向かって走り去っていったが、かなり年配にもかかわらず元気いっぱいで、こちらも元気づけられたような気持ちになる。さて、朝食をとって島根半島を西へ縦断する。旅の公約通り、はじめは島根半島の海岸線を走っていこうかと考えていたけど、どうやら海岸沿いの道は継ぎ接ぎのように複雑に入り組んでいて困難そうだったので、中海と宍道湖に沿ってまっすぐわかりやすく出雲大社まで伸びている国道431号線を走ることにした。島根半島の海岸線はいつかシーカヤック旅の楽しみにとって置けばいいだろう。ところで、この島根半島にも原発がある。震災以降島根原発を取り巻く環境もおそらく今までとは大きく違ってきていることだろう。国道沿いにアトムと名の付いたお店を見かけて、今まで通り過ぎてきたいくつかの原発や火力発電所のことを思い出す。

松江城のお堀を観光する遊覧船は大繁盛

中海北岸に沿って快調に飛ばしていくとやがて中海が切れ松江の市街地にはいる。松江城ではイベントがあるようで交通規制されていたけど、自転車なら一方通行など気にしないので気が楽である。松江市からは宍道湖の北岸に沿って走る。シジミで有名でなだけあって、白の下着パンツいっちょで虫取り網とバケツをもってシジミ採りしているおじさんがいた。平坦な道なのでグングン距離を稼いで、お昼には早いので出雲大社を通過して日御碕まで走る。島根半島の西の端、日御碕灯台に立つ。この眼下の海底には、神話が創られた時代の、謎に満ちた古代の海底遺跡が眠っているのだそうだ。島根県、知れば知るほど恐るべきところである。

美保関灯台からの日本海の眺めが素晴らしい

日御碕の駐車場の木陰でお昼を食べて、午後はまた少し戻って、楽しみにしていた古代出雲歴史博物館と出雲大社を見学する。博物館では、ズラリと並べられた本物の銅鐸や銅剣の数には圧倒された。やっぱり、島根、恐るべし。

出雲大社

夕方まだ日暮れまで時間があるので、道の駅キララ多伎まで走る。台風襲来の前の静けさ、いちじくソフトを食べながら日本海に沈むのんびり眺めた。夜は近くの多伎いちじく温泉へ。3連休は入浴料200円に大サービスということで、ラッキー!

7月18日 晴れ

島根県多伎町R9~江津市~浜田市~益田市R191~山口県萩市田万川温泉
全走行距離135km

島根の海岸線の道は、ほんとうにのどかでいい感じ。国道9号線に絡みながら山陰本線が並行しているが、1両編成のディーゼルカーとは、本線とは名ばかりではないか。日本の正しい田舎である。渡来人が最先端の技術を日本に伝えた古代の頃なら、この島根は大陸や朝鮮半島に向かって開かれた表日本だったはず。しかしながら、いつの頃からか都からの交通が不便な島根は、山陰と呼ばれ、過疎の代表のような地域になってしまった。しかし、このあたりにもようやく高速道路が整備され始めているようで、中国山地を縦断して太平洋ベルトの大都市と浜田市や米子市が直結することによって、徐々に都市化が進んでいるようだ。やがては、国道9号線に代わる高速道が、島根県の海岸線に沿って敷かれることになるだろうが、そうなれば富山県や石川県、福井県のように、大きく変わっていくのかな。ドコモ同じように都市化されていくのは、ちょっと寂しい気がするゾ。

朝焼け

今日はパンクに悩まされた。予備のチューブも使い切り、パンク修理をするも応急処置ばかりしているからどうもうまくいかない。あきれかえったサポーターの家内が、医療用の新素材テープをパッチの上からさらに補強してくれたら、これでバッチリパンクが治癒。台風の影響がそろそろ出始め、晴れているけれど風が強くなってきた。沖縄や南九州では暴風雨らしい。午後遅くなってようやく益田市を通過。国道191号線からの日本海は、波が大きく海岸に打ち寄せ始めていた。島根県から山口県に突入。道の駅ゆとりパークたまがわでフィニッシュ。温泉はすぐそばの田万川温泉いこいの湯。サザエの炊き込みごはん、半額の1パック200円がラッキー。それから途中の道の駅夕陽パーク三隅で買った、鯖寿司も満足。福井県あたりからずっと鯖寿司がいろいろなところで売られていたけれど、今までの江戸前風のと違って、ここのは1匹丸ごとの身のお腹にすし飯が詰められた豪快なもの。この味も、まだまだ都市化が進んでいない島根の良さ?

7月19日 曇り強風

浜田~江津~江の川~邑智カヌー博物館~石見銀山~温泉津温泉~浜田

今日は台風が山陰地方にも最も接近するということで、大事をとって休養とし、1日観光する。中国山地をぬって江津市で日本海に注ぐ江の川は、いつかのんびりオープンカヌーで川下りしたいと思っている。その下見をしておこうと、国道261号線を上流に向かって走ってみた。超ローカルな三江線が川に並行していて、レトロな沿線の風景がいい感じ。途中から県道40号線になりなおも江の川の上流を目指すと、邑智町というところにカヌー博物館というのがあるので寄ってみた。残念なことに本日定休日。
しかしここから川下りのスタートをするのにちょうどいい場所だというのがよくわかった。その後、世界遺産の石見銀山跡へ。

鉱山町大森の町並みを歩いてみた

まずは世界遺産センターへ。誰の案内もなくはじめて訪れる人は、ここで大まかな様子をつかむ必要があるだろう。台風が来ていて、さらに平日なので、人も駐車場もガラ空きでラッキー。やがて資本主義経済が大きく発展していく端緒となった大航海時代、世界と日本は遠く離れていたにもかかわらず、石見の銀の産出が世界史を大きく動かしていたということをお勉強させてもらう。

薬師湯は、レトロな洋館の建物

そして、石見の銀を船で運び出す港としても栄えた温泉津温泉へ。1300年の歴史がある元湯と、明治時代の浜田地震の時に噴出したという薬師湯があるようだが、ブラブラ温泉街を歩いて最初に目に入った薬師湯に入る。入浴料300円で、別に洗髪料50円というのがまたまた何となくレトロ。浜田の夕景、思ったより台風の影響は少なそう・・・

7月20日 小雨後曇り強風

山口県萩市田万川町R191~萩市r64~三隅R191~長門市~特牛~下関市二見
全走行距離108km

太平洋沿岸の四国や紀伊半島に比べれば、大した被害もなくて一安心。しかし朝から小雨がぱらついていて出発を遅らせる。路面も濡れているので、雨がやんで多少乾いてきた頃を見計らっての出発。阿武町の道の駅ですぐにお昼の時間になってしまった。ちょっと道の駅のお店の中を覗いてみたら、あのクロマグロの刺身が1パック280円!といってもヨコワと呼ばれるクロマグロの幼魚。珍しいのと安さに惹かれてお昼からマグロの刺身だ。赤身だけど、柔らかくてあまりにも美味しいので、他にもタコやヒラマサといっしょに夕食分も買っておく。後でわかったことだけど、山口県は、あの松方弘樹が一本釣りで305kgのクロマグロを釣り上げた見島があるところだった。瀬戸内海と日本海に挟まれた山口県は、お魚が安くて美味いところのようだ。

台風の影響で海は大時化

歴史の面影が色濃い町並みの萩市をあっさり通り過ぎて、さらに金子みすずで有名な長門市も素通りして、いよいよ本州の端っこの下関市に突入。二見というところで日没したのでフィニッシュ。近くに温泉も道の駅もなく不便。温泉は大河内温泉へ。

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