岩木山スキー1周その2
2012年3月23日 利尻山には○○ポン山と呼ばれる小さな山が利尻本峰の裾野にいくつもあるが、岩木山にも黒森(887m)や笹森山(672m)、扇ノ金目山(880m)、追子森(1139m)、西法寺森(1288m)、小森山(323m)、などの名前が観察できる。利尻のポン山はかつての小火山の跡だったかと思うが、岩木山はどうなんだろう。しかし、東北の山らしく○○森というネーミングが多いのがいい。また、それらの山が1周スキーのルート取りをバラエティ豊かにしてくれ、自由な山旅の楽しさを広げてくれるようだ。 ところで、今日はもう天気が下り坂。西日本では激しい雨が降り始めていて、東北も夜には泣き出しそう。この時期の岩木山はなかなか良い日には恵まれないのかもしれない。今日でなんとしても1周してしまわなければならないので、効率の良いルート取りで行くことにしよう。午前7時半過ぎ、まだまだ厚い雪に埋もれている嶽温泉から歩き出す。 ザラメが凍っているのでウロコスキーでは歩きにくいが、シールを貼るまでもないので頑張る。ある程度の高度を稼げば、斜滑降でスキーを走らせ距離を稼ぐ。この軽快なスピード感がウロコテレマークスキーの魅力だ。小一時間で岩木山スカイラインの料金所に出る。除雪した道路をスキー背負って少し歩き、またスキーで斜滑降。 黒森の裾野を巻くようにしてウロコスキーを走らせる。深い谷間を流れている赤沢は、雪が割れて流れの出ているところもあったが難なく通過。そして、標高約480mの雪原でスキーにシールを貼って、標高約680mの二子沼までシール登行。 二子沼はひっそりと雪に埋もれ、素敵な雰囲気の森だったけれど、残念ながらスノーモービルが縦横無尽に走り回った跡が残っているのは興醒めだ。しかも下の方でやたらうるさいエンジン音が聞こえてきて、こちらに上ってきそうな気配。さっさと通過である。白沢の深い谷間を滑り降り登り返したところでシールを剥がす。 ウロコスキーで少し進むと、突然スキー場のゲレンデに飛び出した。スッキリと白銀を纏った美しい岩木山が眼前に迫る。今まで森の中を彷徨うばかりで岩木山本峰の姿とはご無沙汰だったので、いっそう感動的。これが人工的に切り開かれたスキーコースのおかげというのが、ちょっと皮肉な感じがしないわけでもないが・・・ 上から滑り降りてくるスキーヤーやボーダーの邪魔にならないよう、リフトやゴンドラをいくつもくぐり、ゲレンデコースもいくつも横断。スキー場を横に移動する人は、そう滅多にいないでしょう。ただしスキー場のお客さんからすると、私達の様子はゲレンデに迷い込んだカモシカや猪のように、挙動不審な侵入者に映ったかも知れない。 大鳴沢から扇ノ金目山の下部を斜滑降気味にスキーを走らせる。この辺りから標高が低くなってきたからか、藪が邪魔になって滑りにくい箇所が出てきた。また次から次へと小さな沢を通過しなければならないが、これらが結構時間を食う。それでも効率よくルートをとりながら、やがて赤倉という集落近くにある雪に埋もれた神社の鳥居に出た。ここから2万5千図の地形図を観察すると、標高400m前後のルートをとるより、どうやら標高200mまで下った方が時間短縮できそうということで、さらに斜滑降気味に高度を下げて進んだ。 標高を下げるとさらに藪が多くなり、沢も割れていたりするので厄介になってくる。岩木山西面の効率的なルート取りは、次回の課題かなと思う。 標高200m前後まで高度を下げると、雪に埋もれたリンゴ畑や廃屋などが出てきて、だんだん人里っぽくなる。すると、いい喉でコブシを利かせた唄が聞こえてくる。誰かなと辺りを見回せば、リンゴの木の世話をしながら気持ちよさそうにおじさんが歌っていて、思わず聞き惚れてしまう。 リンゴ畑の中をスキーで進むわけにも行かず、ちょうど除雪した道路に出たので、しばらく歩くことにした。上弥生という集落で一度スキーを付けて滑ることが出来たけれど、しばらく進むとまた除雪した道路になったりして、このまま百沢スキー場まで歩いてゴールすることになりそうだったけれど、後長根沢の橋を渡った所で、百沢集落向けてスキーで滑り降りることにした。結局これが正解で、嶽温泉に戻るためのバス停への最短ルートだった。 岩木山神社の神様のご加護かもしれない。このバスに乗り遅れていたら、きっとみぞれ混じりの冷たい雨に打たれていたのだから・・・