乙部町元和~上ノ国町汐吹(漕行距離約35km)

3日目は、早起きをして6時前に出航。昨日のようなペースではとても函館には行き着けそうにない。今日はもうちょっとがんばらなくては。どうやら追い潮である。元和台のような岬をかわす時、はっきりわかるくらいに潮が流れている。よし、この勢いで江差の鴎島まで一気に漕ぐぞ!いきなり、魚の群れがカヤックのすぐ横でボイルする。結構大きな魚の群れで、30㎝くらいはある。ブリ系の魚の幼魚の群れが、さらに小さな鰯系の群れを追っているようだ。すると、今度はカモメの群れが空から集まってくる。ブリ系の魚に追われて海面を逃げまどう、鰯系の小魚をねらっているようだ。この小さな大自然のドラマが、いたるところで見られた。最初のうちは、あわてて釣りを試みてみた。しかし、仕掛けが良くないのか、まったく反応が無く、やがてあきらめた。8時過ぎに江差の鴎島に上陸。鴎島の高台は、芝生のキャンプ場だった。

松前同様、江差はかつてニシン漁や北前貿易で大いに賑わった港町。今は陸続きになってしまっている鴎島が、波風をさえぎり天然の良港を作り、廻船問屋が軒を連ねていたそうだ。現在、旧中村家住宅や復元された開陽丸などで、当時の面影をちょっぴり感じ取ることができる。

ところで、北前船の大きさは石で表すそうだ。長さ×巾×深さで求められるらしい。すると、私たちの船は何石くらいになるんだろう。6.6×0.8×0.4として、わずか2石あまり。タンデムカヤックで江差の海に浮かびながら、昔の港の様子を思い浮かべてみる・・・

さて今度は、鴎島から上ノ国町の道の駅「もんじゅ」を目指す。たしかここは海沿いにあるので、カヤックを岸に着けて、レストランで昼食ができるはずだ。穏やかな内海を一直線に漕ぎ進んだ。案の定道の駅「もんじゅ」は、海からも大変便利な施設であった。濡れたウエットパンツでも入れてくれる。そして、生ビールとウニ丼だ!

先を急がねば!!洲根子岬をかわすと、突然潮が変わった。一気にスピードが落ちる。大安在浜の単調な景色が余計にパドルを重くしてくれる。さらに追い打ちをかけるがごとく、前席の家内が居眠りである。こんな時は思い切って岸寄りすれすれにコース取りする。そうすれば、海の底も見えるし、少しは退屈を紛らわせてくれるのだ。

しかし、穏やかな海だからこんな悠長な事を言ってられるのだが、この辺りは遭難の名所である。開陽丸は、この先の木ノ子の海岸に強風で打ち上げられ難破したのだ。汐吹の老漁師は、かつて、荒れる海を命からがら帰ってくる漁船のために、盛んに浜に火をたいたんだと話してくれた。時には、自分たちの目の前で船が波にのまれてしまったこともあったそうな。向かい風と逆潮に苦しめられ、午後2時前、汐吹で今日の行動終了。いまいち距離を伸ばせなくて残念。

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